Hondaコレクションホール収蔵車両走行確認テスト闘うDNA四輪編その1
Hondaコレクションホール収蔵車両走行確認テスト「闘うDNA」

RA272
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RA272

RA272

RA272
タイヤは転がし(移動)用と走行用がある。前者は当時の製品のため、サイドウォールにヒビ割れが見られる。後者は最新のラジアル構造でF3用がベースと思われる。 参戦第一期、1960年代のF13台は、バルブまわりなども当時のオリジナルを保っているため燃料にアブガスを使用。始動前は吸気口(エアファンネル)からも注入していた。 写真の機器はオイルヒーター。レーシングマシンのエンジンオイルは80℃位まで温められてから注入される。二輪四輪、新旧問わずレーシングマシンにとって常識らしい。

 二輪のレースで世界の頂点に立ったホンダ、次なる目標は市場参入を果たした四輪メーカーとして世界の頂点に立つこと。すなわち、F1グランプリに挑戦することであった。

 プロトタイプのRA270を経て、1964年のドイツGPにホンダ初のF1実戦マシン・RA271がデビュー。オートバイのように横置きされたV12エンジンは世界の度肝を抜く。高回転・高出力でライバル達を圧倒したが、車重の重さや整備性の悪さ、そして経験不足により、参戦初年度の最高位はデビュー戦の13位。

 1.5リッターエンジン規定最後の年となる翌1965年はRA271の改良版、RA272で参戦。材料の置換などによって軽量化が進む。リアサスはインボードから一般的なアウトボード・タイプに変更され、セッティングの自由度も増している。

 この年、ドライバーにリッチー・ギンサーが加入し2台体制に。またシーズン後半のイタリアGPからはエンジンマウントを10cm下げ、低重心化が図られた改良版を投入。

 最終戦となったメキシコGPでは予選・決勝ともに快調で、ギンサーがドライブしたRA272はトップでチェッカーを受ける。ホンダにとって参戦僅か11戦目の勝利であり、F1最多勝(通算368勝)を誇るグッドイヤー・タイヤの記念すべき1勝目でもあった。


RA272

RA272
 

RA272
参戦2年目を迎え、実戦仕様となったRA272は材料もジュラルミンの使用部位が増え、鉄板の板厚を薄くするなど、271の525kgに対し498kgまで軽量化。バルクヘッドの隔壁も鉄からアルミに変更されている。横置きされる1.5リッター時代のV12エンジン、Vバンクは60度。RA271のデビューレースのみ京浜製12連キャブを使用したが、以降はホンダ独自のインジェクション・システムが採用されている。

RA272

RA272
1960年代としては標準的な、各計器類が並ぶRA272のコクピット。バックスキンのsparco製ステアリングホイールはノンオリジナル。もちろん、当時は着脱機能も備わらず、外径も大きい。ダッシュボードの前は今では信じられないことに、燃料タンクが備わる。ホンダのF1初参戦当時のマシンは、チームのナショナルカラーが施されていた。本田宗一郎が希望したゴールドは南アフリカのカラーだったため、第二希望のアイボリーホワイト+日の丸が日本のナショナルカラーとなった。

RA272
エンジン:水冷4サイクル60度V型12気筒横置DOHC
排気量:1,495cc
最高出力 :over 230HP/12,000rpm
最高速度 :over 300km/h
車両重量 :498kg
サスペンション(前) :ダブルウィッシュボーン 上:溶接ロッキングアーム、下:Aアーム
サスペンション(後) :ダブルウィッシュボーン 上:Iアーム、下:逆Aアーム、ダブルラジアスアーム
全長×全幅×全高 :3,950mm×1,675mm×793mm

RA300
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 レギュレーションの変更により、1966年シーズンよりF1は3リッター・エンジンのマシンで争われることに。ホンダはRA273を投入。V12エンジンは縦置きとなり、やや独創性は薄まったマシンとなる。

