「スポーティな街乗り性能」を目指して、新しい高張力鋼管ダブルパイプペリメターフレームに熟成のコンパクトパラレルツインエンジンを搭載。左からNinja 400 ABS Special Edition“キャンディライムグリーン×メタリックスパークブラック”、Ninja 400の“キャンディバーントオレンジ×メタリックスパークブラック”、そして“メタリックムーンダストグレー×メタリックスパークブラック”(ベーシックのNinja 400は2色の設定)。 | こちらの動画が見られない方、大きな画面で見たい方はYOU TUBEのWEBサイトで直接ご覧下さい。http://youtu.be/yU5UwNLWUMo |
250同様、フルモデルチェンジで、Ninja400Rから“R”が取れて、Ninja400として新登場。ルックスもさることながら、どう進化したのか乗る前から気になっていた。
とにかく、まずは見た目。全体的にマイルドなRで構成されていた、先代とは、全体のプロポーションは似ているが、受ける印象はまるで別物で、エッジがはっきりした、彫りが深く陰影がはっきりと出る、シャープな姿になった。写真では判りにくいけれど、フロントカウル中央、ヘッドライト間に彫り込みが入っていて、角度によって見え方が違う。
最近のカワサキ車はデザインがいい、と数年前から言われ続けているが、これもその例にもれない魅力的なものになった印象だ。好き嫌いは個人によって様々だけど、このスタイリングには迷いを感じさせない勢いがある。個人的には、素直に「カッコよくなったなぁ」という感想を持った。
水冷DOHC4バルブ2気筒エンジンは前のモデルから継承されたもので、車体は兄貴分のNinja650と同様の高張力鋼管を使った新しいトレリスフレーム。
シートは一見固そうに見えて、クッション性はいい。沈み込みは深くないけれど、お尻に感じる反発はマイルド。サスペンションや車体との総合的なものになるけれど、1時間ほどの試乗でお尻に違和感を感じることはなかった。それでいて、コシがあってお尻を移動しても体を安定させやすい。
座る位置は、スペック的に15mm高くなった805mm。身長170cm、体重69kgでは、両足でブーツのかかとがちょっと地面から離れるくらい。デュアルパーパス車並にライダーの乗車位置と比較し、高い位置にあるハンドル。オンロードモデルらしくちゃんと手前に絞られていて、容易に手が届き、デュアルパーパスのように肘が外側に出ることはない。体勢に無理がない。ステップ位置は、最近の傾向と同じで若干高め。前すぎず、後ろすぎず。スポーティーな走りをしても踏み込みやすい位置。欧州マーケットなどをターゲットにしたNinja650と共有部分が多いので、車体サイズ的には大きめであるが、ポジションは平均的な日本人でも気にならないであろうコンパクトさだ。
そう、このバイクは大きめ。車重もそれなりにある。ハンドルグリップ位置が高くて広いのもあって、押し引きはとっても楽だけど、はっきり言って「軽い」と言い切れない。これで、走りが鈍重だったら、このバイクは「重い」というだけの印象になってしまうところ。
エンジンをスタートさせ、ギアを1速に入れ、クラッチを繋いで、出発場所の駐車場をくるっと回って、それが杞憂だと理解できた。動き出してしまえば、とにかく操作性は軽い。ハンドル切れ角も充分なので、くるくるっとUターンが楽に決まった。
2気筒エンジンは、最高出力、最大トルクだけでなく、ギアレシオ、一次、二次の減速比など数値的な変化はないけれど、変化を体感できた。とにかく極低速から、高回転まで、全域でトルクフル。振動が少なくなり、スムーズさに磨きがかかっている。スロットルを開けて、大きく回転上昇させてみた。そのトルクフルさの反面、スーパースポーツのように軽く鋭い吹け上がりというものではない。けれど、6千回転を超えると力の盛り上がりが増して、きっちりトップエンドまで回る。パワーの出方に淀みや、変なクセはまったくなく、実に素直。
