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BMW Motorrad Japan BMW R nineT BMW S 1000 R BMW_R_1200_RT
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こちらの動画が見られない方、もっと大きな画面で見たい方は、YOUTUBEのサイトで直接どうぞ。「http://youtu.be/ggn8CDa7bZ4

 
BMW R nineT

BMWの創立90周年を記念する“R nineT”
カスタマイズを提唱するライフスタイルコンセプトモデル

 R nineT(アール・ナインティと読む)は、これまでとはまったく違う新ジャンルのBMW車である。見事なまでにスッキリしたショートテール、カラーリング、前後のワイヤースポークホイール、全体に漂うのはレトロなカフェレーサー感。見た目にかなりこだわった。さらにカスタマイズベースとしての心得もある。フロントサスペンションには部品が豊富で交換が容易なテレスコピックフォークを使い、パイプのバーハンドル、リアフレームも取り外しが出来る(フレームは4つのセクションに分かれている)。大胆なカスタマイズは今までBMWでは不可侵的なものだった。

 他のメーカーではある意味で普通のことだ。国産では雰囲気のあるレトロモデルでカスタマイズを楽しめる機種は’80年代からあった。一方、BMWというメーカーはずっと、オートバイの機能についてものすごくこだわってきたメーカーで、乗ると「なるほど」と思わせる高い完成度の説得力のある作り、装備、走りを持ってきた。それにほぼ例外はなかった。余分な色気やケレンみたいな、機能からすれば、余分なものを意識的に排除したような、玄人好みのオートバイが多い。

 並列4気筒エンジンに、R nineTと同じく得意のデュオレバーやテレレバーじゃなく、一般的なアップサイドダウン型テレスコピックフォークと、リアは通常タイプのスイングアームでチェーンドライブを採用したS 1000 RR。これをBMWの中で異端児的な見方をする人もいるけれど、これもサーキットで速く走るために必要な機能のために採用したもの。日本のスーパースポーツと同じような構成になったのは、レースで勝つために最善の選択をした結果であろう。だから、S 1000 RRからも実にBMWらしいフィロソフィーを感じている。

 説明が長くなって申し訳ないけれど、故にスタイルとカスタムに重心を置いたR nineT はBMWにとって新しい挑戦ということになる。

 ロー&ロングな姿はオートバイをカッコ良く見せるひとつの様式。確実にそこを狙っている。シートは低いし、太もも裏が当たる前側が細くなっているので、跨ると170cmで短足な私でも両ソールの半分くらい地面に届いた。シート表面とあまり段差がなく緩やかにラインが繋がっている燃料タンク位置も当然低い。前方はボリュームがあるけれどニーグリップする部分がキュッと細くて、股の挟み込み具合はとてもいい。車体が低いこともあって、全体的にコンパクトな印象。

 いわゆるファットバータイプのパイプハンドルは通常のクランプ方式。こういうところからも、「カスタムしてもいいよ」というメッセージが伝わってきた。ハンドル幅は広めだ。グリップの位置は肩幅より両側に拳2個くらい外に出る。さらに手前の絞りが緩い。私の体格だとグリップ位置が遠く肘の開きが大きくなって、手首が楽になれないけれど、まあ、それならばもう少し絞ったものに交換すればいいだけ。そういうスタンスだと受け取った。背筋が立ち上がった楽ちんポジションではなく、気持ち前傾姿勢。それでステップバーの位置はスポーツモデルより若干前方。だからポジションにもどことなくレトロの風味がある。

 黒く塗られた空油冷のフラットツインエンジンはK25 R 1200 GSから譲り受けたもの。リアの足周りは、スイングアームがK27 R 1200 Rで、ドライブユニットはK25。始動させるとマフラーからパンチの効いた乾いた音が出た。この左2本出しメガホンマフラーも間違いなくスタイル優先で選ばれたもの。スロットルをあおってみると右に傾くトルクリアクションが最近のモデルにしては強めに出た(動画を観て欲しい)。R1200RTにもあったが、それより強め。味付けとして意識的に残しているのかも。ルックスと、排気音と合わせてワイルドな雰囲気を作り出すのに成功している。

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 走りだすと、エンジンは気持よくスルスルっと滑るように車体を前に進ませる。スロットル操作に、エンジン回転数がリニアすぎない、というか、パワーの出方がいい意味で鋭くなく、スロットルオフでもエンジンブレーキの立ち上がりが緩やかで、それのおかげで「滑るように」という表現をしたくなる心地の良いクルージングが可能だ。誤解がないように念を押せば決してダルだといっているのではない。スポーツと言えるほどキビキビ加速するし、トルクはあくまでもフラットな特性で、低回転から高回転までスムーズ。ほどほど感が丁度いい。

