ハーレーダビッドソンジャパンから発表された2014年モデル、全29機種の中でのハイライトといえるのはツーリングファミリーだ。FLHTK TC Ultra LimitedとFLHTCU TC Electra Glide Ultra Classicの2機種には、ヘッド周りのみを液冷とした“ツインクールドエンジン”が採用され、FLHRC Road King ClassicとFLHX Electra Glide Ultra Classicの2機種を加えたツーリングファミリー全4機種に、ハーレーダビッドソン初の前後輪連動ブレーキシステム“リフレックスリンクドブレーキシステム”が採用されるなど、まさにフルモデルチェンジと言っていいほど様々な変更が盛り込まれたのだ。
5機種をラインナップするダイナファミリーでは、FXDF Fat Bobのスタイリングがリフレッシュされた。強烈なアクセントとなるスラッシュラインの入った燃料タンクに“ニューツーアップシート”、そして“BLUNT CUT MUFFLERS”マフラーが採用された。また、2013年モデルではアニバーサリーモデルのみに採用されていたABSが、2014年モデルではダイナシリーズ全機種に搭載された。
スポーツスターファミリーは8機種。全てのモデルに先進のワイヤリングシステム、“HDLAN”が採用された。すでにダイナファミリーやソフテイルファミリー、ツーリングファミリーではおなじみの電装システムだが、シート下の配線などがスッキリとし、オイルタンク形状の改善にも繋がっている。またこれによりシート下から簡単にECM、BCM、そしてバッテリーの着脱が可能となった。前後ブレーキシステムの一新によりストッピングパワーの向上も2014年モデルの特徴だ
ソフテイルファミリー、V-RODファミリーは大きなテクニカルアップデートなし。CVOファミリーにはFLHTNSE CVO Softail DeluxeとFLHTKSE CVO Limitedのニューモデルが加わった。
FLHTK TC
Ultra Limited 3,500,000円/3,563,000円
ハーレーダビッドソン2014年モデルのハイライト、“ツインクールドエンジン”搭載のツーリングシリーズ、FLHTK TC Ultra Limited。
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2014年モデルの新型ツーリングファミリーの開発コンセプトである“PROJECT RUSHMORE”とは、「ツーリングファミリーの“Look、Sound、Feel”の全ての要素を向上させる為の技術革新プロセスの総称です。広範囲にわたる様々な調査と、ライダー達からの意見をもとに、開発チームが究極のライディング・エクスペリエンスを実現することを目的に作られました」。(ハーレーダビッドソンジャパンのリリースより)
ツーリングファミリーのUltra LimitedとElectla Glide Ultra Classicの2モデルに採用(CVO Limitedも採用)された“ツインクールドエンジン”。燃焼室形状の変更により圧縮比を、従来の空冷モデルの9.6から10対1に高めることでパワーアップ。同時により大量に発生することになった熱をシリンダーヘッドに新たに設けたクーラント通路により冷却する、というシステムだ。熱を受け取ったクーラントは左右のロアーフェアリング内に設置されたラジエターで冷却される。左右ラジエターの背後には電動ファンを装着。右ロアーフェアリングのカバーをコインで外せばクーラントタンクのカバーとフィラーキャップにアクセスができる。
フロントフォークも従来のφ41.3mmからφ49mmへと拡大された。同時に内部のダンピング機構も変更され、より多様な路面でのコントロールされた滑らかな走行を実現しているという。フロントフェンダーの形状も変わった。取付方法もフォーク外側からボルトで留める方法へと変更され、ホイールの着脱をせずにフェンダーのメンテナンスが可能となった。
クーラントはブラシレスの電動ポンプにより加圧されヘッド内部を循環、放熱のためラジエターに送られる。この“部分液冷化”に要するエンジン部分での変更点は、シリンダーヘッド、ヘッドガスケット、オートコンプレッションリリースユニットのみで、その他の構成部品は空冷モデルと共通なのだという。(このページの小写真、イラスト類はクリックすると拡大画像で見られます)
全ツーリングファミリーモデルで共通の容積アップしたハイフローエアクリーナーボックス。フィルタリングパフォーマンスの向上ばかりではなく吸気音の低減も図っている。これは2014年のツインカム103エンジンで、カム形状を変更したことにも関連しており、カムリフト量のアップと、バルブオーバーラップの拡大(インテーク開度が198度から213度へ、エキゾースト開度が220度から233度へ増加、オーバーラップは13度になった)などに伴う音量増をより効率良く吸収させる役目も与えられている。
2013年モデルでもABSは装備していたが、2014年モデルではさらに進めて前後輪連動ブレーキシステムに発展した。車速が32~40km/h以上で作動、前ブレーキ、後ブレーキラインの油圧状況を電子制御ユニットで常にモニター。ブレーキが使用されれば、それに合わせて前後、いずれか余裕のある側のブレーキに中央油圧制御ユニットから油圧をプラス、全体の減速度を高めるというシステムだ。最適なブレーキ量と車速度に合わせたブレーキバランスを自動的に作り出してくれる。また、ホイールのロックを防止する前後輪のABSシステムも連動しているので安心してブレーキがかけられる。イラストでシート下の位置にあるのが電子制御ユニットと油圧ユニットをまとめた中央油圧制御ユニット。
