1都2府16県を駆け巡ったホンダ・クロスカブとピンキー大統領の愉快な夏休み!ALL SUMMER LONG(前編)

こんにちは! 原付二種(G2)の理想郷を目指すG2連邦・大統領、ピンキー高橋です。皆様、猛暑が続いておりますのでご自愛ください。でも夏、大好きです。ロングランの季節です。2年振りに行ってまいりました! 新車のテストランという大義名分を盾に、また遊びに行ってきたのかよ……、と思われるかもしれませんが、ハッキリ申してその通り! 原二バイクで色んなとこ走り回るほど愉快なものはなく、私はこのために生きている、と言っても過言ではないでしょう。そんな、私の道楽にお供してくれたのは、ホンダが一気に5車種も発表した新型原二の中の1台、クロスカブ。コイツは発表前から気になっていたモデルで、実際にとても愉快なバイクでした!

 

●報告・撮影:ピンキー高橋
●問:Honda お客様相談センター TEL 0120-112010
http://www.honda.co.jp/motor/

●1日目:東京~福井 510km

 Twitterにてチョコチョコとつぶやかせていただきましたが、クロスカブとのロングラン。今回は2010年(アドレスV125S)2011年 (Dio110)で走ったルートをミックスしながら四国まで足を伸ばしてみたり、ついでに岡山国際サーキットで恒例となっている「大統領歓迎イベント」に寄ってみたりと、昨年ロングランできなかった鬱憤を晴らすため、過去最大の時間を費やして走ってきました。相棒は鮮やかなイエローのクロスカブ!

 クロスカブは短時間ではありましたが、浜名湖のレインボーモータースクールでの試乗以来。その試乗記でも書きましたが、跨った印象はCT110、いわゆるハンターカブそのもの。オーストラリア郵政仕様がベースとなっているそうで、幅広で高いハンドル、厚めのシート、高い着座位置によって、スーパーカブとは異なる別世界が広がります。2009年に登場したスーパーカブ110(JA07)でフレームが一新されて以来、走りは格段に良くなりましたが、もちろんクロスカブもフロントの接地感や直進安定性は高いです。ちなみにクロスカブ、型式は昨年フルチェンされたスーパーカブ110同様、JA10になります。

※以下写真をクリックすると違う写真が見られます。

クロスカブ

クロスカブ
今回の相棒、クロスカブ。車体色はパールコーンイエロー、メーカー希望小売価格は278,250円。車体色に原色が使われることで遊び心が一気にアップ! 丸型のヘッドランプ(フレームマウント)もデザインのアクセントに。前後サスペンションにスーパーカブ110プロ用(コチラは14インチタイヤを装着)を採用することで最低地上高は20mmアップ。シートは厚手のものが装着されています。スーパーカブ110と同形状と思われるリアキャリアはボディ同色に(カブ110はクロームメッキ)。●撮影:依田 麗 真夏のロングランということで、カスタマイズパーツとして用意されているメッシュシートカバーを装着。コレ、夏の必需品! 炎天下で熱せられたシートに座った直後のアノ不快感とは完全にオサラバできます。また、今回のロングランに際して何かと荷物の収納に重宝するホンダ純正「ラッゲージボックス」(8,295円)を装着。雨とか降られると、やっぱ“箱”は便利ですからね。スタイル的にカブにマッチするスチール製で容量は約39L。横置きも可能です。●撮影:依田 麗

クロスカブ

クロスカブ

クロスカブ

クロスカブ
午前3時、大統領官邸をスタート時のオドメーター。果たして何キロまで距離を伸ばせるのか!? およそ1時間後、かつての走り屋のメッカ・大垂峠(神奈川県)に到達。誰も走っていません……。 10時過ぎに塩尻(長野県)で給油。燃料計は写真の位置を指していますが、この状態での給油量は3.5L。まだ0.8Lほど余裕があったようです。今、気づきましたがメーターは“SUPER CUB”なんですね。 安房峠(旧道)が通行止めとのことで急遽、野麦街道にスイッチ。野麦峠に着いたのは13時前でした。今は野麦峠も松本市内なんですね。で、その先からは日本で一番広い市、岐阜県高山市。香川県より広いとか!? 飛騨高山の中心地に到達したのは15時半前。郡上で給油し、県境の油坂峠道路 は自動車専用道路のため、荒れた印象のタイトな旧道で福井県入り。18時過ぎでした。7月のこの時間はまだ明るい。

 初日のゴールは福井。まずは大統領官邸(通称ピンクハウス)を午前3時に出発し、国道20号線で諏訪方面へ。辺りは暗いとは言え、走らなければ額から汗タラタラの蒸し暑い都内から西へ、高尾近辺から過ごしやすい気温に。と同時に交通量が一気に減ります。3年前にアドレスで通った時はなかった圏央道・高尾山ICが突然現れたのにはタマげました。