 左右に倒しこむ動きは軽く、特別な作法がいらず、幅広いレベルのライダーが思うように曲がる動作に移れるだろう。前後サスペンション、特にものすごく太いフロントフォークも、それほど飛ばさなくても動きは良好。ホイールトラベルは前後120mmとロードスポーツとして充分に確保されている。低い重心のおかげか、軽快ながら車体がバンクしはじめる動きに“急“という文字を使わないですむ安心感があった。標準装備されたステアリングダンパーの効果もあるだろう。ブレーキは強力なラジアルマウントの4ピストンモノブロックキャリパーにΦ320mmのダブルディスクだから効きについて不満はまったくない。制動の立ち上がりが唐突ではなくコントロールもしやすい。春の暖かい日差しだけれど、空気の奥に冬が居残っているような天候の中、流して気持ち良く走れた。

 ただ、あくまでも私の個人的な意見として120/70-17と180/55-17の今どきの太いタイヤとインナーチューブ径46mmの太いフロントフォークは、確かに見た目がいいけれど、ちょっとやりすぎのように感じたのも事実。足周りの剛性が高く、タイヤは太くグリップが良いこともあり、車体が立ちやすい。外観とエンジンキャラクターに合わせるならば、細めの正立フォークに、細めの前後18インチタイヤくらいでヒラヒラっと走るほうが合っているんじゃないかな、と。もちろん現状でも、とっても楽しく走れる、というのが前提にありながら、BMWというメーカーの作り込みの巧みさを知っているから、ちょっとだけ取ってつけたようだ、と受けとった。何度も書くが、これは走りの機能だけでなく、カタチにもこだわりを持って生まれた。それがキモであるから、この選択は大いに理解出来る。そこを違和感なくバランスさせた力量は流石と言える。

 とにもかくにも間違いなく注目度はバツグンだ。私の周りにいる多数のバイク好きからも試乗後に「あれ、乗ってどうだった?」と何度も聞かれた。このスタイルに惹かれて気になっている人は少なくない。R nineTは今までBMWに興味を持ってこなかったユーザーを掴むことができそうだ。それを予感させ魅惑が詰まっている。

(試乗:濱矢文夫)

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ライダーの身長は170cm。「シートは低いし、太もも裏が当たる前側が細くなっているので、跨ると短足な私でも両ソールの半分くらい地面に届いた」(濱矢)。
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空油冷4ストロークフラットツインエンジンを搭載。4ラジアルバルブ、セントラルバランサーシャフトを採用し、排気量1,170cm3から81kW(110ps)/7,550rpmの最大出力と、119Nm/6,000rpmの最大トルクを発生する。搭載するのは、4セクションフレーム(フロント1、リア3)で、エンジン&ギアボックスユニットをフレームの一部として使用する。後部座席フレームは取り外し可能としてカスタマイズの幅を広げている。クローズドループ三元触媒コンバータ等により排ガス基準EU3をクリア。
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足周りではフロントにはφ46mm倒立式フォーク、リアにBMW Motorrad独自のパラレバーを装備。センタースプリングストラット、片持ち式スイングアーム、可変リバウンドダンピング調整式、プリロード油圧調整式。BMW R nineTは、その個性的なデザインのみならず、個々の好みに対応するオプションの豊富さもポイントで、リアフレームは取り外し可能。6インチ幅のリムをはじめ、さまざまなオプションに充分なスペースを確保できるよう配慮されている。 過去の時代にタイムスリップしたかのようなデザインで、最小限にそぎ落とされた機能と軽快なビジュアルをアピールするメーター周り。必要な情報は中央の多機能ディスプレイによりきっちり伝えてくれる。
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鍛造アルミニウム製フロントフェンダーブラケット、アルミニウム製シートブラケット、インテークシュノーケルもアルミニウム製ベゼルを採用。 カスタマイズに備えて、4パーツ構成のフレームコンセプトと3パーツによるリアフレームをスタンバイ。写真はオプションのアルミ製リアセクションカバーを装備。 質感の高さもR nineTのポイント。
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●BMW R nineT 主要諸元
 
