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ホンダ PCX記事

 
走りだした途端に感じる”異変”とは!?

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 3世代目となる今回の新型PCXシリーズ、ホンダの発表によるとフル・モデルチェンジということで型式は125が「JF28」から「JF56」へ、150は「KF12」から「KF18」となっています。外観は従来モデルのイメージを踏襲していますが、前後カウルのボリュームが増したことに加え、全体的に直線的なシャープな印象に。基本となる骨格や足まわりは変わっていないようなので、従来の機能パーツの多くはそのまま流用できるようです。

 新型PCXシリーズは、LED灯火類やタンク容量のアップなど、使い勝手の向上と最新トレンドアイテムを取り入れ、世界に存在するライバルに対しアドバンテージを得ることが使命。グローバルモデルとして磐石な体制を築くためのモデルチェンジと言えるでしょう。何と言っても125~150ccクラスは世界規模で見ると最も販売台数が多いゾーンですから。

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新型はPCXとわかる全体のフォルムを踏襲しつつ前後のボリュームが増し、シャープな印象に。ボディカラーはパールジャスミンホワイト、ポセイドンブラックメタリック、キャンディーノーブルレッド(125専用色)、マットテクノシルバーメタリック(150専用色)を設定。ライダーの身長は173cm。

 さて、新型PCXに実際に乗ってみた印象は? 車格、ポジションなどはほぼ従来のまま。当たり前かもしれませんが、違和感なく新型に乗り換えることができるということは重要なポイントです。シートは表皮が変わったことで滑りにくくお尻が落ち着く印象。バックレストは廃止(シート一体型)になりましたが、その分、ポジションの自由度が高まっており、特に長身のライダーには恩恵ある改良でしょう。ただ、シート全体の幅が広くなったのか、足つきが若干スポイルされたように思えるのは気のせいでしょうか? パッセンジャーの着座部は面積も増え、居住性の向上を果たしています。

 走り出すと、まず最初にメーターあたりに異変を感じます。メーターの針が逆から生えてます! クルマなどではよく見られるギミック(?)ですが、バイクでは珍しいかも。

 パワーフィールは若干乾いた印象で、”トロトロトロッ……”というシットリ感は薄れた印象ですが、それは基本的に同じエンジンを搭載するリード125やSh-modeとは異なり、やはりPCX特有のフィーリングが存在しています。

 騒音基準もグローバル仕様になったおかげで、これまでの日本仕様に存在していた40~60km/h近辺の回転の落ち込みが改善されています。従来型モデルは回転の落ち込みがあった分、伸びの良さが際立っておりましたが、新型は回転上昇の抑揚が無くなったおかげで”速さ感”はありませんが、実際は確実に速くなっているでしょう。どの速度域からでも希望通りの加速が得られるようになりました。アイドリングストップの制御もより洗練された印象で、エンジン停止時のクランク(?)の揺り返しのようなものが少なくなったような気がしました。

 新型PCXには新たに燃費計が装備されていますが、ちょこちょこと見ていると「壊れているのか?」と思うほどイイ燃費数値が表示されています。通勤を想定した街中の走行で、普通に50km/L以上走っていました。イイ数値が出れば、もっと良くしてやろうと思うのが人間の心理。燃費計は優れた経済性の相乗効果を生み出す装備と言えるでしょう。ちなみに今回、トータル578.6km走った平均燃費は、満タン法計測で48.95km/L。燃料タンクの容量が8Lになったので、遠出すれば400km近く無給油走行が可能。このクラスのスクーターとしては異例の”長い足”です。

 あと、気になる装備と言えばLEDヘッドランプ。見た目のインパクトはあるし、何より消費電力が少なくなっているのが嬉しいですね。ただ、あまり慣れていない青っぽい光により夜間走行は視認性という点でまだ多少違和感ありますが、ヘッドライトのカットはワイド目で、路肩なども広く照らしてくれる配光だと感じました。

