CRF250R 735,000円(9月20日発売)
★ホンダ CRF250R 車両解説
CRF250Rがフルモデルチェンジで2014年モデルに
環境時代の“4スト・モトクロッサー”CRFシリーズの2014年モデルは、CRF250Rのフルモデルチェンジイヤーとなった。
2000年のMFJモトクロス日本グランプリで、CRF450Rのプロトタイプ車が世界に先駆けてデビュー。そして翌年の2001年から全日本モトクロス選手権シリーズ及び、AMAモトクロス選手権でワークスチームが使用して活躍、本格的な4ストロークモトクロッサーの時代が幕を開けた。そしてこの年の11月10日にCRF450Rが市販開始されている。
4ストロークエンジンを搭載する新時代のモトクロッサーCRFファミリーの一員として、CRF250Rは、CRF450Rの発売から2年遅れの2003年11月に発売が開始されている。以来、イヤーモデルごとに戦力アップがはかられてきているCRF450RとCRF250Rだが、登場時期と同様、それぞれの進化の度合いは毎年異なったスケジューリングで行われてきている。
2012年モデルのCRF250Rは、エンジン面ではスロットルボディの小径化を図るとともに、コネクティングチューブ、吸気ポート、排気ポート、エキゾーストバルブの形状変更が行われ、車体周りではCRF450Rと共通するサスのチューニングやワイドフットペグの採用などが行われた。2013年モデルではCRF450Rがフルモデルチェンジを受けたのに対して、フロントフォークのダンパー部のピストン径のアップ、バネレートの変更が行われ、また新パターンのフロントタイヤの採用が行われた程度で、いわゆる戦闘力アップの熟成マイナーチェンジが行われたのみだった。
今回の2014年モデルでは、いよいよCRF250Rにフルモデルチェンジの番がやってきた。エンジンでは全域でトルクフルなパワーを生み出す新設計ピストンと燃焼室形状の採用、混合気の充填効率を高める吸気通路形状の最適化、低中速のパワー感とスロットルレスポンスを両立させる燃料噴射方式“デュアル・ステージ・フューエルインジェクション(1サイクル2度噴射制御)”の採用などが行われた。サイレンサー全長を短くすることで慣性マスの集中を行い、また、同時に左右対称配置で得られる重量バランスの良さから高い車体安定感と軽快感を生み出すショートデュアルマフラーを採用。排気圧を最適化する整流板を取り付けた新型エキゾーストパイプも導入されている。
車体回りでは第6世代の新設計アルミツインチューブフレームを採用。フロントの接地感とリアトラクションの向上などを目標にヘッドパイプとメインパイプの結合部を下方に移動させ、ヘッドパイプまわりの剛性を最適化。リアクッション上部とメインパイプ、ピボットプレートをより近づけて剛性を上げ、作動性を向上。リアフレーム上下パイプ間の角度を大きくし、各ガセット類の軽量化などが行われた。また、この新型フレームは低重心化とマス集中化を狙ったレイアウトを徹底していることも特徴だ。ECU、コンデンサー、レギュレーター、ワイヤーハーネスなど、各電装部品もグラム単位で軽量化し、同時に車体中心付近に配置させてマス集中化に貢献している。
足周りでは、縦、横剛性を最適化した新設計のスイングアームを採用。パイプの形状を見直し、従来よりも縦剛性を大幅に上げつつ横剛性を適切に保つことで、しなやかさと路面をしっかり捉える剛性感を両立させているという。フロントフォークは従来モデルを熟成し新設計の車体に合わせてセッティング。マス集中化と共に軽快感を最大限に引き出した車体レイアウトとのマッチングを図っている。おなじみのホンダプログレッシブステアリングダンパーは継続採用。
スタイリングでは、ジャンプ中もより扱いやすい必要最小限の外装部品、徹底したマス集中化による軽快で俊敏な動きへの寄与、そして“マンマキシマム・メカミニマム”MM思想によりダイナミックで自由なライディングアクションに対応、という3点をキーワードに進化させているという。
★HONDA プレスリリースより (2013年8月8日)
モトクロス競技専用車「CRF250R」「CRF450R」の2014年モデルを発売
~CRF250Rはフルモデルチェンジし総合性能をさらに向上~
Hondaは、世界各地のモトクロスレース活動で培った先進技術を投入した、水冷・4ストロークエンジン搭載のモトクロス競技専用車「CRF250R」をフルモデルチェンジするとともに、「CRF450R」の仕様の一部を変更し、2014年型モデルとして9月20日(金)に受注期間限定※1で発売します。
CRF250Rは、開発コンセプトを“The Peak of Athlete アスリートの極致”と定め、さまざまな走行シーンで自由に操ることができるモトクロスマシンを目指しました。車体には、新設計のアルミツインチューブフレームとスイングアームを採用。エンジンは、新形状のピストンを採用するなどで、圧縮比を従来モデルの13.2から13.5に高め、さらに力強い出力特性にしています。また、消音効果とマスの集中化に寄与するショートタイプのデュアルマフラーを採用し、総合性能を一段と向上させています。
スタイリングは、CRF450Rのデザインを継承し躍動感にあふれたシャープなイメージとしています。
CRF450Rは、フロントサスペンションとリアクッションの減衰力特性を変更することで、走行性能の向上を図っています。また、シリンダーヘッドの吸・排気ポートの形状変更によって、スロットルの低開度領域と高回転領域それぞれの出力を向上させています。
CRF250R、CRF450Rともに、車体色にはHondaのモトクロスマシン伝統のエクストリームレッドを採用し、躍動感あふれるスタイリングとしています。
※1 受注期間は2013年8月8日(木)から12月10日(火)まで
- ●販売計画台数(国内・年間)
- CRF250R 300台
- CRF450R 40台
- ●メーカー希望小売価格
- CRF250R 735,000円(消費税抜き本体価格 700,000円)
- CRF450R 871,500円(消費税抜き本体価格 830,000円)