 翌1967年は予算の制約から引き続きRA273の改良型で戦うことになるが、この年にチームに加入したジョン・サーティースの仲介によってイギリスのローラ社とマシンを共同開発。インディカー用のT90のシャシーをベースに、シーズン中の僅か6週間足らずでRA300は完成する。

 グッドウッドで確認走行後、正にぶっつけ本番状態でイタリアGPのモンツァに挑んだRA300は予選で9位を獲得。決勝はロータスのジム・クラーク、ブラバムのジャック・ブラバムとの三つ巴のトップ争いのまま最終ラップに。RA300を駆るサーティースがハナの差の劇的勝利を収めた。

 その後RA300はアメリカGPでリタイア、最終戦のメキシコGPで4位を獲得。翌1968年シーズン開幕戦となった南アフリカGP(結果は8位)まで使用されている。


RA300

RA300

RA300
1967年シーズン途中、ローラと共同開発されたRA300は、インディカー用T90 シャシーがベースに。サスのアーム類にクロームメッキが施されているのは、強度が上がると考えられていたから。RA273から移植するV12エンジン(RA273E)を搭載するためカウル後半部が取り払われ、エンジンまわりがすべてむき出しになっているところが、急遽製作されたマシンであることを物語る。エンジンやギアボックスにはマグネシウムが多用されるなど、軽量化も果たしている。

RA300

RA300
1966年シーズンよりF1は3リッター・エンジンに移行。ホンダはバンク角を従来の60度に対し90度としたV12エンジンを開発。ニューマシンRA273への搭載方法も横置きから一般的な縦置きに改められる。このエンジン(RA273E)は翌年のRA300にも搭載。Vバンク上の複雑に絡み合うエキゾーストパイプが特徴的。ホンダF1創世記の「アイコン」と言えるほどの大変強いインパクトを放っている。計器類はRA272同様、当時の定番・英国製SMITHSを装着。

RA300
エンジン:水冷4サイクル90度V型12気筒DOHC
排気量:2,992cc
最高出力 :over 420PS / 11,500rpm
最高速度 :over 350km/h
車両重量 :590kg(’67 Italian GP: 610kg)
サスペンション(前) :ダブルウィッシュボーン 上:溶接ロッキングアーム、下:Aアーム(リーディング)
サスペンション(後) :ダブルウィッシュボーン 上:Iアーム、 下:逆Aアーム、ダブルラジアスアーム
全長×全幅×全高 :3,955mm×1,788mm×845mm

RA301
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 RA301は前年RA300同様、イギリスのローラ社と共同開発されたマシン。1968年シーズンの第2戦・スペインGPより実戦投入されている。ドライバーはジョン・サーティース。

 シャシーはRA300の改良型とは言え、エンジンは刷新。吸排気レイアウトが全面変更された。またイギリスGPからはリアウイングが採用されている。

 このシーズンは空冷V8エンジンを搭載したニューマシン・RA302の投入などもあり、RA301の開発は停滞。第6戦フランスGPの2位が最高位。

 そしてこのシーズンを最後に、ホンダのF1活動はしばらくの間休止。純粋なホンダ・チームのマシンは、2006年のRA106まで待たなければならない。


RA301

RA301

RA301
フロントサスペンションはRA300と比べて形式こそダブルウィッシュボーンと変わらないが上側がAアームとなり、見た目にもスッキリとした印象。エンジンは吸排気レイアウトを大幅に変更。Vバンク間から吸気し外から排気と、RA273や300とはまるで逆となった。“HONDA”の文字か入った箱はエアファンネルのカバー。走行時は外される。

RA301

RA301
1968年のRA301は軽量化がさらに進み、車体はさらに熟成。シーズン途中より流行していたスポイラーも装着。幾度となくトップを快走するレースも見せたが、エンジンの熟成不足による不運なリタイヤも。歯車が上手く噛み合えばチャンピオンも夢ではなかったマシンだった。

