TMAX530/ABS/ABS BLACK MAX 966,000円/1,018,500円/1,050,000円(6月25日発売)
★ヤマハ TMAX530/ABS/ABS BLACK MAX 車両解説
海外向けに先行デビューしていたTMAXの新型、TMAX530の国内仕様を発売
スタイルはスクーターに似ていながら、走行性能はスポーツモデル、というユニークな乗り物「TMAX」が国内市場にも導入されて12年になろとうしている(2001年8月に国内発売開始)。その後、他社からも“オートマチック・スポーツモデル”が登場するなど、スポーツモデルに対するオートマチック化は徐々に広まってきているが、それにしてもこの10数年で劇的な環境変化があったかと言えば、残念ながら未だあくまで独自のモデル、バリエーション的なものとしてしか認知されていないというのが現状だろう。ホンダのDCT車の登場で、かつてクルマの世界で起こったオートマチック化への雪崩現象がバイクでも起こるのだろうかと、やっと注目を集め始めたところといっていい。
まあそんな世間の情勢はともかく、この10余年でTMAXは熱烈なファンを着実に増やしてきたのは事実。オートマチックがどうのこうのではなく、TMAXの「スタイル」、「走り」そのものが支持されてきた証だ。支持されていればこその10余年。海外では2000年の12月から発売開始。2004年9月に初のモデルチェンジを受け、F.I.(フューエルインジェクション)化や、φ41mmフロントフォーク、ラジアルタイヤなどを新たに装備。2005年9月には、特別カラーや、ツートーンシートなどの“スポーティ・ハイクラス”をイメージしたSPECIALモデル発売。2006年2月、2007年2月には、それぞれカラーリング変更によるイヤーモデル。
さらに2008年7月発売(海外では2007年9月のパリショーでデビュー、2007年10月から発売)のモデルでは、ついに新設計フレームを採用、前後15インチ化、そしてキープコンセプトながらもデザイン一新などで“走りのパフォーマンス”と“クオリティ感”をより向上させた新型に発展している。2009年11月には、TMAXの誕生10周年を記念した「TMAX 10th Annversary WHITEMAX」を発売。専用のホワイトカラーのボディに、コクピットへのカーボン柄水圧転写パーツの織り込み、ツートーンカラーホイール、ツートーンシート、専用エンブレムの採用などが行われたモデルだ。
最近では、2010年8月に新色のハイテックシルバーが追加され、2011年4月には車両用車体制振ダンパー“パフォーマンスダンパー”を海外でのオプション部品として設定。2011年7月には、ヤマハのロードレース世界選手権参戦50周年を記念した「TMAX WGP50thAnniversary Edition」を発売。おなじみのヤマハのレーシングイメージといえるスピードグラフィック外装、記念エンブレムなどを採用した限定仕様が発売されている。ちなみにこの年のロードレース世界選手権、6月25日のオランダGPと7月24日のアメリカGPでは、懐かしいスピードグラフィック外装が与えられた特別カラーのYZR-M1が走っている。
そして2012年の秋、フレームから前後サスに至るまで、すべてに渡って見直された新型TMAXが海外でデビューした。何か何まで新しい、しかし“オートマチック・スポーツモデル”というTMAXのコンセプトにはいささかも揺るぎなく時代に合わせた各部の改良が行われた。で、当然国内のファンも新型の発売を期待したのだが、残念ながらしばしおあずけ。国内向けには500版の継続モデルとなるXP500 TMAXがリリースされている。
2009年11月に発売されて人気を呼んだ“WHITEMAX”を彷彿させるモデルで、白の車体色に(黒ベースもラインアップ)ツートーンシートやシルバーアルマイトのブレーキキャリパーキャップ、ブロンズカラーのメーターパネルとホワイトLEDメーター、リム部を切削加工しツートーンカラー化した前後ホイールなどを採用していた。海外仕様と国内仕様の違いが分かりやすいように、海外仕様はTMAX530と排気量を付けて呼び分けられることになった。
その待望の新型TMAX、TMAX530がいよいよ国内でも発売されることになったのだ。2001年の初代、2004年の2代目、2008年の3代目、そして新型TMAX530は4代目としてTMAXワールドをさらに広めていくことになる。
★YAMAHA プレスリリースより (2013年5月15日)
欧州のベストセラーモデルが国内に登場
新型「TMAX530」
上質感漂う特別仕様「BLACK MAX」もデビュー
ヤマハ発動機株式会社は、スポーティな走行性能とオートマチックの利便性を高い次元でバランスさせ、独自のカテゴリーを築いた「TMAX」をフルモデルチェンジし、2013年6月25日より順次発売します。
「TMAX530」は、“Try the Maximum”を開発キーワードに、1)低中速域から力強いトルクを発生する新530ccエンジン、2)優れた加速特性を引き出す新設計CVT、3)軽量化と剛性バランスを向上させる新設計アルミ製リアアーム、4)リニアな加速感を実現する新設計ベルトドライブ、5)上質かつアグレッシブに進化したスタイリング、などが新たな特徴です。
