かつてミスター・バイクの誌上を彩った数々のグラビア。
1980年代中盤から1990年代に、メインカメラとして君臨? した謎の写真技師、エトさんこと衛藤達也氏が明かす、撮影にまつわる、今だから話せる(んじゃないかと思うけど、ホントはまずいのかも)あんな話、こんな話。
「プロジェクターライトは、
ミスター・バイクの未来を照らしたのかい?」(前編)
ミスター・バイクの未来を照らしたのかい?」(前編)
みなさま、あけましておめでとうございます。
今年は少しでも明るく楽しい年になりますように。
では、昔話におつきあいくださいませ。
今年は少しでも明るく楽しい年になりますように。
では、昔話におつきあいくださいませ。
いつものように食堂から
ふら〜とお屋敷の編集部に顔をだすと、近藤編集長が言いました。
「エトー、安生、食堂に来いや」
さっそくお呼び出しです。今度はどんな悪巧みでしょうか?
押しが強い(=我が道を貫き通す。当然空気なんて読まない、読もうとしない、いや実は読めない……最近はずいぶん丸くなったと風の噂で聞きました)と業界内外で悪名? 高い安生(あんじょう・現ミスター・バイクBG編集部員)さんに「なんでしょうね?」と尋ねたら、「ふ〜じ家丼でもお〜ごってく〜れるんじゃない?」と、楽天的に言いました。
ふじ家丼とは編集部がよく出前を頼んでいたふじ家(そば屋)に「イ〜カ天とエ〜ビ天を安くおいしく、とにかく安く食〜べたいよ、作っ〜て。だはだは」と安生さんがムリヤリ作らせたらしいエビ+イカ天を玉子で綴じた伝説の特製天丼です。なぜそれがふじ家丼なのか? ふじ家のご主人の安生さんに対する感情が付けさせたネーミングに違いありません。
「エトー、安生、食堂に来いや」
さっそくお呼び出しです。今度はどんな悪巧みでしょうか?
押しが強い(=我が道を貫き通す。当然空気なんて読まない、読もうとしない、いや実は読めない……最近はずいぶん丸くなったと風の噂で聞きました)と業界内外で悪名? 高い安生(あんじょう・現ミスター・バイクBG編集部員)さんに「なんでしょうね?」と尋ねたら、「ふ〜じ家丼でもお〜ごってく〜れるんじゃない?」と、楽天的に言いました。
ふじ家丼とは編集部がよく出前を頼んでいたふじ家(そば屋)に「イ〜カ天とエ〜ビ天を安くおいしく、とにかく安く食〜べたいよ、作っ〜て。だはだは」と安生さんがムリヤリ作らせたらしいエビ+イカ天を玉子で綴じた伝説の特製天丼です。なぜそれがふじ家丼なのか? ふじ家のご主人の安生さんに対する感情が付けさせたネーミングに違いありません。
それからもうひとつ。安生さんは自分では「な〜まってな〜いでしょ」と言いますが、誰が聞いても純正北関東訛です。ですから安生さんのセリフには多数「〜・だはだは」が入っています。以下すべて北関東訛風に変換してお読みください。食堂に入り、ふじ家丼で頭がいっぱいの安生さんと並んで近藤編集長の前に座りました。
「エトー。来週さ、ヤマハの試乗会があるんだ。試乗車は2輪初のプロジェクターヘッドライトのレーサーレプリカFZR400RR。これを表紙にしようと思う。そこでエトー、安生とプロジェクターを強調するような写真を撮ってこいよ」
「えっ、2人だけですか?」
「なっ! そんなこたーねーよっ! ちゃんと俺もつきあうよ!!」(ホントかなー、少し怪しい気がする)
安生さんは、巻頭特集じゃないから関心がないのか、ふーんという感じでした。
この頃の記憶が薄れてハッキリしないのですが、安生さんはBGからミスター・バイクに帰ってきたのか、まだBGにいたのか?
