全日本ちょこちょこっと知っとこ

 第27回「アジアも知っとこ!」

 さて、今シーズンも前半を過ぎたところです。
 全日本モトクロス、全日本ロードレースなど色々レースありました。それぞれのシリーズは間隔をあけて行われますが、私にとってはほぼ毎週のようにレースがあり、好きな仕事で忙しくしていられるのでありがたい話ですが、頻繁に更新される西村巨匠の面白コラムを読みながら、自分にはまともな文章を書くほどの余裕がなくエセしっとこになっている件。

 取材いっときながらアウトプットがないのはダメ! 絶対! ……ということで、まずは最新のアジアロードレース選手権についてお伝えしたいと思います。なにせ、一番新しいからね、すぐ思い出せるからね!



1コーナーで
ウェットですが、たいていの選手はドライタイヤを選択してのスタートになった1コーナー。

 アジアロードレース選手権、以前から日本人の参戦はつづいていましたが、2011年にカワサキが参戦、藤原克昭選手がチャンピオンに輝き、翌年は清成龍一選手がホンダでタイトルを獲得、昨年はアズラン選手(マレーシア)と続いています。アズラン選手は2011年の鈴鹿4耐でも優勝したマレーシアでは超有名選手で、昨年の後半よりMotoGPのMoto2クラスにチームアジアから参戦しています。まさにアジアから世界へ、の道をつないだ選手。

 また、アジアロードレース選手権併催のアジア・ドリーム・カップで昨年シリーズチャンピオンを獲得した尾野弘樹選手はレプソルCEV FIMロードレースインターナショナル選手権(スペインロードレース選手権 Campeonato de España de Velocidad 略称CEV)にチームアジアより参戦して表彰台を獲得しています。

 アジア選手権で結果を出せば、世界に行ける! とマレーシア、インドネシアをはじめ各国から選手が集まってしのぎを削っています

 そんな今シーズン、SS600クラスの日本人の参戦は、BEET Kawasaki Racingの#37藤原克昭選手(ZX-6R)、Musashiブンシュウホンダの#100玉田誠選手(CBR600RR)、手島雄介監督とユージー(かつて松戸直樹選手のチームメイトとしてMotoGP 250に参戦)のコラボチームTプロ&YUZYホンダNTSから#71 小山知良選手(CBR600RR)、#34岩田悟選手(CBR600RR)、ペトロナス・ヤマハは#76伊藤勇樹選手(YZF-R6)、アケノスピードの#18稲垣誠選手(YZF-R-6)がエントリー。

 アジアロードレース選手権ってどんなとこで? ですが、みなさんが普段GPでも目にするようなマレーシアのセパンサーキットのように、綺麗に整備されたサーキットで開催されることもあります。ですが、第2戦のインドネシア、センチュールサーキットは日本で探すのが難しいくらいに、荒れたコースの荒れたレースになったのでした。

 では第2戦センチュールサーキットに話を移しますね。
 赤道直下なインドネシアらしく、コースはうねうねしていて、昨年もその前もパッチだらけでしたが、今年もすごいパッチワークなうえに、いやらしいところにギャップがあり、攻略の難しいサーキット。さらに決勝日は朝から不穏な天気で、フリー走行が終わったころに雨がぽつぽつと。
「コレハ、イチニチフルヤツダヨー」と現地の人が言うのです。

 雨は一時的に強くなり、アンダーボーンのレースは土砂降りのスコールの中で行われましたが、その後弱まり、600レース開始時には路面が乾くのを待つばかりという状況でした。
 判断が難しいところですが、雨で濡れてはいても気温が高いので乾くのも早いのです。ですが、またいつ雨が降ってくるやもしれず、ディレイにもならず、レースはほぼオンタイムで進行。レース後半乾くのを見込んでほとんどの選手が選んだのはドライタイヤ。フルウェットの状態でレースはスタートしました。
 コースの特徴をよく知っている地元インドネシアのM・ファドリ選手が、序盤から大量リードを築きましたが、コースが乾いてくるとともに他の選手も追いつき、ラストラップは後輩のユ ディス選手(インドネシア)との一騎打ちになりました。ユディス選手も一度は前に出たものの、ファドリ選手がトップでチェッカー、2位にユディス選手、3位には8耐にもエントリーが決まったザムリ選手。
 日本人は、小山選手、玉田選手、伊藤選手が仲良く9、10、11位。藤原選手に関してはラスト5ラップで勝負に出て、プッシュしたところでアジア初の転倒レースを記録。日本人選手は口々に「難しいレースだった」と。
 良かったことといえば、優勝のファドリ選手が属するのがTプロ&ユージーなので、チーム手島がアジアのレースで初の栄冠を手にしました。



藤原克昭選手
藤原克昭選手。アジアではメーカーの枠を超えてスター的存在。


玉田誠選手
玉田誠選手。昨年はインドでハイサイド転倒赤旗からの優勝という奇跡的なレースを演じました。


小山知良選手
小山知良選手。昨年よりアジア参戦、目玉のヘルメットはなんといっても存在感あります!


