KAWASAKI KX the 40th anniversary 祝・カワサキKX 40周年!
『KX40周年を祝う有志の会』集合写真。パーティーの最後に撮影されたこともあり、お酒もたっぷり入って皆さん最高の笑顔。
■写真/レポート─高橋絵里
■協力-カワサキモータースジャパン http://www.kawasaki-motors.com/

1973年のデビュー以来、国内外で数多くの勝利とタイトルに輝くカワサキのモトクロッサーKXが、40周年を迎えた。11月16日、KX史40年に携わる開発担当者、レース関係者が一堂に会し 『KX40周年を祝う有志の会』が、カワサキ明石工場にほど近い兵庫県西明石のホテルキャッスルプラザで開催された。

 初代KXを世に生み出し、当時の日本はもちろんヨーロッパで、アメリカで、全身全霊を打ち込んで’70年代KXの活躍に携わった、そのキーパーソンともいえる川崎重工業株式会社OBの顔ぶれが並んだ。
 カワサキのすべてのバイクの中で、実はKXシリーズは開発、生産、販売、さらにレース活動を一時も絶えることなく継続し、また機種名も変わらない唯一のモデルなのだ。皆さん「記念すべき40周年を我々が、今やらずしていつやるか!」といった祝福の意気込みに満ちあふれている。
 OB会の一部メンバーがこの日の40周年を発案して、各年代でマシン開発とレースに関わった社員OB、ライダーOB、さらに今現在KX開発途上只中の在籍社員、テストライダー、現役ライダーの豪華メンバー、総勢およそ80名が集った。まさしく『KX史40年』の年表に登場すべき主要人物が勢ぞろいし、世代を越えて史実を共有するひとときとなった。


大津信様

百合草三佐雄様
↑ 川崎重工業株式会社OB・百合草三佐雄氏は’70年代に全日本チーム監督を務め、その後アメリカ駐在の折にはチームグリーンの創設に尽力した。

←『KX40周年を祝う有志の会』事務局を代表して挨拶する川崎重工業株式会社OB・大津信氏。

会場内

会場内
国内外の契約ライダーの懐かしいジャージやヘルメット、写真が展示された。ヴィンテージから現行までのモトクロス博士、プロストック貴島社長の激レアコレクションだ。 歴代KXのカタログや広告、掲載誌もズラリ展示。

 初代KXのプロジェクトが立ち上がったのは1972年4月のことだ。本格的なモトクロッサー開発ための新組織『技術部開発1班』が創設された。
 当時モトクロス技術も世界規模でのレース成績も大きく先行していたスズキとヤマハに追いつき追い越せ! とばかりに気概に満ちるカワサキは、一挙に世界GPレベルのマシンを作るべく、’72年シーズンの開発ライダーとしてスウェーデンのGPライダー、オーレ・ペテルソンを獲得、契約を結ぶ。ペテルソンは’71年のデナシオン優勝ライダーでもあり、それまでも開発ライダーとしての評判は非常に高かった。日本からスウェーデンに駐在するカワサキの技術者3名とKYBサスペンションのエンジニア、そしてペテルソンとその弟という計6名の開発陣は、ペテルソンの自宅のガレージでフレームを製作しては、テストを繰り返しながら改良を進めた。
 その年のGPにはペテルソンが、翌’73年はトーレフ・ハンソンがライドしてKX250のGP初勝利を上げている。一方で’72年シーズンのアメリカでは、当時19歳で若手最有望のブラッド・ラッキーと契約し、AMAナショナル500ccクラスに参戦しながらKX450の開発を進めた。結果、ラッキーは8戦中で5勝を上げてみごとチャンピオンに輝く。’74年にはジミー・ワイナートも同クラスのチャンピオンとなり、そして’76年にはKX250で竹沢正治氏が待望の全日本を、ワイナートがAMAスーパークロスを制して、チャンピオンマシンKXを世界に印象付けた。’80年代のJ・ワード、’90年代のM・キドラウスキー、M・ラロッコ、J・エミッグ、S・エバーツ、S・トーテリ、そして21世紀に入りR・カーマイケル、J・スチュワート、R・ビロポート・・・どの時代もカワサキチャンピオンは強烈な輝きを放っている。
 それぞれ時代は違えど、開発の取り組みやレースでの闘い、KXへの情熱といった点では列席者全員が共通のベクトルを持っているだけに、会場は和やかさの中にも独自のパワーがみなぎり、大変賑やかな雰囲気に包まれた。


ジミー・ワイナート

ロン・ラシーン

日本の現役&若手ライダーOB組

ジェフ・エミッグ
こちらは日本の現役&若手ライダーOB組。IA1で活躍中の新井宏彰選手、三原拓也選手はワークスKX450Fで来シーズンも大活躍だろう。そして1人平均年齢を上げている57歳は元カワサキファクトリーで現役VETライダーの伊田井佐夫選手。 KXで活躍したAMAライダー達から、ビデオレターでサプライズメッセージが届いた。ジミー・ワイナート(写真上)は現在62歳。マキシマオイルの御曹司ロン・ラシーン(写真中)も当時の3倍くらいふくよかになったもののとても元気そうだ。、ジェフ・エミッグ(写真下)、J・ワード、J・マタセビッチ、R・ビロポートなど大スター達が「素晴らしいバイクで人生最高のレースができた」と祝福と感謝のコメントをくれた。

 ライダーもOBから現役まで多数登場して、順に思い出話や近況を報告。1960年代にMFJ全日本の2クラス初代チャンピオンに輝いた山本隆氏、’70~’80年代に活躍した野宮修一氏、伊田井佐夫氏、立脇三樹夫氏、瀬戸康一氏、多田洋之氏、カワサキで4回全日本チャンピンを取った岡部篤史氏、そして九州から花田茂樹氏も駆けつけた。
 70歳の山本氏は現在もヴィンテージMXとトライアルを大変元気に走られ、野宮、伊田、立脇、岡部各氏も今では趣味のベテランMXを楽しんでいる。若手ライダーがレジェンドライダーと一緒の写真をリクエストするなど、世代を越えた交流もあちこちで生まれて、さらにジャンケン大会と記念撮影で盛り上がりはクライマックスに。
 過去に懐かしく、未来へ輝かしいKX40周年に、乾杯!


山本隆さん

日本の現役&若手ライダーOB組
久しぶりの再会に昔話が尽きないライダーOB、右から花田茂樹氏、岡部篤史氏、立脇三樹夫氏、伊田井佐夫氏。今後盛り上がり必至のベテランMXにも期待したい。

賞品
カワサキファクトリーライダー山本隆さんは’60年代『赤タンク』時代の全日本チャンピオン。’73年はKX250エンジンをベースにKT250Trialマシンを開発して第1回日本トライアルGPに参戦して2位を獲得。’74年は全日本MXチームのコーチを務めた。 パーティ恒例のジャンケン大会、ミニチュアKX450Fビロポートモデル(byプロストック貴島社長・写真左)が賞品となれば予想通りの大争奪大勝負が繰り広げられた。

全員集合
最後は、モトクロッサーKXで闘った、未来へ闘うライダー限定の集合撮影で会はお開きに。そしてKXの歴史は続く。

2014年モデルKX250Fの詳細は新車プロファイルで。