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カバーがかけられたままのバイクが目立つ。 都会でも地方でも見かける光景だ。いつかは乗るだろう。なかなか手放せない。しかし時間が経つにつれて「億劫」になってしまっている。「心の澱」を溜めたことになるのだろうか。つまりは、自身のなかでバイクが広場の乗り物になっていない。普段着の足としての活性がない。 年齢から来る物臭感はあるだろう。瞬発力が弱まり現状に甘んじている自分がいる。反面、意識的にはそうありたくはない。出来る限りいつでもバイク乗りでありたい。おそらくここに、バイクへ乗ることに対する「気負い」があるのではないか。 セルを回し、ギアを入れてクラッチを繋げる。CB400Fは、そんな気負いをあっさり払いのける走り出しだった。
新しい設計というツインは歯切れよく軽快に吹き上がる。開けるアクセルの相応の速力を伴う。軽妙にしてパワフル。意のままに加速する。自身の腰下で鼓動するエンジンとそれを包括する骨格たちの妙。なにもかもが軽い。そしてしなやかに応える。 「400までなら2気筒が有利」
ついこの言葉を思い出した。
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路上の散策に出かけた。いつもの商店街をゆっくり抜ける。下のトルクが太いので、徐行が楽しい。新しい飲食店の名前が気になる。最近は店主が若いからか扱う食べ物が解らない店名が多い。オジサンの頭と味覚がついていけないだけ? お昼が近い。いい匂いがしてきた。ウロウロしていたら後ろの蕎麦店のスーパーカブ氏に迷惑をかけていることに気がつく。バイク徘徊の楽しさよ。さりとてうかれ感を自戒。商店街を出て再開発されたエリアへ。 広い道幅に色づいてきた街路樹。背の高いオフィスビルとタワーマンションに囲まれてボチボチ進む。会社勤めの男女が昼の街に繰り出してきている。学生さんも多い。ベビーカーを押す若い母親がいる。どんな人が住んでいるのだろうか。テレビ局、芸能人? 山の手中央に住む人のサブハウス? いやここなら新幹線にも航空機にも中間ぐらい。出張族か。それとも地方の旧家や事業家が東京に一軒持ってるってパターン? 都会のバイクトレッキングは高層ビルという名の森林を縫う。
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陽光のさす水辺の道を進みながら想う。あっと言う間に来てしまった。呆れる。呆れるけれどこれがいい。ははは、ちょい乗り気分転換の特権ぞ。忍ばせてきたパックロッドを伸ばしてみたり。ドライブインでラーメンでも食べようか。気ままにあちこち。都会へ向かう特急電車とすれちがい追いかけようかな。Uターンも楽勝なので自分が上手くなった気がする。気のせいなのでうかれ気分は重ねて禁物なのだが。 気負いなく日常を乗りこなし非日常にも最短で行ける。気の向くまま、うきうきして走り回ってしまう。行き当たりばったりがいい。そんな気持ちを揺り動かす、CB400Fのたたづまい。
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それにしても思い切ったネーミング。作り手側にも、相当な勇気のいったことだったと感じる。既存のブランドイメージとしてきた「F」の機能指針を根底から変容させた。しかし、そんな文字の意味合いの刷新だけでないなにか。伝統のマシンの愛称「CB400F」を敢えて使ったのだ。膠着した時代の日常にいま一度のカンフルを! ということだろうか。とてもHONDAらしいのかもしれない。
ひとつ飛躍を許されるなら。 フィットというクルマ。若者向けの印象があるが、ドライバーを見ていると案外中高年の男女が少なくない。これは都会も地方も変わらない。クルマの運転ひとつにも寄る年波や億劫感は出てくる。気負いのないクルマ、自然体で乗る人に馴染んでくれるクルマ。運転することに心の枷がない。それでいて、イザという時にはなかなか速い。スポーツマインドというものを忘れていない。フィットがコンパクトカーの大定番として定着している理由に、この新生CB400Fはあてはまる、とまで書いたら過言か。 バイク人生を一巡をしたベテランに回春の一撃を与える。かといって、CB400Fは、そんな「寄る年波」のライダーのみを対象にはしていないだろう。むしろバイクの面白さを知らない若者たち。ニーハンでない。ロッピャクほど構えることはない。現代の最新の思想と技術で造ったヨンヒャクの真骨頂とは? 軽妙にして洒脱な操作性、十分な爽快感を味わえるヨンヒャクはエントリー層にこそ強く響くはず。我々の世代がそうであったように。 |