■全長×全幅×全高:2,255×980×1,450mm■ホイールベース:1,510mm■シート高:890mm■空車重量:260kg(走行可能状態)■燃料タンク容量:30L(リザーブ約4L)■エンジン種類:空油冷4ストローク水平対向2気筒DOHC4バルブ■総排気量:1,170cm3■ボア×ストローク:101×73mm■圧縮比:12.0■燃料供給装置:電子制御燃料噴射■点火方式:電子制御エンジンマネージメントシステム■始動方式:セルフ式■最高出力:81kW[110ps]/7,750rpm■最大トルク:119Nm/6,000rpm■変速機形式:常時噛合式6速リターン■ブレーキ(前×後):φ320mm油圧式フローティングダブルディスク、4ピストンラジアルキャリパー×φ265mm油圧式シングルディスク、ダブルピストンフローティングキャリパー■タイヤ(前×後):120/70R17×180/55R17■懸架方式(前×後):倒立式テレスコピックフォーク(直径46mm)×BMW Motorrad EVO パラレバー、センタースプリングストラット、片持ち式スイングアーム、可変リバウンドダンピング調整式、プリロード油圧調整式■フレーム:4セクションフレーム(フロント1、リア3)
■希望小売価格:1,900,000円(消費税込)■2014年4月18日発売

 
BMW S 1000 R

RRをベースにしたエンジンを搭載するストリート・ファイター

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 スーパースポーツモデル、S 1000 RRの外装とハンドルを替えただけ、と思われがちだけど、実は違う部分が多い。乗ってみると、エンジンはS 1000 RRの高回転まで回して伸びる特性から、2000回転から7000回転くらいの中低速に厚みが増えている。おかげで、スロットル操作だけでどこからでもパワーがついてきた。

 試乗したのはサーキットと一般道。スロットルレスポンスが鋭くて、サーキットでは動きの軽快さと合わせてものすごく楽しかった。公道だと下手に開けると強烈だ。飛んで行くようにダッシュする。「RAIN」「ROAD」「DYNAMIC」「DYNAMIC PRO」の走行モードがあって、ウイリー抑制機能がオフになる「DYNAMIC PRO」はコーディングプラグを接続する必要があるので、実質、公道で使えるのは3モード。「DYNAMIC」と「ROAD」はスロットルレスポンスが同じで、トラクションコントロールのDTCとRaceABSの介入タイミングが違う。だから普通の道では「ROAD」で充分、というかいろんな条件が出てくる状況では「ROAD」が最適。それでもエキサイティングすぎる走りが出来るから。

 アップハンドルで、S 1000 RRより前傾姿勢は緩くなっているけれど、ビッグネイキッドとは違い、それなりに前傾姿勢で、ステップも少し後ろ目で高いスポーツライディングに適したポジション。これは少々の違いはあれど、このカテゴリーの特徴でもある。

 ハンドル切れ角は大きくはないけれど、ビギナーでないかぎり困ることはないだろう。簡単に小さくUターンも可能だった。

 ハンドリングは軽快そのもの。とにかく動きが軽く敏捷で、私のレベルだとサーキットで飛ばしてでもまったくへこたれず、面白いように攻めて走れた。状況を自動的に判断してダンピングを変更するDDC機能を与えられた前後サスペンション(フォークのダンパーオイル流量を変化させるバルブの応答時間は10ms以内だそうだ)は特別にそれを意識させるシーンはほとんどなかった。それは、システムの完成度の高さを現す。

 舗装の状況がいろいろあるワインディングを走ったら、サスペンションの動きが硬めに感じる時もあったが、総じて懸念するようなものではない。もっと高荷重(速度を高め)にすればいいのだろうけれど、なかなかそうもいかない。S 1000 RRにくらべフロントのキャスターが寝かせられ、ホイールベースが17mm長い。アップハンドルで乗る機種であることを考慮し、セパレートハンドルより必然的にフロント荷重が抜けるので、安定性を出すためにキャスターが寝かされたのだろう。このおかげなどもあって、路面の継ぎ目やうねりのある路面状況でも不安定なそぶりは見せなかった。

 俗に言われるストリートファイターカテゴリーの中で、このS 1000 Rは、ハマる人のゾーンを絞り込んだものだと感じた。誰でも免許とお金を持っていたら気に入った好きなバイクを選ぶことが出来る。しかし、この動きの俊敏さと、ドンっとくる加速は、老若男女、初心者から誰でもオススメとは言いづらい。危ないのではなく、楽しめないかも、という意味で。本来の性能で楽しむには、それなりに運転できる人の方が好ましいと思った。その分、ハマる人は快楽的な魅力の虜になってしまうだろう。万人に合わせてほどほどより、この割り切り方が私は好きだ。

(試乗:濱矢文夫)