なおABS 標準装備モデル「TMAX530 ABS」及び上級仕様モデル「TMAX530 ABS BLACK MAX」も新たに設定します。
- <名称>
- 「XP500 TMAX」「XP500A TMAX」
- 発売日
- 2013年6月25日
- メーカー希望小売価格
- 「TMAX530」966,000円(本体価格920,000円、消費税46,000円)
- 「TMAX530 ABS」1,018,500円(本体価格970,000円、消費税48,500円)
- 「TMAX530 ABS BLACK MAX」1,050,000円(本体価格1,000,000円、消費税50,000円)
- ※メーカー希望小売価格(リサイクル費用含む)には、保険料、税金(除く消費税)、登録などに伴う諸費用は含まれない。
- カラーリング
- ■ブラックメタリックM(ブラック)
- ■ブルーイッシュホワイトカクテル1(ホワイト)
- ■マットダークグレーメタリック1(マットグレー/ABS仕様のみ)※
- ■マットブラック2(マットブラック/「BLACK MAX」のみ)
- <販売計画>
- 800台(年間・国内)
- ※「マットダークグレーメタリック1」と「マットブラック2」はABS 仕様のみの設定となります。
- 「TMAX530」フィーチャーマップ
- ・輪郭ライン、スラント角変移を含めエアロダイナミクスを具現化したスクリーン(取付け位置Hi/Lowの2ポジション/高さ55㎜差)
- ・エアロタイプのミラー&ステー
- ・ウインドプロテクション効果に優れるフロントカウル
- ・コンパクトで明るいプロジェクターヘッドライト(サブリフレクター付)
- ・バッテリー整備性向上
- ・新設計5本スポークホイール
- ・530cc新エンジン/新設計CVT
- ・FIセッティング最適化
- ・クラッチサイズアップ
- ・新設計クランクケース
- ・フレーム剛性バランス最適化
- ・ステータス性を演出する多角形メーターパネル
- ・LEDテールライト
- ・独立型リアブレーキロック用キャリパー
- ・リアディスクブレーキ径アップ(263→282㎜)
- ・アルミダイキャストリアアーム
- ・アルミ製カラー
- ・ベルトドライブ方式2次駆動
- 《市場背景と製品概要》
- 2001 年に初代モデルを発売した「TMAX」は、モーターサイクルならではのスポーティな走りとコミューターとしての利便性、収納性などから、オートマチックスポーツモデルとして人気を博しています。通勤などの日常で扱い易く、週末はファンライドでスポーティな走りを楽しめる「TMAX」ならではの高次元のバランスが、日本や欧州などで高い支持を集めている理由です。
- 今回発売の「TMAX530」は、2001年の発売の初代型から数えて4代目となり、エンジンと駆動系の熟成により走りの性能の更なる進化を果たし、“走りのパフォーマンス”の新次元を提唱するモデルとしました。
- 《主な特徴》
- 1) 新530ccエンジン、及びロス馬力低減設計
- 低中速域から太いトルクを発生する新530ccエンジンを採用しました。ボア・ストロークは68×73㎜で、2012年モデル「TMAX」比で2㎜ボアを拡大、吸気バルブは25㎜から26㎜径へ拡大し、新作アルミ製鍛造ピストンを織り込みました。これらにより優れた燃焼効率を生み出すペントルーフ型の新燃焼室が可能となり、FIセッティングとの相乗効果で、胸のすく加速性能に磨きを掛けました。
- またバランサー関連パーツにアルミ製スリーブを追加するなどで軽量化、バランサーのピストンにも圧縮ロスを低減する仕様を織り込むなどで、ロス馬力を低減、スムーズなエンジンフィーリングを達成しました。
- 2) 新設計CVTを採用
- 530ccの新エンジンに呼応して新設計のCVTを採用しました。プーリーの材質と表面処理、ベルト及びベルト室冷却システム、変速レシオなど全てを一新。特にトルクの立ち上がりと、変速特性とのマッチングをポイントに開発しておりドライバビリティの向上に貢献しています。
- 湿式クラッチの容量もアップし、高トルクの新エンジンに適合させました。なおクランク慣性マスは、2012年モデル「TMAX」とほぼ同様として、まろやかな走行性を継承しています。
- 3) 新設計アルミリアアーム、ベルトドライブの採用
- 左右別体式アルミダイキャスト製リアアームを新たに採用しました。2段掛けチェーン内蔵アームの2012年モデル「TMAX」比では、リアアームまわりで約3.5kgを軽量化。前輪分布荷重アップをもたらし、この結果、狙ったラインをトレースしやすく、軽さと落ち着きをバランスさせたハンドリングを引き出しています。
- 2次駆動には軽量なアラミド系繊維のベルトドライブを新採用し、ダイレクト感ある走行性を可能としています。ベルトドライブは、たわみ量が殆どないため、スロットル操作に対しリニアに駆動力を引き出せ、マンマシン一体感あふれる走行性に貢献します。
- 4) フレームの剛性バランス最適化
- フレームは、2012年モデル「TMAX」同様、CFアルミダイキャスト技術で製造するアルミ材と、アルミ押し出し材を組み合わせた構成を継承しています。そのうえでエンジン及びラジエター懸架部のスチール材について肉厚及び締め付け剛性をチューニングし剛性バランスを最適化しました。