トップ6速で40km/hは2千回転ちょっと。この状態で、伊豆半島西側の海岸線の上ったり下ったりのクネクネとした道を流すことが出来る。現実的には、それだとクルマの流れに合わせて加速したいときに少し弱いから、ツーリングでのクルージングなら、ひとつ下げた5速でいいだろう。楽ちんで、燃費も稼げそうだ。エンジンの振動が少なく排気やエンジンの音は静か。前後のサスペンションの初期入力も柔らかいので、乗り心地、フロントスクリーンやポジションも含めた快適性はなかなかのもの。
いちばん気に入ったのはハンドリングで、コーナーがとても楽しいのである。具体的には、コーナー進入時の挙動が軽快ながら、安定感が抜群。ライダーはこれといった特別な作業をしなくても、ブレーキングからさっと車体が深くリーンする。この時、倒れこむ動きに唐突なところがまったくない。そこから思うように向きが変わって立ち上がりに向かっていく。このキマり方が気持ちいい。タイヤの接地感もきっちり伝わって、不安がない。見通しの悪いタイトコーナーで、速度を乗せられない場合でも、安定した旋回性をみせた。
運転技量が、上手い、そうでもない、速度が速い、遅い、そんなの関係なく、コーナーリングはバイクの醍醐味っていうか、大きな魅力だ。それを誰でも楽しめる味付け。
運転したのはABS付モデルだった。フロントブレーキの効きはバチっと鋭く効くものではないけれど、キャラクターを考慮すれば必要十分。枯れ葉が溜まったところでも、ABSが効いて不安は少ない。千変万化な天候や道路状況を考えると、やっぱりABSは捨てがたい、いや積極的に選びたい装備だ。
高回転を保って、より攻めた走りも当然ながら許容した。やってはないけれど、このコーナーリングの良さなら、部品を削るようなフルバンクもこなせるだろう。しゃかりに走るのも悪くない、しかし、個人的には、低中速回転域で少し高めの速度で流しながら乗っているのが気持ちよかった。
デザインも含めて、ボーイズレーサー的なNinja250に対して、Ninja400は、走りの落ち着き、良好な快適性、大型な車格など、もっと大人のグランツーリスモといった性格。キャラクターがはっきり分かれている。走りながら、あらためて「バイクって楽しいよな」と思わせてくれた全体のバランスがとれた存在感のあるモデルだ。
(試乗:濱矢文夫)
ライダーの身長は170cm。 |
新型Ninja 400の最大の特徴といえるのが、新しい高張力鋼管ダブルパイプペリメターフレームなのだが、これまた全面見直しをされたフェアリングに隠れてしまってほとんど見ることができない。新型のリアのスイングアームの新しいデザインポイントである“ダブルパイプ”と意匠を共通とするダブルパイプで構成された新型フレームとなっている。 その新型フェアリングのポイントは、3段階、60mmの範囲で上下に調整できる“フルアジャスタブルウインドスクリーン”が採用されたことだろう。また、Ninja一族のイメージにより近づいた顔も特徴で、マルチリフレクターヘッドライトのバルブカバーのデザイン、ポジションランプ形状などにより、より精悍でアグレッシブなデザインとなった。ビルトインされたウインカーもよりコンパクトでスポーティなデザインに変更されている。 サイドカバー上端部の深い溝はNinjaシリーズのフラグシップモデル、ZX-14Rを彷彿させるデザインで、大きな開口部はエンジンの熱気を逃がすだけでなく、スポーティな外観をイメージ付けることにも貢献している。タンク前方も20mmほど高くなり、新型Ninja 400の象徴と言える“フロント重心ビジュアル”も強調している。タンク後部はシートに向かって直線的なラインを形作っている。 この新型フレーム、ボディに搭載されるエンジンは熟成バージョンのコンパクトなパラレルツインだ。フレーム内まで伸びた吸気ダクトにより、よりフレッシュなエアーをエンジンに供給、エアクリーナーもドライペーパータイプを採用し吸気効率と濾過性能を高めている。イグニッションタイミングも変更。ヘッダーパイプをつなぐコネクター部分によりトルクの谷と山を打ち消してよりスムーズなパワー特性を実現。シャープなデザインのエンドキャップが採用されたマフラーも容量を拡大し、内部構造も変更、全体の性能アップを図っているという。 新型でも引き継がれたNinja 400を特徴づけるオフセットレイダウンシングルショックユニットは、全長とストローク量を2mm延長。新型ダブルパイプリアスイングアームとの組み合わせによってスポーティなハンドリング性能を実現。フロントフォークも、ストローク長を5mm延長。スプリングレートも変更している。フォークチューブ自体も4mm下部へスライドさせており、ダンパーも変更されている。 ■Ninja 400 主要諸元 |