岩田悟選手
岩田悟選手。インドネシアはイマイチ乗り切れなかった模様。


伊藤勇樹選手
伊藤勇樹選手。足首の骨折を押しての出場で、しかも予選でも激しく転倒。満身創痍で挑んだ決勝で2レースとも完走。


伊藤勇樹選手
伊藤勇樹選手のグリッド。ペトロナスのお姉さんは開催地で用意されますが、当たり!


玉田選手のピット
玉田選手のピット。ピット内は日陰でも30度を超す暑さで、強力な扇風機(送風機?)があってもこの顔。


そもそもレインタイヤの用意がないアンダーボーンのレースは土砂降り


レース後半ウェット部分が少なくなり、パッチを縫うように仲良く日本人3台……
そもそもレインタイヤの用意がないアンダーボーンのレースは土砂降り。 レース後半ウェット部分が少なくなり、パッチを縫うように仲良く日本人3台……


参戦2年目にして手島監督が表彰台で感無量
参戦2年目にして手島監督が表彰台で感無量。

 続くレース2でもインターバルの間に降った雨により、同じようなコンディションでレースが行われ、ここのところ急成長のザクワン選手とインドネシア勢のトップ争い。終盤の1コーナーでファドリが転倒、ザクワン初優勝、2位のディマス選手も8耐のエントリーが発表されました。
 日本人上位は4位に藤原克昭選手、6位小山知良選手、7位の伊藤勇樹選手は足の骨折をおしての出場でした。そして残念なのはオープニングラップで他車に追突されてリタイヤになった玉田選手。終わって、すこしチーンといったムードの否めない第2戦でしたが、第3戦、4戦は日本でのレースです。日本勢の巻き返しに期待です。

 日本勢ですが、アジアではADCの若手を含め選手はみんな仲がよく、パドック内交流は盛んです。競いあう勝負の世界ですが、藤原選手がいつも言うように、最後は「自分との戦い」です。オンとオフの切り替えの上手さやその落差の激しさ(笑)などは世界で戦ってきた人ほど凄いというか、気持ちよくレースができる環境を作るのがお上手!



たまやんと克ちゃん、ピットは手を上げて渡りましょう!って進行方向、逆なんですけど


稲垣選手
たまやんと克ちゃん。ピットは手を上げて渡りましょう! って進行方向、逆なんですけど…… 稲垣選手、以前からアジア参戦をしていて藤原選手とも仲がいいです。


アジアではピットは隣同士


ザムリ・ババ選手
アジアではピットは隣同士。昔から仲良しはずっとこんな状態。レースは真剣勝負! ザムリ・ババ選手はシーズン前に大腿骨を骨折しましたが開幕で優勝「エア骨折」などと言われるほどの回復力で8耐にも参戦。


インドネシア人同士の熱い抱擁


ファドリ選手
優勝したファドリとラストラップのバトルを演じたユディス。インドネシア人同士の熱い抱擁。 レース1で優勝したファドリは昨年入籍した新婚さん。イスラム教の教えに忠実な人はホントに多く、サーキットでもお祈りは欠かせません。大体のインドネシア女性はこのスタイルです。


大好きなファドリといつもイチャイチャ


カワサキのピット
ユディスはファドリに憧れてレースを始めたそうで、大好きなファドリといつもイチャイチャしてるんです。ファドリはサルっぽいですが、ユディスはイケメン。 ブンシュウほど強力な扇風機がないカワサキのピット内ではだいたい裸の藤原さんが見られます。ホントに、暑い!


スーパースター


ディマス選手
そして、なにをやらせてもスーパースターです。 克っちゃんからトレーニングの教えを乞うたディマス選手も今年は8耐参戦。

 アジアでの撮影はというと、大体のサーキットでの移動はバイクの使用が認められています。コースも荒れていればコースサイドのサービスロードもダートなので、オフ車が最高。コースで出会う動物といえばトカゲ、コブラ、コモドドラゴン……にはまだ出会えていません。コースサイドにはバナナ、そしてタダ見のお客さん。コースオフィシャルは……子供?! そして、決勝のお客さんはグリッドぎりぎりまで詰めかけてきます。インドネシアは車もバイクも渋滞が社会問題になるくらいに売れているのでレースに対する関心も高く、レースで好調なメーカーのバイクは売れ行きも好調、と、レースと販売が密接に結びついています。

 ちょっと昔の、日本みたいですね。
 負けちゃいられません!



雨が降ったらピットは湖、のアジアンクオリティ
雨が降ったらピットは湖、のアジアンクオリティ。


席との垣根がフリーダムです


オオトカゲ
サービスロードに詰めかける観客、席との垣根がフリーダムです。 コースで出会った、オオトカゲ、だいたい60センチくらい。


サービスロード


コースサイドのバナナの木
こんな感じのサービスロードを走りますが、草むらやタイヤの影でヘビ、コブラがおやすみしているので撮影時には要注意です。 コースサイドのバナナの木。たくさんあります。ちなみにコースのとなりはジャングル。


雨が降ったらピットは湖、のアジアンクオリティ
サーキットのたぶん敷地内じゃないか? と思うんだけど、フェンス1枚隔てた場所には家があります。だいたい鈴なりの子供が楽しそうにしています。

■アジアロード選手権のリザルトなどはこちらで。

■楠堂カメラマンイチオシのキッズライダーたち世界へ。詳細はMBニュース&トピックスでで。


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