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ライダーの身長は170cm。「アップハンドルで、S 1000 RRより前傾姿勢は緩くなっているけれど、ビッグネイキッドとは違い、それなりに前傾姿勢で、ステップポジションも少し後ろ目で高い、スポーツライディングに適したポジション」(濱矢)
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搭載される水冷4ストロークインライン4気筒DOHC4バルブエンジンは、日本仕様では115kW/10,000rpmの最高出力と、112Nm/9,250rpmの最大トルクを発揮する。RRからの変更点は、カム形状の変更、アウトプットトランジスター内蔵のイグニッションコイルの採用、カムシャフトセンサー、カムスプロケットの変更、バルブスプリングを改良したスチール製バルブ、低中速域におけるシリンダー充填効率の向上を図るエキゾーストポートデザインの変更、などが行われている。 S 1000 R(BMWの社内呼称ではK47)の排気系は、固定ボア付干渉管を備えた4-2エキゾーストからメインマフラーへ、そこから1本になりエキゾーストフラップを通ってS 1000 RR(K46)を踏襲したマフラーに繋がる。エアボックスは、RRでは可変インテークチューブが採用されていたが、低中回転域をより重視するために固定式に変更されている。 タコメーターを中心に配置し、サイドからLCDを割り込ませたデザインのメーターパネル。中央上部にはシフトフラッシュのほか、ASC(オートマティックスタビリティーコントロール)、ABS、クルーズコントロールなどの状態が表示される。RRではクラッチレバーの操作によっていたライディングモードの切り換え操作は、スロットルグリップを戻す操作に変更された。
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S 1000 Rのサスペンションには「Race ABS」と「ASC(オートマティックスタビリティーコントロール)」を標準搭載。「Race ABS」は、パーシャリーインテグラルABSとも呼ばれるもので、減速を最適化し、閾値検出のためにハンドレバーのフィードバックをクリア化、走行中のスイッチオフが可能、耐用年数が極めて長いメンテナンスフリーのウルトラライトシステムの採用などを特長とする。 DTCはバンキングセンサーを備えたアシストシステム。スロットル反応を最大限可能にし、路面の摩擦が少ないときの後輪のスピンを防ぎ、最大限のトラクションと敏捷性や安全性を強化している。HP4のDDC(ダイナミックダンピングコントロール)を流用し、路面や道路の状況にミリ秒単位で対応できるサスペンションシステムとなっている。ダンピング調整も“pleasant”(快適)から“tight”(固め)まで、ライドモード、走行状況、路面状況に応じて選択可能。 日本仕様では、2タイプのカスタマイズパッケージを搭載したモデルが導入された。“Sport”パッケージにはProモード(Rain、Road、Dynamic、Dynamic Pro)、DTC、シフトアシスト、クルーズコントロールを搭載。“Dynamic”パッケージでは電子調整式サスペンションDDC、ヒートグリップ、LEDウィンカー、そして本体と色を合わせたエンジンスポイラーが装備される。
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●BMW S 1000 R 主要諸元
 
■全長×全幅×全高:2,057×845×1,228mm■ホイールベース:1,439mm■シート高:814mm■空車重量:207kg(走行可能状態)■燃料タンク容量:17.5L(リザーブ約4L)■エンジン種類:水冷4ストロークインライン4気筒DOHC4バルブ■総排気量:999cm3■ボア×ストローク:80×49.7mm■圧縮比:12.0■燃料供給装置:電子制御燃料噴射■点火方式:電子制御エンジンマネージメントシステム■始動方式:セルフ式■最高出力:115kW[156ps]/10,000rpm(日本仕様)■最大トルク:112Nm/9,250rpm■変速機形式:常時噛合式6速リターン■ブレーキ(前×後):φ320mm油圧式ダブルディスク、4ピストン固定キャリパー×油圧式シングルディスク■タイヤ(前×後):120/70ZR17×190/55ZR17■懸架方式(前×後):φ46mm倒立テレスコピック式、圧側・伸側減衰調整機能付×アルミ製スイングアーム式、リバウンドダンピング調整機能付■フレーム:アルミ製ブリッジタイプ
■希望小売価格:1,699,000円(消費税込)■2014年4月4日発売

 
BMW R 1200 RT

クラシックなツーリングバイクの代名詞として知られるR 1200 RT
安全性を強化し、さらなるステージへと進化を遂げるリニューアル

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 伝統あるBMWのツーリングモデル、R 1200 RT。その新型に乗った。前から眺めると幅のある大きなカウルに圧倒されるけれど、走りだしてしまえば驚く、本当に驚くくらい運転しやすい。水冷フラットツインエンジンはトルクリアクションを意識するほど感じず、ライダーの体に伝わってくる振動も抑えられている。