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灯火類は全てLEDに。ロービーム時は左右2灯+ラインビーム状のポジション(販売される国の法規によっては独立点灯可)、ハイビーム時は加えて中央部が点灯する。先進性と消費電力の削減に貢献。 ワイド感が強調されたテールランプは下部が、ブレーキ時は加えて上部が点灯。シャープな発光で視認性は高い。新型はハザードランプが新たに備わり、もちろんライセンスプレート灯も含めLEDとなっている。 外周から速度を指す指針が特徴のメーターまわり。照明色はブルー系。経済走行の目安となる平均燃費、オイル交換時期警告、今までPCXになかったのが不思議だった時計を新たに装備。
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バックレストが廃止(一体型)され、ライディングポジションの自由度が向上したシート。シート表皮も変更となり、ダブルステッチが施される。リアカウルにはトップボックスの取り付けが容易となる脱着可能なカバーを装着。 シートは開閉時に途中位置で固定できるストッパー機構を新採用。シート下のユーティリティ・スペースは25Lと、容量に大きな変更はない。 フロントパネル左側のグローブボックスは500mlサイズのペットボトルが収納可能な容量。また、アクセサリーソケットを装備することで、スマートフォンなどの充電ができるようになった。
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給油口の位置、2012年モデルで改良されたリッドの開き方に変更はないが、容量は一気に2.1Lアップの8Lに。航続距離が増え、給油頻度を低減させた。 ハンドルロック時、キーを抜くと自動的に鍵穴を塞ぐ、盗難抑止に効果的なオートシャッター付キーシリンダーを採用。給油リッド/シートを開けるシーソー型スイッチは変更なし。 ハンドルグリップはMotoGPのファクトリーマシン、RC213Vにも採用されるものと同デザイン。左側スイッチは操作性向上のため形状を変更。右側にはハザードスイッチ(販売国によってはライトスイッチ)を装備。
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3ポッドキャリパーを持つブレーキやホイールなど、足まわりに大きな変更はない。フロントフォークのアウターチューブは全車マット調のブラックとなった。 大径14インチのタイヤは前後ともサイズに変更はないが、新たに転がり抵抗を軽減する低燃費タイヤが採用された。 騒音基準が世界統一となったため、ミッションケースの樹脂製カバーが廃止に。駆動系は伝達効率に優れ高い耐久性のダブルコグベルトを新採用。 eSPエンジンも細部が見直されるなど、125/150共に燃費を向上させた。
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“+α”のパフォーマンスが気持ちイイ!

 本来ならは軽二輪以上のバイクは私の範疇外でありますが、原二版との違いをご報告するため新型PCX150にも試乗させていただきました。装備や使い勝手は125と共通なので、ここでは主にパフォーマンス面について。

 実は従来型のPCX150にも乗ったことがあるのですが、その時はあまり125との違いを感じることができませんでした。なので今回は125からスグ150に乗り換えてみましたが、25cc分の差をハッキリ感じることができました。出足がさらに力強い! やはり力に余裕があるのは気持ちイイですね。ちょっとスロットルをひねるだけで理想の加速をしてくれ、街中を縦横無尽に駆け抜けてくれます!

 軽二輪の特権を活かし、自動車専用道路も走ってみました。従来型もそうだったのですが、150は70km/h位からもさらにスピードが伸びていきます。最終的にメーター読み110km/h近辺で燃料カットが入る模様。タンデムでも90km/h巡航できることを確認いたしました。

 燃費はトータル687.2km走って、満タン法計測で平均47.62km/L。さすがにタンデムで自動車専用道路を走った時には44km/L位まで落ちこみましたが、よ~く考えるとそれでも全然燃費は悪くありません。

 さすがに150というキャパシティなので余裕があるワケではありませんが、125cc以下通行不可の国道バイパスなどを走行できるというだけでも150の存在価値は大きいと言えるでしょう。そして繰り返しになりますが、やっぱ125に対する+αのパフォーマンスが気持ちイイっす。

 尚、150の試乗車をお借りした時の走行距離は僅か35km。これまで試乗してきたあらゆるPCX同様、新車に近い状態ではエンジンに重さが感じられましたが、走行距離を重ねる毎にフィーリングは良好になっていったことをご報告。

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150の外観の識別点はリアカウルサイドのエンブレム、前後フェンダーのステッカー無し程度。さらに写真のマット調ボディカラーも専用色ということで識別できる。 同じPCXでも軽二輪ということで自動車専用道路へ。例えば東京-横浜間などの都市間移動で威力を発揮。ちなみにPCX150はETC車載器、アンテナの取り付けを簡単とした専用設計に。 80km/h程度の巡航速度ならタンデムでも余裕のパフォーマンスを発揮。車体はコンパクトながら前後の大径タイヤのおかげで高速走行中も安心感がある。
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PCX150のテストを兼ね、車名にちなんで静岡県道150号線(足柄〔停〕富士公園線)を走ってみた。「ふじあざみライン」は自衛隊演習所を横に気持ちの良い道が続く。 JR足柄駅近くをスタートし、富士山須走口・新5合目まで、県道150号線全走破! 後半はタイトなコーナーが続き、150の排気量でもお楽しみが多い道だった。 PCX150の総排気量にちなみ、お次は静岡県道152号線(富士公園太郎坊線)にもチャレンジ。登山道を経由し、富士山頂に続く標高日本一の道路だとか。もちろんバイクで頂上へは行けないと思いますが……。 クルマ・バイクで行けるのは富士宮口・新5合目まで。こちらはまだ雪が残っていた。雲を下に記念撮影。こちらの道もパワー不足を感じることなく快適に走ることができました。