- なお、ディメンション、アライメント等は2012年モデル「TMAX」と同スペックとし、持ち味のスポーティな走行性をそのまま引き継いでいます。
- 5) 新設計フロントカウル&スクリーン
- ウインドプロテクション効果に優れる新フロントカウルを採用しました。スクリーンも新作しており、高速での優れた快適性をミニマム形状で具現化しています。外殻形状・スラント角を最適設計しており、フェアリングとの間のダクト部にも整流板を設定、風の巻き込みの少ない優れたエアロダイナミクス効果を引き出しました。スクリーンはミニマム化しながらもCdA値は2012年モデル「TMAX」を上回るレベルとし、風きり音が少なく快適な居住空間を作り出しています。なお、スクリーンの取り付けボルト位置はHi/Lowを選べます。
- 6) 独創のTMAXビジュアルを継承した新デザイン
- TMAXの初代からの特徴である《スポーツ性とステータス性》のバランスを継承・強調しながら、新デザインを採用しました。デザイン上の特徴は、①“くびれ”を織り込んだフロントによる凝縮感の強調及び、低位置配置のスクリーン&バックミラーによるコンパクト感の強調、②“ブーメランイメージ”を強調するベルトドライブケース、③アグレッシブさを語る新2眼ヘッドライト及びフロントタイヤを掴む鷹の爪を彷彿させるフラッシャーレンズ、④コミューターの上質感を演出する立体導光体目盛り採用の新多角形メーター、⑤進化した走りを支える新作軽量5本スポークホイールとパワーユニットの存在感を強調するクランクケースカバー(サイズ拡大)などです。
- 7) 上質感あふれる「BLACK MAX」の設定
- 上質な雰囲気を醸し出す特別仕様として「BLACK MAX」を設定しました。ABSを標準装備したほか、専用カラーリング、専用メーター、ブラックウッドパターン水圧転写のメーターまわり、ゴールド塗装グリップエンド、TMAXロゴ入りシート、バックレストエンブレム、ゴールド塗装ホイール、サテンゴールドエンブレムなどを採用、豪華な仕様となっています。
- 8) その他の新たな特徴
- ・軽量な樹脂製マニホールド
- ・大径282㎜リアディスクブレーキ/リアブレーキとは別系統の機械式リアブレーキロック
- ・国内市販二輪車初、上下サブリフレクター付プロジェクターヘッドライト/LEDテールライト
- ・視認性に優れ共鳴が少なく、質感、スポーティ感を漂わすエアロタイプのミラー&ステー
- ・フロントトランク(右側トランクはキー付で1.6ℓ、左側は0.3ℓ容量)
- ・バッテリー整備性向上/アルミ鍛造サイドスタンド
★主要諸元
車名型式 | EBL-SJ12J | |
---|---|---|
XP500 TMAX〈XP500A TMAX〉 | ||
発売日 | 2013年6月25日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.200×0.775×1.425 | |
軸距(m) | 1.580 | |
最低地上高(m) | 0.125 | |
シート高(m) | 0.800 | |
車両重量(kg) | 217〈221〉 | |
乾燥重量(kg) | - | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費(km/L) | 27.0(30km/h定地走行テスト値) | |
登坂能力(tanθ) | - | |
最小回転半径(m) | - | |
エンジン型式 | J413E | |
水冷4ストローク直列2気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 530 | |
内径×行程(mm) | 68.0×73.0 | |
圧縮比 | 10.9 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 35[48]/6,750 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 53[5.4]/5,250 | |
燃料供給装置形式 | フューエルインジェクション | |
始動方式 | セルフ式 | |
点火方式 | TCI(フルトランジスタ式) | |
潤滑油方式 | 強制圧送ドライサンプ | |
潤滑油容量(L) | 3.5 | |
燃料タンク容量(L) | 15 | |
クラッチ形式 | 湿式遠心多板 | |
変速機形式 | Vベルト式無段変速 | |
変速比 | 2.041~6.034 | |
キャスター(度) | 25°00′ | |
トレール(mm) | 92 | |
タイヤサイズ | 前 | 120/70R15M/C56H |
後 | 160/601R15M/C67H | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ダブルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | スイングアーム | |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
※〈 〉内は「XP500A TMAX」(BLACK MAX含む)