RA300
エンジン:水冷4サイクル90度V型12気筒DOHC
排気量:2,992cc
最高出力 :over 450PS / 11,500rpm
最高速度 :over 360km/h
車両重量 :530kg
サスペンション(前) :ダブルウィッシュボーン 上:Aアーム(リーディング)、下:Aアーム(トレーリング)
サスペンション(後) :ダブルウィッシュボーン 上:Iアーム、 下:逆Aアーム、ダブルラジアスアーム
全長×全幅×全高 :3,955mm×1,788mm×845mm

[戦うDNA その6 二輪編-6|その7 四輪編その1|その8 四輪編-2]

Hondaコレクションホール収蔵車両走行確認テスト「闘うDNA」

二輪編-1・ホンダミュージックが世界を征す]
●1959年 RC142(#8 125cc)
●1966年 RC116(#1 50cc)
●1965年 4RC146(#4 125cc)
●1966年 RC149(#117 125cc)
●1966年 RC164(#1 250cc)
●1966年 RC166(#7 250cc)
●1967年 RC174(#3 350cc)
●1968年 RC181(#2 500cc)

二輪編-2・トリコロールはここから始まった]
●1972年 CB750(#15)
●1975年 CB500R(#83)
●1976年 RCB(#5)
●1980年 RS125RW-T(#20)

二輪編-3・V4〜V2の黄金時代から、再び直4へ]
●1991年 RVF750(#11 OKI HONDA RT・8耐仕様)
●1995年 RVF750(#11 Team HRC・8耐仕様)
●1997年 RVF/RC45(#33 ホリプロホンダwith HART・8耐仕様)
●1999年 RVF/RC45 (#1 ラッキーストライクホンダ・全日本スーパーバイク仕様)
●2000年 VTR1000SPW(#11 チームキャビンホンダ・8耐仕様)
●2004年 CBR1000RRW(#7 セブンスターホンダ7・8耐仕様)

二輪編-4・7度の世界タイトルを獲得したワークスレーサー]
●1993年 NSR250(#18 岡田忠之仕様)
●1997年 NSR250(#1 マックス・ビアッジ仕様)
●1999年 NSR250(#4 宇川徹仕様)
●2001年 NSR250(#74 加藤大治郎仕様)
●2003年 RS125RW(#3 ダニ・ペドロサ仕様)

二輪編-5・無敵の6年連続チャンピオンなどWGP500クラスで他車を圧倒]
●1984年 NS500(#1 フレディー・スペンサー仕様)
●1984年 NSR500(#1 フレディー・スペンサー仕様)
●1985年 NSR500(#4 フレディー・スペンサー仕様)
●1988年 NSR500(#1 ワイン・ガードナー仕様)
●1997年 NSR500(#1 マイケル・ドゥーハン仕様)
●1999年 NSR500(#3 アレックス・クリビーレ仕様)
●2002年 NSR500(#74 加藤大治郎仕様)

二輪編-6・MotoGP元年をロッシとのコンビで圧勝した新世代の5気筒レーサー]
●2002年 RC211V(#46 バレンティーノ・ロッシ仕様)


四輪編-1・F1創生期 無謀とも思えた挑戦で2勝の快挙]
●1965年 RA272(#11)
●1967年 RA300(#14)
●1968年 RA301(#5)

四輪編-2・F1第二参戦期 エンジンサプライヤーとしての挑戦]
●1986年 ウィリアムズFW11(#5)
●1988年 ロータス100T(#2)
●1988年 マクラーレンMP4/4(#12)
●1989年 マクラーレンMP4/5(#2)
●1990年 マクラーレンMP4/6(#2)

四輪編-3・GTカー創成期 自動車メーカとしての名声を高めたマイクロ・スポーツの活躍]
●1966年 S800GT-1仕様(#25)
●1968年 S800マーシャル仕様

四輪編-4・ツーリング&GTカーの時代 市販車の高いポテンシャルをサーキットでも証明]
●1983年 ヤマトCIVIC(#1)
●1987年 モチュールCIVIC(#16)
●1993年 JACCS CIVIC(#14)
●1998年 ギャザズ CIVIC(#77)
●1995年 NSXルマン(#84)
●2000年 カストロール無限NSX(#16)

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