“進化”と“不変”絶妙なる味わい YAMAHA  CYGNUS-X  XC125/CYGNUS-X  XC125SR

軽二輪モデル(XC180)から始まるヤマハのロングセラー・スクーター「シグナス・シリーズ」は、1984年に原二モデルの「XC125」が誕生。2003年のフル・モデルチェンジでは「シグナス-X」へと昇華を果たす。メカニズムの進化や装備のグレードアップ、そして外装のデザイン変更など経て、現行2013年モデルにもまた大きな変化がもたらされた。今尚、原二クラスの人気モデルとして君臨する シグナス-Xのポテンシャルを再び探る。

■報告:高橋二朗
■撮影:依田 麗
http://www.yamaha-motor.co.jp/mc/

 原付二種クラスのバイクがここ近年販売台数を増やしてきた理由のひとつに、手軽で経済性に優れた“シティ・コミューター”として高い評価を得ていることがあげられる。前後12インチ・タイヤにシャープなラインで構成されるスタイル、そして強力な4バルブ・エンジンを搭載するなど、スポーツ・スクーターの先駆け的存在であるヤマハ・シグナス-Xもその人気の一翼を担った1台と言える。

 改良を重ね、進化を果たしながら通勤・通学バイクとして、またカスタム・ベースとしても高い人気を誇るシグナス-Xが2013年、また新たに手が加えられた。

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CYGNUS-X
CYGNUS-X
CYGNUS-X
CYGNUS-X
CYGNUS-X

CYGNUS-X
ライダーの身長は173cm。燃料タンクをレイアウトしているため、フロアは若干高めの印象。足はステップボードの傾斜した部分に置くこともできる。

 その最も大きな特徴はスタイリング。フロント&リアカウルの造形がよりシャープとなり、新採用となったLED(ポジション&テールランプ)と相まって、先鋭的なイメージに仕上がる。

 一方、使い勝手などの機能面でも進化が見られる。元々大容量を誇っていたシート下のトランクスペースは、従来モデルに対し約2.5ℓもの容量アップを果たした。

 以上、大きな変化を遂げながらも車両本体価格はむしろダウン。シグナス-Xで30,000円、シグナス-X SRで35,000円の値下げが行われているのも2013年モデルのポイントとなっている。

 そんな最新モデルに跨ってみる。高めのフロアによるスポーティなライディングポジション。これは唯一無二、シグナス-X不変の“味”とも言える。大きめのシートは座り心地も快適だ。今まで味わったことのない感触も特徴で、長時間乗っていてもお尻は痛くならない。ただしシート幅は広めで、小柄な人は足着き性を損なうかもしれない。

 4バルブのエンジンは出足の鋭さよりも回転の伸びが印象的。日本仕様独自のセッティングと思われ、おそらく最高速はクラストップではないだろうか? 流れの速いバイパスなどでも十分以上の動力性能を有する。騒音に配慮しながらも絶妙に調律されたエキゾーストサウンドは気持ちを高揚させる。

 ブレーキも強力で安心。偏平タイヤによるものか、足まわりはハードな印象だ。ハンドルはステアリングダンパーが装着されているような粘っこいフィーリング。オートマチック車なのでタコメーターは不要かもしれないが、気分は昂ぶる。駆動系のセッティングを変更したい人には嬉しい有用な装備かもしれない。


LEDのポジションランプを新採用。ドレスアップ効果はもちろん、被視認性が高まることによる安全性の向上にも効果は高い。ヘッドランプはこのクラスとしては大光量、60W/55Wのハロゲン

従来モデルに対し薄く、エッジの効いた面で構成されるリアまわり。テールランプにも18個のLEDが採用され、“音叉”マークと共に鮮烈なイメージを後続に与え。
LEDのポジションランプを新採用。ドレスアップ効果はもちろん、被視認性が高まることによる安全性の向上にも効果は高い。ヘッドランプはこのクラスとしては大光量、60W/55Wのハロゲン。 従来モデルに対し薄く、エッジの効いた面で構成されるリアまわり。テールランプにも18個のLEDが採用され、“音叉”マークと共に鮮烈なイメージを後続に与える。

F.I.が採用されて以降、熟成の域に達したE3B1E型エンジン。放熱性に優れたメッキシリンダー、そして4バルブという贅沢なメカを採用。SRのリアサスは3段階のイニシャル調整機構付

245mmの大径ローター、そして形状が変更された2ポットキャリパーを装備。SRには放熱性が高められたウェーブ形状のローターが新採用となっている
F.I.が採用されて以降、熟成の域に達したE3B1E型エンジン。放熱性に優れたメッキシリンダー、そして4バルブという贅沢なメカを採用。SRのリアサスは3段階のイニシャル調整機構付。 245mmの大径ローター、そして形状が変更された2ポットキャリパーを装備。SRには放熱性が高められたウェーブ形状のローターが新採用となっている。