- ※価格にはリサイクル費用を含みます
- ※このCRF250R、CRF450Rは、公道および一般交通の用に供する場所では一切走行できません。また、登録してナンバープレートを取得することもできません
- =CRF250R 2014年モデルの主な変更点=
- ●フレーム
- さまざまな走行シーンにおいて、操縦安定性をさらに高めるために、下記の変更を行っています。
- ・新設計のアルミツインチューブフレーム(メインフレーム)と、ショートタイプのデュアルマフラーの採用により、マスの集中化を実現
- ・新設計のスイングアームの採用によりトラクション性能を向上させ、より高い速度域での安定したコーナリングを実現
- ●足回り
- フロントサスペンションは、新設計フレームの採用に合わせ減衰力特性を変更。リアクッションは、従来モデルに比べ全長を14.5mm短くし、車体のより低い位置に取り付けることで、低重心化を図り軽快感を向上させています。また、減衰力特性の変更などにより、トラクション性能の向上を実現しました。
- ●エンジン
- Honda独創のメカニズムで実績のあるユニカムバルブトレイン採用の水冷・4ストローク・4バルブエンジンは、下記の変更を行うことで高速域の出力を維持しながら、低・中速域でのトルクを向上させています。
- ・ピストンの頭部形状と燃焼室形状を変更し、圧縮比を従来モデルの13.2から13.5に高めることで出力の向上を実現
- ・トランスミッションは、出力の向上に対応して最大で13%の歯幅の拡大を行いながらも、スリムなフレームに収まるコンパクトな設計
- ・出力の向上に対応し、点火時期や燃料噴射量などの特性を変更。電子制御燃料噴射装置(PGM-FI※2)は、ライダーのスロットル操作に対し、よりリニアにパワーを引き出せるよう燃料噴射方式を一部変更し、「デュアル・ステージ・フューエルインジェクション(1サイクル2度噴射制御)」を採用。これにより、ライダーの高い要求に対応できるスロットルレスポンスを実現
- ※2 PGM-FIは、Hondaの登録商標です
- ●スタイリング
- CRFシリーズの基本思想「マス集中“トライアングルプロポーション”」を継承しながら、しなやかで鋭い矢のようなスタイリングを採用することで鮮烈なイメージとしています。シュラウドやサイドカバー、シートを滑らかに連続させながら徹底的なフラッシュサーフェス化を図り、ライダーのスムーズなライディングをサポートする形状としています。
- =CRF450R 2014年モデルの主な変更点=
- ●足回り
- フロントサスペンションの減衰力特性の変更とエア圧の最適化を図っています。また、リアクッションの減衰力特性の変更によって走破性の向上を実現しています。
- ●エンジン
- シリンダーヘッドの吸・排気ポートの形状変更、マフラーの分岐部形状の見直しによって、スロットルの低開度領域と高回転領域それぞれの出力を向上させています。PGM-FIは、デュアル・ステージ・フューエルインジェクション(1サイクル2度噴射制御)を採用することで、ライダーの高い要求に対応できるスロットルレスポンスを実現しています。また、クラッチスプリングの変更でクラッチの操作荷重を5%低減し、クラッチ操作による疲労を軽減しています。
★主要諸元
車名型式 | ME10〈PE05〉 | |
---|---|---|
CRF250R〈CRF450R〉 | ||
発売日 | 2013年9月20日 | |
全長×全幅×全高(mm) | 2,181〈2,191〉×827×1,271 | |
軸距(mm) | 1,489〈1,492〉 | |
最低地上高(m) | 0.322〈0.330〉 | |
シート高(m) | 0.951〈0.953〉 | |
車両重量(kg) | 106.2〈111.0〉 | |
乾燥重量(kg) | - | |
乗車定員(人) | - | |
燃費(km/L) | - | |
登坂能力(tanθ) | - | |
最小回転小半径(m) | - | |
エンジン型式 | - | |
水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 249.4〈449.7〉 | |
内径×行程(mm) | 76.8〈96.0〉×53.8〈62.1〉 | |
圧縮比 | 13.5〈12.5〉 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | - | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | - | |
燃料供給装置形式 | 電子制御燃料噴射装置[PGM-FI] | |
始動方式 | プライマリーキック式 | |
点火方式 | フルトランジスタ式デジタル点火 | |
潤滑油方式 | - | |
潤滑油容量(L) | - | |
燃料タンク容量(L) | 6.3 | |
クラッチ形式 | 湿式多板コイルスプリング式 | |
変速機形式 | 常時噛合式5段リターン | |
変速比 | 1速 | 2.357〈1.800〉 |
2速 | 1.888〈1.470〉 | |
3速 | 1.555〈1.235〉 | |
4速 | 1.333〈1.050〉 | |
5速 | 1.136〈0.909〉 | |
減速比1次/2次 | 3.166〈2.739〉×3.769〈3.692〉 | |
キャスター(度) | 27°23′〈27°04′〉 | |
トレール(mm) | 118.0〈116.0〉 | |
タイヤサイズ | 前 | 80/100-21 51M |
後 | 100/90-19 57M〈120/80-19 63M〉 | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式シングルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式(倒立タイプ) |
後 | スイングアーム式(プロリンク) | |
フレーム形式 | アルミツインチューブ |
※〈 〉内はCRF450Rのデータです