ホンダが開発を進めてきた「MotoGP市販レーサー(仮称)」こと、ノンファクトリーマシンRCV1000Rのお披露目が、11月7日、最終戦バレンシアGPの開催地、スペインのリカルド・トルモ・サーキットで行われた。
パドック内のホンダホスピタリティ施設に多くのジャーナリストやフォトグラファーが集まったこの記者会見では、HRC副社長中本修平氏と開発プロジェクトリーダーを担当した佐藤朋則氏がマシンに被さったベールを剥ぎ、ブラックカーボンのカウルに覆われたマシンを公式に初公開した。
「現在のCRTとファクトリー勢のパフォーマンス差を埋めるため、ホンダがプライベートチームに対して助力できるであろう、非常に重要なプロジェクト」(中本氏)と位置付けられてきたこのマシンは、今年2月の同社モータースポーツ発表会で公式に開発が告知されて以来、ツインリンクもてぎやスポーツランドSUGOで走行テストを重ねてきた。
プロジェクトリーダーの佐藤朋則氏によれば、「ジオメトリーは2013年仕様RC213Vと同様で、乾燥重量161kg。電子制御ユニットには、マネッティ・マレリ社製ソフトウェア及びダッシュボードを採用。エンジンスペックは90度V型4気筒で、バルブシステムはコンベンショナルなコイルスプリング方式。トランスミッションはスタンダード」という仕様になっている。また、オーリンズ社製サスペンションとNISSIN製ブレーキを、前後ともに純正装備している。
気になるマシンパフォーマンスだが、テスト時の実績で「(RC213Vと)同日に同じライダーが同じタイヤで走行をして、ラップタイムの差は0.3秒。このマシンのカテゴリーはファクトリーマシンよりも1ステップ柔らかいタイヤを使用できるが、その場合の差は、0.17秒」(中本氏)という高い戦闘力を発揮しているという。
来シーズン、このマシンで参戦する選手は、ニッキー・ヘイデン(アスパー・チーム)+1名、スコット・レディング(ホンダ・グレシーニ・チーム)、カレル・アブラハム(カルディオン・AB・チーム)というラインナップが予定されている。第18戦が明けた月曜の事後テストから、RCV1000Rはバレンシアサーキットでの走行を開始する予定だ。