 コックピットという言葉が似合うナビをセンター上部にビルトインしたメーターに表示されている、ESA(Electronic Suspension Adjustment)の状態はライダーひとり乗り、当たり前だけど。他にライダーと荷物、タンデムと荷物など。乗車、積載状態に見合ったプリロードとタンピングに手元のスイッチで跨ったまま出来る。ライディングモードは「ROAD」(他に「RAIN」「DYNAMIC」)。この状態だとトラクションコントロールであるASCは標準で、スロットルレスポンスも標準的。モードによってESAも切り替わって、ソフト/ノーマル/ハードとあるESAはノーマルの状態。80年代前半からバイクに乗っている古い人間だから、ちょっと複雑に感じる部分もあるが、使ってみるとそれほど難しいことではなく、直感的に判る部分も多い。このへんは流石だ。

 とにかく、いわゆる標準的な設定で乗った。ピッチングモーションが抑えられフラットに近い乗り心地はなかなか。前後のサスペンションは路面の凹凸をしっかりいなしている。それと共に車体はしなやかなフィーリングだけど前モデルより動きがしっかりしている感じで、高い速度からの減速、コーナーリングでのたわみ的なものが減少して、気持よく思うようにコントロール出来た。剛性をアップさせた新フレームの恩恵に違いない。特にコーナーリングの容易さ、安定感と旋回性の素晴らしさは「おそれいりました」と言いたくなるほど。コーナーが連続するところでも純粋に走りを楽しめた。試乗時間は限られていたので、目玉のメカでもある、設定すると坂道でリアブレーキを自動的に効かせ後ろに下がらないようにするヒルスタートコントロールを試す機会がなかったのは残念。

 日本仕様の標準はローシート(低760/高780mm)なので、身長170cm(短めの足)でも足つきに不満なく、ポジションはまさに椅子に腰掛けているようで、そこから前に手を伸ばせば余裕でハンドルまで届く。私の体型だと、まったく無理がなく、これは疲れにくいだろうと容易に想像できた。もしかすると長身の人は、足の曲がりが窮屈に感じる人もいるかもしれない。

 電動スクリーンを手元のスイッチで上げれば、向かってくる風はそよかぜになって、ポジションとあわせて窓を開けたリビングにいるよう。ギアチェンジにクラッチ操作がいらないギアアシストPROやクルーズコントロールも装備されているし、どこまでも、走れそうだ。快適、安全、それに操る悦びもある。バイクとしての完成度はとても高い。

(試乗:濱矢文夫)

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ライダーの身長は170cm。「日本仕様の標準はローシート(低760/高780mm)なので、身長170cm(短めの足)でも足つきに不満なく、ポジションはまさに椅子に腰掛けているようで、そこから前に手を伸ばせば余裕でハンドルまで届く」(濱矢)。
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新型の水冷BMWボクサーエンジンを搭載。トルクは増大、出力も125psとパワフルな走りを実現。さらに電子制御サスペンションシステムASCでスムーズな走行をサポート。 標準搭載のライディングモードProボタン1つで天候や路面の状況にマッチした走行が可能に。ボードコンピューターProやおなじみのヒートグリップなど、基本的な機材も幅広く搭載。 電子サスペンションBMWダイナミックESAや、シフトアシストProなど操作性や快適性を向上させる多くの機能を搭載。リモートコントロールでケースをロックするセントラルロックシステムやクルーズコントロールシステムなども搭載。
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●BMW R 1200 RT 主要諸元
 
■全長×全幅×全高:2,222×982.8×1,415.6mm■ホイールベース:1,485mm■シート高:760mm■空車重量:274kg(走行可能状態)■燃料タンク容量:25L(リザーブ約4L)■エンジン種類:水冷水平対向2気筒DOHC■総排気量:1,169cm3■ボア×ストローク:101×73mm■圧縮比:12.5■燃料供給装置:電子制御燃料噴射■点火方式:電子制御エンジンマネージメントシステム■始動方式:セルフ式■最高出力:92kW[125ps]/7,750rpm■最大トルク:125Nm/6,500rpm■変速機形式:常時噛合式6速リターン■ブレーキ(前×後):φ320mm油圧式フローティングダブルディスク、4ピストン固定キャリパー×φ276mm油圧式シングルディスク、ダブルピストンフローティングキャリパー■タイヤ(前×後):120/70ZR17×180/55ZR17■懸架方式(前×後):テレレバー、センタースプリングストラット、可変リバウンドダンピング調整式×パラレバー、センタースプリングストラット、アルミキャストシングルスイングアーム、可変リバウンドダンピング■フレーム:2セクションフロントフレーム+リアフレーム
■希望小売価格:2,559,000円(消費税込)■2014年3月7日発売


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