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それぞれの世代のCB感、そしてF感がある。
CBとはお馴染み、サイクルベスト。そのベストにも時代に呼応したベストがあるだろう。乗り手も作り手もそこを模索しているはず。 ヘルメットのなかでコトバの遊びを繰り返しながら、開けたり戻したり。距離と時間を忘れている自分がいる。 |
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フルカウルのCBR400R、アドベンチャー系の400Xと共に誕生した新世代400スポーツ。車体色は写真のパールサンビームホワイトの他、黒一色のグラファイトブラックもラインナップ。撮影車はABS付698,250円。ABSなしは648,900円。詳細は新車プロファイル2013で。インプレッションはこちらからどうぞ。 ●エンジン型式:水冷4ストローク2気筒DOHC4バルブ●総排気量(内径×行程):399cc(67.0×56.6mm)●最高出力:34Kw(46ps)/9500rpm●最大トルク:37N・m(3.8kg-m)/7500rpm●圧縮比:11.0●変速機:6速リターン●全長×全幅×全高:2075×780×1060mm●軸距離:1410mm●車両重量:190【192】kg●燃料タンク容量:15L●タイヤ前・後:120/70ZR17M/C(58W)・160/60ZR17(69W) 【 】内はABS付 |
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■ツーリングコート(TK-R36) HONDA好きとして知られるファッションデザイナー荒川眞一郎さんとのコラボレーションが”Honda×SHINICHIRO ARAKAWA”シリーズだ。ファッション性と機能性を兼ね備えた魅力的なアイテムがラインナップされている。これは防寒性の高いボア素材を裏地に使ったフード付きのジャケット(フードは着脱式)。風の進入を防ぐためのドローコードが各所に施されているのはありがたい。ツーリングはもちろん、キャンプや釣りなどあらゆるフィールドで大活躍。この冬、一着は欲しいジャケットだ。背中、肩、肘のソフトプロテクターは標準装備。ホンダ独自のボディプロクターも対応可能(オプション)。写真はブラック。他色にマスタード、ライトグレーが用意されている。30,450円(S,M,L,LL。3Lは31,500円)。 |
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■プロテクトウインターグローブ(EJ-R6A) 透湿防水グローブインサート“HIPORA”を内蔵したウインターグローブ。手首まで防寒できるロングタイプ。拳部分にはインナー式ナックルガード、掌には衝撃を逃がす効果のあるカーボンスライダー、振動吸収効果を高めるジェルパッチを装備し、安全性&快適性十分だ。左右人差し指の“HONDA”ロゴはリフレクターになっている。カラーは、グレー(写真)、ブラック、レッドの3色。サイズは、S/M/LL/3L/4L。9,975円。 |
■ファーストレーンシューズ(TP-R71) イタリアの有名ブランドであるAlpinestarsとのコラボレーションによって生まれた、スポーティでスタイリッシュなルックスのライトウエイトシューズだ。アッパーにはしなやかで軽い履き心地のフェイクレザーを採用している。レーシングシューズのようなTPR/TOEプロテクションを装備し、安全性も考慮されている。カラーは、ブラック(写真)とブラック/ホワイト。サイズは、24〜28,5cm(0.5cm刻み)16,695円。 |
●大好評、本誌小宮山CB400Fのマンスリーインプレッションも近日公開
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