 
もはや”125/150クラスのスクーター”とカテゴライズできない乗り物に

 従来型モデルも素晴らしい仕上がりで、これ以上新しくなる必要はあるのか? と思っていましたが、やはり新型はさすがに良く仕上がっています。ほぼ完成していたモデルだけに、2010年に初めてPCXに乗った時のような大きな感動はありませんが、確実に進歩を果たし、原二クラス・トップの座を磐石なものとした仕上がりを実感いたしました。

 125でも十分以上のパフォーマンスを有しています。おそらくクラス最強でしょう。が、150は+αのパフォーマンスと軽二輪としては軽い車体と相まって”街中最強”ではないでしょうか? 維持費の安さから125がオススメですが、150も中々捨てがたい魅力あり。ま、これはユーザーさんの使用状況が決めることですが……。

 絶妙なサイズ、ほどほどの重さなど、このバランスが毎日の足として最適だし、運転していても楽しい。安定感、安心感もある。PCXは125ccクラス、または150ccクラスのスクーターというカテゴリーではなく、ちょっと言いすぎかもしれませんが”PCXクラス”と言えるような、独自の乗り物のように思えてきた、今回の試乗でした。

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●PCX〔PCX150〕主要諸元
 
■型式:EBJ-JF56 〔JBK-KF18〕■全長×全幅×全高:1,930×740×1,100mm■ホイールベース:1,315mm■最低地上高:135 mm■シート高:760 mm■車両重量:130〔131〕kg■燃料消費率:53.7〔52.9〕km/L(国土交通省届出値 60km/h定地燃費値 2名乗車時)50.8〔45.6〕km/L (WMTCモード値 クラス1 〔クラス2-1 〕 1名乗車時 )■最小回転半径:2.0 m■エンジン種類:水冷4ストロークOHC単気筒■総排気量:124 〔152 〕cm3■ボア×ストローク:52.4 × 57.9 〔58.0 × 57.9 〕mm■圧縮比:11.0〔10.6 〕 ■最高出力:8.6 kw(12 PS)/8,500rpm[10 kw(14 PS)/8,500rpm]■最大トルク:12N・m(1.2kgf・m)/5,000 rpm〔14N・m(1.4kgf・m)/5,000 rpm〕■燃料供給装置:電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)■始動方式:セルフ式 ■点火装置形式 :フルトランジスタ式バッテリー点火 ■燃料タンク容量:8.0 L■変速機形式:無段変速式(Vマチック) ■タイヤ(前/後):90/90-14M/C 46P /100/90-14M/C 51P ■ブレーキ(前/後):油圧式ディスク/機械式リーディング・トレーリング■懸架方式(前/後): テレスコピック式 /ユニットスイング式 ■フレーム形式 :アンダーボーン ■車体色:パールジャスミンホワイト 、キャンディーノーブルレッド、ポセイドンブラックメタリック〔パールジャスミンホワイト 、マットテクノシルバーメタリック、ポセイドンブラックメタリック〕■メーカー希望小売価格(消費税8%込み):329,400〔360,720〕円

 

●PCXに最適“urbanism”でカジュアルに走りたい

問:ジェーアンブル TEL:03-5790-5190 http://www.j-amble.com/

UNJ-006N
ジェーアンブルが展開する1ブランド・urbanism(アーバニズム)は、メッセンジャーなどの都会的テイストを盛り込んだライディングウェア。その2014春・夏モデルである「UNJ-006N」はオールシーズン対応のジャケット。アシンメトリーのファスナーが目を惹くデザイン、3レイヤーの透湿防水が特徴。脇下や袖にベンチレーション、後ろ裾には多目的ポケットを装備。カラーは写真のカムフラ系グリーンの他、グレー、ブラック/イエローを用意。22,000円(税別)。
UNJ-015
これからの時期に最適なサマーメッシュジャケットは、優れた通気による快適性に加え、肩、肘、脊椎のメッシュプロテクター標準装備という安心感も。走行風によるバタツキを防止するフラップを採用。背部は前傾姿勢が楽なアクションプリーツ、被視認性を高める高輝度リフレクターを装備。自転車に乗る時も使えるジャケットだ。カラーは写真のホワイト/ネイビーの他、チャコール、ブラック/グリーンの3種。15,800円(税別)。


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