クロームメッキが輝く前後フェンダーやエキゾーストシステム、一部にバフ仕上げを施したエンジン、フューエルタンクにあしらわれた立体エンブレムなど、上質かつクラシカルな外観が特徴のESTRELLA。 低中速回転域のトルクを向上させた空冷4ストローク単気筒エンジン(249cm3)と、スリムで軽量な車体の組み合わせにより、誰もが楽しめる扱いやすい特性で人気のESTRELLAが2014年モデルへとモデルチェンジ。フェンダー、フロントフォーク、エンジン、エキゾーストをブラックアウトしたスペシャルカラーモデルのESTRELLA Special Editionも発売される。 新型ESTRELLAに搭載されるロングストロークの空冷4ストローク単気筒エンジンの基本はこれまでと変わらず、アイドリング時の吸気量を最適化するアイドルスピードコントロール(ISC)が新たに採用された。フューエルインジェクションシステムとの組み合わせにより、様々な条件下でも安定したエンジンパフォーマンスと扱いやすさを実現している。また、吸気系を中心としたエンジン各部の見直しにより、低中速回転域のトルクを向上、優れた加速性能を発揮するという。 セミダブルクレードルフレームによるスリムで軽量な車体と高めのハンドル、足付き性の良いシートによるリラックスしたライディングポジションがESTRELLAの特徴だが、今回、前後サスペンションのスプリングレートや減衰力設定の見直しが行われ、さらに快適な乗り心地を実現している。 立体エンブレムをあしらったエレガントなデザインのフューエルタンク、直立したシングルシリンダー、クラシカルな印象をもたらす特徴的な形状のキャブトンタイプサイレンサー、バフ加工されたフロントフォークやエンジンカバー、クロームメッキが施された前後フェンダーやエキゾーストシステムと、車体全体が上質な仕上げでまとめられている。メーターリングをクローム仕上げとしたアナログスピードメーターとタコメーターをそれぞれ独立して装備。スピードメーター文字盤にはオドメーター等を表示するLCDディスプレイを組み込み、クラシカルな雰囲気と現代的な機能性を両立している。 |
ライダーの身長は170cm。 |
■ESTRELLA 〈ESTRELLA Special Edition〉主要諸元 ●エンジン:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ●ボア×ストローク:66.0×73.0mm●総排気量:249cm3●圧縮比:9.0●最高出力:13kW(18HP)/7,500rpm●最大トルク:18N・m(1.8kg-m)/5,500rpm●燃料タンク容量:13リットル●燃料供給装置:フューエルインジェクション●変速機:常時噛合式5段リターン●フレーム:セミダブルクレードル ●全長×全幅×全高:2,075×755×1,055mm●軸距離:1,410mm●シート高:735mm●最低地上高:170mm●重量:161kg●サスペンション:φ39mmテレスコピック、後スイングアーム(オイルショック)●ブレーキ:前φ300mmシングルディスク、後φ160mmリーディングトレーリング●タイヤ:前90/90-18M/C 51P、後110/90-17M/C 60P カラー:キャンディカリビアンブルー(BLU)、キャンディアイビーグリーン(GRN)〈メタリックスパークブラック (BLK)〉 メーカー希望小売り価格:494,000円(本体価格)+消費税〈508,000円(本体価格)+消費税〉 2014年1月20日発売 |
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