一応確認しておこうと先日、安生さんに今回の話のこと聞いてみたら「そ〜んな撮影し〜たっけ?? 最〜近記〜憶がとこ〜ろどころ飛〜んでいるんだ〜よ。だははは。さあ、パ〜ン食べよ。あ〜れ、パン〜が無いよ。誰食べたの? あっ、さっ〜き食べたん〜だ。だはだは」と恐ろしいことを言っていました。ならば、多少誇張表現しても本人が覚えていないんだから問題ないですね。ということで以下、3〜6割ほど増量させていただきます。
それはともかく、当時安生さんと巻頭特集の特撮をよく一緒にやっていました。
安生さんとのコンビで有名なのは前に紹介した、工場で夜撮して編集長賞をもらったZ2改の写真でした。
その撮影よりもっと強烈に印象に残っているのは、確かBGが月刊になったばかりの頃のことです。
「エ〜ト〜君、バ〜イクのう〜しろで火〜がバ〜ンバン〜燃〜える写真撮〜りたいんだけど、ど〜したらい〜い? だはだは」と聞かれたので、深く考えず適当に「いらない布団持ってきてガソリンぶっかけて後ろで燃やせばいいんじゃないですか?」と答えました。すると「こ〜れで、い〜いか〜な?」と、汚れを知らない少年の目で言うのです。
「この人はピュアすぎて……危険だ」
「エトー。来週さ、ヤマハの試乗会があるんだ。試乗車は2輪初のプロジェクターヘッドライトのレーサーレプリカFZR400RR。これを表紙にしようと思う。そこでエトー、安生とプロジェクターを強調するような写真を撮ってこいよ」
「えっ、2人だけですか?」
「なっ! そんなこたーねーよっ! ちゃんと俺もつきあうよ!!」(ホントかなー、少し怪しい気がする)
安生さんは、巻頭特集じゃないから関心がないのか、ふーんという感じでした。
この頃の記憶が薄れてハッキリしないのですが、安生さんはBGからミスター・バイクに帰ってきたのか、まだBGにいたのか?
一応確認しておこうと先日、安生さんに今回の話のこと聞いてみたら「そ〜んな撮影し〜たっけ?? 最〜近記〜憶がとこ〜ろどころ飛〜んでいるんだ〜よ。だははは。さあ、パ〜ン食べよ。あ〜れ、パン〜が無いよ。誰食べたの? あっ、さっ〜き食べたん〜だ。だはだは」と恐ろしいことを言っていました。ならば、多少誇張表現しても本人が覚えていないんだから問題ないですね。ということで以下、3〜6割ほど増量させていただきます。
それはともかく、当時安生さんと巻頭特集の特撮をよく一緒にやっていました。
安生さんとのコンビで有名なのは前に紹介した、工場で夜撮して編集長賞をもらったZ2改の写真でした。
その撮影よりもっと強烈に印象に残っているのは、確かBGが月刊になったばかりの頃のことです。
「エ〜ト〜君、バ〜イクのう〜しろで火〜がバ〜ンバン〜燃〜える写真撮〜りたいんだけど、ど〜したらい〜い? だはだは」と聞かれたので、深く考えず適当に「いらない布団持ってきてガソリンぶっかけて後ろで燃やせばいいんじゃないですか?」と答えました。すると「こ〜れで、い〜いか〜な?」と、汚れを知らない少年の目で言うのです。
「この人はピュアすぎて……危険だ」
この出来事以降、特撮をする場合よく考えてから回答しないと、いつかは新聞ネタになってしまう、と深く深く反省したのです。
話を戻します。
話を戻します。
「エ〜ト〜君、ど〜すんのプロジェ〜クタ〜ランプ強調する写〜真って? だはだは」
「どんなのですか、そのプロジェクターランプって?」
「それは、 あ〜れだよ、あれ。最近の4〜輪のランプ、今〜までのと違〜ってランプにレ〜ンズはいっているタ〜イプのがあるでしょ。だはだは」
「あ、見た事がある。プロジェクターって、スライド写真を見るやつみたいなランプですね。じゃあ、あれか、幻灯機か」
幻灯機? ああ、そうか。あのイメージだ。幻灯機という言葉からぱっと思いついたのです。映画などでよく見るような、映画を上映してるシーン。 煙った室内で映写すると、サーチライトの様に1本光の筋が出来るあれ。
そうだ、これだ。
「安生さん、煙ですよ。浅草あたりで煙幕花火をたくさん仕入れてください。できるだけ長い時間発煙するやつです。お店の人に言えば、絶対ありますから」
学生の頃、映画撮影のバイトをやっていて聞いたのです。「探偵物語のベスパの煙は煙幕を使った」と小道具さんが言っていたことを。
「ところで、近藤さん。試乗会はどこでやるのですか? 袋井ですか?」
「今回は菅生だってよ」
「菅生ですか。チカラ入ってますね。じゃあ撮影場所はどうしましょうか? 特撮となると他社の目もあるし、バレない様にしないといけませんね」
「どこがいいんだ?」
「そーですね、菅生だったらやっぱりサーキットの中がいいんじゃないですか? 夜、懇親会をやっているときならホテルから遠いし、まさか夜中に撮影してるなんて誰も思わないでしょ」