 そうそう、ロングランと言えばこれまでオートマチックのスクーターが多かったのですが、今回はバックボーンフレームですが足元にエンジンを搭載するモーターサイクル。変速も自分で行うという、今までとは“操っている感”が違います。

 そして、一般公道を走るのは今回が最初となるのですが、ディスクブレーキ車にすっかり慣れてしまっている昨今、フロントのドラムブレーキには当初、正直不安はありました。ディスクとは異なり、おのずと早め早めのブレーキングを心がけるようになり、慣れてくると不安はなくなります。もちろん、普通に走っている限り制動力にも一切問題はございません。

 今まで何度も書いたことありますが、私、自動遠心クラッチ車を自分で納得のいく“美しい走り”が上手くできないのです。特にシフトダウン。回転合わせて足(チェンジペダル)でクラッチをスムーズに繋ぎたいのですが、ギクシャクすることが……。加えて、カブはシフトアップを前に踏み込んでいく逆チェンジ(乗り慣れたオーストラリア仕様のCT110は正チェンジ)。シフトミスせぬよう、最初は慎重に夜の甲州街道をクルージングって感じで進んでいきます。

 東京を出発して10時過ぎに塩尻に到着、燃料計がレッドゾーンに入ったので初給油。今から4年前、スペイシー100で能登半島を目指した時も塩尻が最初の給油タイミングでした。燃料タンクの容量はスペイシーの6.5Lに対しクロスカブは4.3L。かなりの好燃費が期待できます! で、210.9km走って3.5L、結果は60.25km/L(満タン計測法)。スーパーカブ110に対し若干ショートなギアなのに、いきなりリッター60km超え! 今までの経験で、エコラン以外で60km/Lなんて燃費は初めてであります。フツーに走ってただけなんですけどね。ホンダ横型エンジン、恐るべしです。

 もっとも、今回の区間燃費に関しては、タンク容量が4.3Lと比較的少ないため、満タン法で計測すると誤差もあると思われます。なるべく誤差を無くすべく、可能な限りエア抜き&同油面での給油を心がけましたが、区間燃費は参考データとお考えください。尚、全燃費データは後編にてご報告いたします。

 初日はその後、松本から国道158号線で上高地方面へ。原付なので旧道の安房峠で飛騨高山方面に向かう予定だったのですが、安房峠が通行止めとかで、急遽、野麦峠越えで岐阜県入り。高山からは再び国道158号で、この日の目的地である福井市へ。

 山間部を通る時間が多かったため、脇道にも入ってみました。なんてったって“クロスオーバー”なカブですから、ちょっとした砂利道ならまったく問題ありません。膝まわりにタンクは無いけど、スタンディングなんぞするとトレール車のように快適に走ってくれます。サスペンションも長くなっているおかげでしょうか? 加えて高くなったハンドルもちょうどいい感じで、スーパーカブでもこういった道の走破性は悪くないと思いますが、クロスカブには安心感もあり、何より楽しいですね。

 結局、眠れずに東京を午前3時に出発したため、山梨の韮崎と、道の駅ひだ朝日村 (高山市)で止む無く仮眠。福井の街に着いたのは20時頃でした。走行距離は510km。もちろん、マシンは絶好調です。ただし、私のオシリはカタチや肉付きが良くないのか、1時間以上連続して走ると痛くなりました。2年前のDio110の時はそんなことはなかったんですけどね。


●2日目:福井~鳥取 334.9km

 して、2日目は初日の幾多の山越えに対し、基本的に日本海沿いに鳥取へ。越前の海岸と言えば、2年前にDio110でずっと朝から雨に降られ続け、やっとカッパが脱げた場所という記憶が蘇りました。今回は晴天。いや、朝からちょっと気温上がり気味で、この先の道中気になるところ……。

 走っていればメッシュジャケットのおかげで快適。空冷とは言え、109ccのJA10E型エンジンも快調そのものです。国道8号で敦賀へ、そして敦賀からは国道27号で昼前に小浜に着。この街、アドレスV125S、Dio110に続いて今回で3度目。やはり、オバマ大統領就任時の盛り上がりはありませんし、特に何があるワケではないのですが、いつも地理的に重要な通過点となります。停まっているとたまらなく暑いのでMなお店のシェイクで冷をとり、再び出発。京都府に入り、舞鶴、そして日本三景のひとつである天橋立へ。アドレスの時は国道178号線で近畿地方最北端・経ヶ岬経由で丹後半島を攻めましたが、今回は国道312号で京丹後市方面へショートカット。途中、遅い昼食でラーメン屋さんに立寄ると、店員さんから「オシャレなカブですね」と声をかけられ、だいぶ興味津々の様子でした。