500mlのペットボトルが3本収まるフロントポケットはシンプルな形状ゆえに使い勝手も高い。可動式コンビニフックも装備。ガソリン給油口もオリジナリティ溢れる部分

独特のクッション感を堪能できる、たっぷりサイズのシート。SRはツートン&赤ステッチ付き。大容量のシート下トランクはフルフェイスに加えハーフタイプのヘルメットも同時収納可
500mlのペットボトルが3本収まるフロントポケットはシンプルな形状ゆえに使い勝手も高い。可動式コンビニフックも装備。ガソリン給油口もオリジナリティ溢れる部分。 独特のクッション感を堪能できる、たっぷりサイズのシート。SRはツートン&赤ステッチ付き。大容量のシート下トランクはフルフェイスに加えハーフタイプのヘルメットも同時収納可。

アナログ(タコ)とデジタル(スピード)のコンビネーションメーター。時計、オド、トリップ、オイル交換時期表示も備わる。SRは専用ロゴ入り。タンデムステップはワンタッチオープン式

シグナス-Xにはラグジュアリー感を演出するブラウンのインテリアカラーを採用。ホワイト、ブラックのボディカラーはマットチタン色のホイールとなる。
アナログ(タコ)とデジタル(スピード)のコンビネーションメーター。時計、オド、トリップ、オイル交換時期表示も備わる。SRは専用ロゴ入り。タンデムステップはワンタッチオープン式。 シグナス-Xにはラグジュアリー感を演出するブラウンのインテリアカラーを採用。ホワイト、ブラックのボディカラーはマットチタン色のホイールとなる。

 一方、見た目や走りのスポーティな印象とは裏腹に、実用性、使い勝手に優れているのもシグナスXの特徴。シート下のトランクスペースは前述の容量アップに加え、幅が広く凹凸が少ないのでとても使いやすい。キーシリンダーと連動したシートの開閉機構も便利だ。

 地図や飲料など必要な時に簡単に出し入れ可能な、シンプルな形状のフロントポケットも不変の装備。オリジナリティ溢れるフロントの給油口は楽な姿勢での給油を可能としている。通勤ユースの多い原二にとって、時計の装備も何かと便利。新装備のLEDポジションランプは夜間、自車をアピールするアイテムとして、安全性に対する貢献度が高いと感じた。

 色褪せるどころか機能アップを図りながら、前モデルに対しお買い得となった2013年モデルは魅力満載だ。その人気ぶりは、鮮烈なイメージを後続に与えるLEDテールランプを見かける回数が増えていることが表していると言えるだろう。

 10月30日に発売されたばかり、155ccの軽二輪スクーター「マジェスティS」は“XC155”の名前から、シグナス・ファミリーであることがわかる。跨ってみるとわかるが、そのライディング・ポジションはシグナス-Xにとても似ている。フロントの給油口然り。最新スクーターにも受け継がれている“XC125”DNAの意味。それはシグナス-Xの基本性能の高さを証明しているのではないだろうか?


CYGNUS-X
シグナス-X/シグナス-X SR主要諸元
■型式:EBJ-SE44J ■全長×全幅×全高:1,870mm×685mm×1,135mm ■ホイールベース:1,295mm ■最低地上高:110mm ■シート高:785mm ■燃料消費率:国土交通省届出値定地燃費値 40.0km/L (60km/h 2名乗車時)/WMTCモード値38.8km/L(クラス1 1名乗車時 ) ■車両重量:122kg ■燃料タンク容量:7.1L ■エンジン種類:空冷4ストロークSOHC 4バルブ単気筒■総排気量:124 cm3 ■52.4mm×57.9mm ■圧縮比:9.5 ■燃料供給装置:フューエルインジェクション ■点火方式:TCI(トランジスタ式) ■始動方式:セルフ・キック併用式 ■最高出力:7.8kW(11PS)/8,500r/min ■最大トルク:9.1N・m(0.93kgf・m)/7,500r/min ■変速機形式:Vベルト式/オート ■フレーム形式:バックボーン■ブレーキ(前/後):油圧式シングルディスク /機械式リーディング・トレーリング(ドラム) ■タイヤ(前/後):110/70-12 47L/120/70-12 51L ■車体色:ホワイトメタリック1 、ブラックメタリックX 、ビビッドレッドメタリック5(シグナス-X SRのみ) ■メーカー希望小売価格:278,250円 (シグナス-X)、283,500円 (シグナス-X SR)

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