「なるほどな。でもな、エトー、懇親会がネックなんだよ。俺、編集長だろ。俺が懇親会にいないと、みんなに怪しまれるだろ」
(ああ、そう来ましたか。そりゃ12月の夜中、寒空の下で撮影に立ち会うより、陽気にコンパニオンのオネーサンたちとお酒飲んでるほうがいいですもんね)
「そーですね。それはちょっとまずいかも、ですね」(と、探りを入れてみたら)
「な、な、な! だから俺は懇親会に顔を出して、様子を見て途中で抜け出して手伝いに行くから。な、な! そーしよう。なっ!」
(予感的中。この頃、だんだんと解ったことのひとつに近藤編集長が「な!」を連発するときは、その内容がほぼ空手形になるということ。そして近藤編集長はホントにお酒とオネーさんが好きなんだ、ということです)
「それじゃ、しょうがないですね。ばれたら面倒ですし。大御所の方にニラまれているから(←この件に関しては、いずれお話しします)この作戦でいきますか。 安生さんとアキラ(当時レプリカ系の誌上を担当していた若ライダー)がいればなんとかなるでしょう」
実質近藤編集長がいないとなると現場責任者は安生さんになりますので、具体的な内容を詰めました。
「エ〜ト〜君、煙幕花火の他は何〜を用〜意したらい〜いの? だはだは」
「どこで撮影するにしても電源はいりますね。発電機お願いします。2台。 他は大丈夫です。必要なものは持って行きますから」
「どんなのですか、そのプロジェクターランプって?」
「それは、 あ〜れだよ、あれ。最近の4〜輪のランプ、今〜までのと違〜ってランプにレ〜ンズはいっているタ〜イプのがあるでしょ。だはだは」
「あ、見た事がある。プロジェクターって、スライド写真を見るやつみたいなランプですね。じゃあ、あれか、幻灯機か」
幻灯機? ああ、そうか。あのイメージだ。幻灯機という言葉からぱっと思いついたのです。映画などでよく見るような、映画を上映してるシーン。 煙った室内で映写すると、サーチライトの様に1本光の筋が出来るあれ。
そうだ、これだ。
「安生さん、煙ですよ。浅草あたりで煙幕花火をたくさん仕入れてください。できるだけ長い時間発煙するやつです。お店の人に言えば、絶対ありますから」
学生の頃、映画撮影のバイトをやっていて聞いたのです。「探偵物語のベスパの煙は煙幕を使った」と小道具さんが言っていたことを。
「ところで、近藤さん。試乗会はどこでやるのですか? 袋井ですか?」
「今回は菅生だってよ」
「菅生ですか。チカラ入ってますね。じゃあ撮影場所はどうしましょうか? 特撮となると他社の目もあるし、バレない様にしないといけませんね」
「どこがいいんだ?」
「そーですね、菅生だったらやっぱりサーキットの中がいいんじゃないですか? 夜、懇親会をやっているときならホテルから遠いし、まさか夜中に撮影してるなんて誰も思わないでしょ」
「なるほどな。でもな、エトー、懇親会がネックなんだよ。俺、編集長だろ。俺が懇親会にいないと、みんなに怪しまれるだろ」
(ああ、そう来ましたか。そりゃ12月の夜中、寒空の下で撮影に立ち会うより、陽気にコンパニオンのオネーサンたちとお酒飲んでるほうがいいですもんね)
「そーですね。それはちょっとまずいかも、ですね」(と、探りを入れてみたら)
「な、な、な! だから俺は懇親会に顔を出して、様子を見て途中で抜け出して手伝いに行くから。な、な! そーしよう。なっ!」
(予感的中。この頃、だんだんと解ったことのひとつに近藤編集長が「な!」を連発するときは、その内容がほぼ空手形になるということ。そして近藤編集長はホントにお酒とオネーさんが好きなんだ、ということです)
「それじゃ、しょうがないですね。ばれたら面倒ですし。大御所の方にニラまれているから(←この件に関しては、いずれお話しします)この作戦でいきますか。 安生さんとアキラ(当時レプリカ系の誌上を担当していた若ライダー)がいればなんとかなるでしょう」
実質近藤編集長がいないとなると現場責任者は安生さんになりますので、具体的な内容を詰めました。
「エ〜ト〜君、煙幕花火の他は何〜を用〜意したらい〜いの? だはだは」
「どこで撮影するにしても電源はいりますね。発電機お願いします。2台。 他は大丈夫です。必要なものは持って行きますから」
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●衛藤写真事務所 http://www1.bbiq.jp/tailoretoh/site/Welcome.html
●メール tatsuyaetoh@gmail.com