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そしてペルグーサへ。
タルガ・フローリオのコースを体験し、シシリーにテストコースがある重要性のキーが自分なりにつかめてきた。タルガ・フローリオのスタート地点に戻り、ストリートファイター達に別れを告げる。今度はスポーツツーリングセグメントのバイクで今晩のホテルを目指す。ラゴ・ディ・ペルグーサ。そこには湖を周回するように造られたサーキットが待ち構えている。かつてスーパーバイクのレースも行われたという伝統のあるトラックだ。 |
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かつて取材で走ったタイヤメーカーのテストコース。そこには世界の道を模した舗装が造られていた。距離にして直線で数百メートル。もちろん、そのメーカーがそのテスト路を何往復もするだけでタイヤの仕様を決めているとは思わない。実走テストを重んじているはずだ。しかし、シシリーの道で1日、シーンを代えて400キロを走り、夕方、ホテルのプールサイドで冷えたビールでまた話が盛り上がるだけの元気が残っていること。この気持ちの余裕の作り方がシシリー島の道に潜むひみつなのだろう(と夢想しつつ時差ぼけの波に沈んだ)。 |
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スポーツツーリングモデルが履くのはウエット性能とライフを最大限伸ばしたZ8M。ドイツのモトラッドマガジンが行ったテストでも高い評価を得たタイヤだ。 | ||
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BMW R1200RT。定番ツアラーといえるこのモデル、重量級車用に内部構造を最適化した仕様も用意されている。 | トライアンフ・タイガースポーツとZ8Mの相性も良かった。 | |
Eat my dust !
ペルグーサの路面はそう叫んだ。
宿泊したホテルの目の前にあるのがアウトドローモ・ディ・ペルグーサ。ペルグーササーキットだ。卵形の湖、ペルグーサ湖を取り囲むように配置されたサーキットの全長は4.950キロ。そのオーバルの途中に4箇所のシケインを設けたコースレイアウトで、初めて体験するにはビビるほど、高速トラックにして、エスケープゾーンの少ないガチンコのトラックだ。 |
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パドックにはレーステック インタラクト ストリートK3を履く珠玉のスーパースポーツバイク達が。エッジグリップを最大限生かすようなトレッドデザインは精悍さを漂わせる。シシリーのテスト部門の責任者、サルヴォ・ペニーズィさんもペルグーサのトラックを愛する一人。 | ||
5周ほど先導に付いて把握に務め、全開走行に移る。誰かが前にいないととたんに難しさが増し、ぎこちない走りになる。同じようなペースで走るライダーについて走る。すると、先導ペースでは感じなかった路面舗装の縦筋、そして路面から立ち上がる埃と石はねがものすごいことがわかる。ヘルメットやシールドが絶え間なくパチパチパチと音たてる。時に大物が当たるのか、カン、と響く物もあった。
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レーステック インタラクト ストリートK3は直立からリーンさせる時の手応えが自然で軽快、深いバンク角でエッジに荷重をのせてゆくような場面では、しっかりとしたグリップ感を伝えてくるのが特徴。ブレーキングのスタビリティーや、ブレーキングを残した旋回でも挙動がスムーズ。ねっとり重くなるようなこともない。埃が舞うほどダスティーな路面が点在したペルグーサでも、不安に思うような場面は一切なかった。1周する間に4箇所のシケインを通る走行を1時間以上を繰り返したが、疲れることなく楽しみ続けられた。 | ||
欲張りを唸らせる方法。
ペルグーサのパドックから今度はトラベルエンデューロに跨がってエトナ山を目指す。現在このセグメントのバイクは人気が高い。アップライトなポジション、街乗りから国境を越える旅までゆける行動力、そしてオプション、アフターマーケットのパーツの充実、アパレルもラインナップが豊富。 |
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今、気になるアドベンチャーバイクが揃ったエトナ山への道。火山灰の壁は黒く、砂漠のような木々のない風景にこのあと出会う。 | ||
メッツラー最新版アドベンチャーツアラー用タイヤは、ツアランス ネクスト。このタイヤは、ツアランスEXPの後継モデルで、進化するバイクの技術に呼応する性能を持たせるため、2輪メーカーとも共同で開発を進めたという。
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2013年フルモデルチェンジしたR1200GSはツアランス ネクストとの相性は抜群。ロードでの快適性、軽快性、ハンドリング、グリップ力、冷温時の安心感など、どのパートを見ても総合的に高性能だといえる。正直、他のモデルに乗り換えたくなくなるほど頭抜けた存在、という部分にタイヤ効果が有ることは間違い無い。 | ||
スタート地点、古城ホテルへ。
いよいよ初日のスタート地点、古城ホテルに戻る時がきた。今度はメガスクーターによるツーリングだ。ビッグエンデューロで駆け上がったワインディングを今度はスクーターで下る。用意されたのは、大径ホイールのホンダSH300、ヤマハのグランドマジェスティ、TMAX、スズキからはスカイウェイブ(現地名バーグマン)400と650等。
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スクーターもタイヤ一つでその走りが変わる。街中の機動性を考えれば、乗り心地がよく、ハンドリングが楽しめて、しかも気温、天候を問わない安心のグリップ力があること。これは大切なキャラクターだ。 | ||
タイヤは換えるものではなく、変えるもの。
こんなエピソードがある。NC700Xのプレス試乗会の時、ホンダが用意した試乗用車両、全車にメッツラーZ8が装着されていた。このタイヤをOEMとして選択したことは英断だと思う。そして乗り心地、ハンドリングなど、バイクの質感を上げるのに大きな役割を果たしていることは乗ってみて良く分かった。ホンダのテストライダーに話を聞くと「このタイヤ、好きなんです」と本音を述べた。
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