クロスカブ

クロスカブ
クロスカブは街中はもちろん、自然の中でも“絵”になる佇まい。そんな姿につい見とれてしまいました。正にクロスオーバーなカブです。

クロスカブ

クロスカブ

クロスカブ

クロスカブ
2日目は福井の街からスタート。リアのボックスの中には着替え(ピンクスーツ&シューズ含む)、カッパ、地図など、必要なもの全て収まってます。国道27号の若狭町近辺にて11時過ぎ、すでに気温35℃…。 14時過ぎ、右奥に見えるのは天橋立(京都府)。日本三景のひとつも平地から見ると、まるで面白くありません。豊岡(兵庫県)より西側の国道178号線は原付に対しとても不親切。途中、自動車専用道路だけになってしまうところも……。 橋梁で有名な余部(駅名は餘部)には17時半過ぎに到達。旧橋梁は展望台になるとか? 残念ながら私、明治時代に完成したという在りし日の旧橋梁の勇姿は間近で見たことありません。 鳥取県に入り、日本海の夕陽をバックに、黄昏てみました。”Lonely Sea” って感じで、ブライアンの甘い歌声が聞こえてきそう。19時過ぎです。場所は鳥取砂丘のちょっと手前あたり。

 国道312号で、日本で一番寒暖差の大きい豊岡市へ。兵庫県入りです。ここから再び国道178号で日本海を目指すのですが、ちょっと気になることが。この国道178号を走っていると、ところどころ「鳥取豊岡宮津自動車道」の一部区間が国道178号のバイパス的に無料供用されているのですが、自動車専用道路のため、もちろん原二バイクは通行不可。では、どうすれば一般道で日本海・鳥取方面へ行けるのか? 初めてこの地を訪れた私にとって、国道178号がバイパスになる度にその案内がなく、不安に陥りました。確かに原付の通行量は圧倒的に少ないと思いますが、旧道で走りたい人だっているはず。原二で地方を走ると、幾度となくこういった不便を感じることがあります。どうにかならないものでしょうかね?

 どうにか橋梁でお馴染みの余部にたどり着き、日本海のサンセットなんぞ撮りながら、ゴール地である鳥取市へ。走行距離は334.9km。これで、東京→神奈川→山梨→長野→岐阜→福井→京都→兵庫→鳥取と、1都1府7県を通過。この日は一日を通して暑く、走り終えても頭痛に見舞われました。軽い熱中症にかかったかもしれません。こんな経験、初めてです。でもさすが世界の(クロス)カブはタフそのもの。気温が高いと噴射するガソリンも薄くなるのか、相変わらす燃費も高アベレージを保っています。


●3日目:鳥取~東広島 341.5km<br />

 そして3日目は国道9号線で日本海沿いに米子、そして境港へ。クロスカブのオドメーターが1,000kmを越えたので島根県に入ってから松江市内のウイング店にて初回オイル交換を。最新のバイクとは言え、空冷エンジンはオイルでの冷却も重要な役割を担っているので気を使いたいものです。

 この日も相変わらず晴天、こまめな水分補給は欠かせません。右手に巨大な宍道湖を眺めながらクルージング、そして出雲街道・国道54号線から一気に南下し、山陰から山陽へ。広島県に入り、三次の街からは国道184号や県道を使って、この日のゴール、東広島に到着。走行距離は341.5kmでした。

 ページの関係で前編はここまで。まだまだお伝えしたいことはたくさんあります。後編までもう少々お待ちください。悪しからず……。


クロスカブ

クロスカブ
境港・水木しげるロードにて。「サラリーマン山田」さんが気軽に撮影に応じてくれました。ありがとうございました。クロスカブに跨ってほしいとリクエストしましたが、足が短いためムリでした。 宍道湖(島根県)にて。私、26歳まで「しんじこ」と読めませんでした。日本語は難しいです。残念ながら名物のシジミを口にすることができませんでした……。

クロスカブ

クロスカブ

クロスカブ

クロスカブ
3日目、鳥取市内をスタートし、国道9号線で西へ。途中、“因幡の白兎”の伝説の地と言われる「道の駅 神話の里 白うさぎ」に立ち寄り。鳥取県の最西端、境港市に着いたのは13時前でした。 島根県の県庁所在地・松江市内のWING店「淞北輪業」にてエンジンオイル交換を実施。その後、国道54号線で広島方面へ。とても走りやすい、気持ちの良い道でした。 三次(広島県)の街を過ぎ、国道184号線を走行中にあった「品の滝」の看板につられて見てきました。昨年の大雨による災害で途中、激しく樹木が倒れていましたが、自然環境保全地域のため手をつけることが出来ないとか。 この日のゴールは東広島。3日間トータルで1186.4km走りました。途中、山あいの村をいくクロスカブの1シーンを添えておきます。

後編は海を渡って四国に上陸他、まだまだ走ります!

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