フェアリング内にチューニングされたスピーカーエンクロージャーボックスを採用。全体的な音質を向上させたコクピット周り。FLHXとFLHTCU TCの4.3インチ液晶画面「BOOM! BOX4.3」と、FLHTK TCとFLHTKSEの6.5インチ液晶画面「BOOM! BOX6.5」の2タイプのインフォメーションボックスが採用される。主にオーディオシステムや音声認識機能、クルーズコントロール等の操作は左グリップで、車両情報機能は右グリップのボタンで操作する。両グリップとも最下部のボタンは十字キーの機能が与えられている。メーターパネルの上部には新たに“スリップストリームベント”システムが採用され、ウインドスクリーンの内側にエアを導入することでヘルメット周りの気流を積極的にコントロールすることが可能となった。
強度を増すためにフェアリングマウントのデザインも変更された。従来は側面にエクステンションが付いたブラケット2個でマウントされていたが、2014年モデルでは、一体構造のマウントを採用。2個のサイドスパーは、キャストラジオシャーシと結合され大きなセンタープレートがインナーフェアリングの上部を支え、強力なプラットフォームを形成している。
基本デザインは変わっていないもののフレームにも手が入れられた。パワートレインのマウントプレートを一新、これによりツーリングファミリーのフレームにはサイドカーを取り付けることはできなくなったが、ステアリングヘッドとフォークの取付部も大幅に変更し、よりバランスの取れた剛性の高いフレームとなった。
アッパーとロアーフォークブラケット間の接続に一般的なワンピースシステムを使用していた従来のステアリングステムに対して、2014年モデルでは独自のツーピース構造に変更(上イラスト右)。アッパーフォークブラケットのステムへの固定はピッチボルトを使用。
クラシックなスタイリングとマウントファスナーに変更はないが、サドルバッグはリッドの機構を変更、片手で開閉ができるように改良された。シングルレバーを持ち上げるだけでラッチが解除され、リッドは外側をヒンジに開くようになった。収容能力は片側32リットル。ツアーパックもデザインが変更された。長さと幅の増加により視覚効果でスレンダーな印象となったが、フルフェイスヘルメット2個を収容可能で、容量自体2013年モデル比で10%アップしている。テールランプとターンシグナルのリアコンビネーションランプも新デザインに。
ツーリングファミリーに採用されたライティングシステムは2タイプ。FLHTK TCとFLHTCU TCには、デイメーカーLEDヘッドランプとLEDスポットライトを採用。FLHXとFLHRCには、デュアルハロゲンヘッドランプシステムが採用された。ハイビーム時にはローとハイ、両方のバルブが点灯する。
FXDF
Fat Bob 2,023,000円
「クールな力強さと共に、よりダークに、よりタフなスタイリング」にリフレッシュされた2014年モデルのFXDF ファットボブ。
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よりクールに、よりタフなスタイリングに生まれ変わったファットボブ。「New Diagonal Tank Graphics」「Blunt Cut Mufflers」「Trimmed Rear Fender & Dual Ring Led Tail Lamp」などを採用。(ハーレーダビッドソンジャパンのリリースより)
「BLUNT CUT MUFFLERS」や「BLACKD OUT HIGH=PERFORMANCE COIL-COVER REAR SHOCK」を採用。
ヘッドライトとイメージを統一する「DUAL RING LED TAIL LAMP」を採用。「TRIMUED REAR FENDER」。
「NEW DIAGONAL TANK GRAPHICS」で個性的なスラッシュラインがあしらわれたタンク。
「LOW PROFILE TANK CONSOLE」をブラックトリム化。
「Blacked Out Finishes」でブラックトリム化が施されたフロントフェイス。前後ホイールもブラックアウト。
ライダーの身長は170cm。排気量1,584cc、Twin Cam96エンジンを搭載する2014年モデルのダイナファミリーは、全モデルにABSを標準搭載。FXDL Low Riderはラインナップから外れた。
XL1200X/XL1200V
Forty-Eight/Seventy-Two
2014年モデルのスポーツスターファミリーは全モデルに“HDLAN”を採用。これでダイナ、ソフテイル、ツーリングファミリーとともにHDLAN仕様が標準となった。また、前後輪のブレーキシステムも一新された。写真はXL1200X Forty-Eight。1,372,000円/1,407,000円。
HDLANの採用でシート下に余裕ができオイルタンク形状も見直したスポーツスターファミリー。オイルフロー向上のためラインの位置変更と新たなフィッティングを採用。写真はXL1200V Seventy-Two。1,372,000円/1,407,000円。
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