ハーレー絶対主義

“フライホイールで走る”と称されるほどのビッグトルク、無骨なビッグツインはそれだけで味わえるフィーリングをもつ。驚くほど大きなクランクから、それがリアルに伝わってくるようでもある。それでも、このクランクは軽くなった。進化である。加工精度、材質の飛躍的な進歩が、ハーレーに新しいフィールドを広げているのである。ざらついたクランク、そしてコンロッドは、オイルを巻き上げビッグツインのスムーズな鼓動を支える。クランク下端に開けられた穴も、オイルの潤滑を促す。ビッグトルクを禦するシステムは、実に単純明解なものなのだ。


ハーレー絶対主義

ファインチューニングが施されたハーレーは、そのキャラクターばかりではなく、スペックでも威風堂々としたものである。それは、デビューから脈々と育まれたベーシックポテンシャルが、内燃機関として優れたものであった証である。このカムシャフトは、その駆動をクランクから直取りされ、すべてのバルブを駆動するものである。これはモーターサイクル発祥以来、ハーレーだけのシステムである。だが、ハーレーはその確固たるシステムによって、おざなりなチューンを受け付けない。それどころか、細心の注意を必要とするメンテナンスがなければ、ハーレーの本当のテイストは導き出せないのである。


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