DAKAR2013 ホンダの挑戦-後編 チームメンバー達のダカール

HONDA

 24年ぶりのダカール復帰。この文字に含まれる意味を考えると、実際のところ、無の状態からスタートをするに等しい。前回、ダカールラリーTEAM HRC代表の山崎勝実さんお話しを聞くまでもなく、24年という時間がもたらしたダカールラリーへの無の空間は、あまりにも大きかった。
 さらに、ラリーが開催されるエリアでは、ラリー参加者が事前にテストが出来る期間も大幅に制限され、事実上現場でのテスト=本戦、というルールまでできている。それだけに、シミュレーションをして想定をし、それに基づいたマシン作りをして、南米ではない他の砂漠でそれを擬似的に試し、本番に挑んだHonda。
 がっぷり四つに組んだ相手は“世界一過酷”と言われるダカールラリー。そしてライバルはそのラリーで21世紀になってから負け知らずKTMファクトリーラリーチーム。Hondaは12連覇を続ける彼らの強さを目の当たりにする。
 ダカールに向けた準備から本戦、そして次なるラリーへの思いを開発メンバーであり本戦ではサポートメンバーとして加わった3名+山崎チーム代表に話を聞いた。





森 庸太郎


宮崎純治


野口晃平
CRF450 RALLYの開発ではLPL代行を務めました。日程、物流全てを管理し、車体全体をまとめてカタチにした、ということです。設計領域では自分も足回り領域を担当し、ラリー専用のディメンジョンを設計し完成車をまとめていきました。また、現地ではテクニカルスペックマネージメントということで、その中では部品の管理、仕様の管理、メンテナンススケジュール管理などを受け持ちました。普段の業務は、オフロードモデルの足回り設計を担当しています。フレーム、スイングアーム、前後ホイール、ブレーキ、走る、曲がる、止まるに関わるところ全部です。 CRF450 RALLY開発の私の担当は、フューエルインジェクションのセッティングとドライバビリティー、走りっぷりですね。それを今回担当しました。HRCのワークスマシンとは別に、今回、CRF450Xのキットバイクをアルゼンチンの現地法人チームに1台貸与していましたので、そのフォローもあってラリーに行っていました。私の部署は「燃料系」と言われ、FI、キャブレター、特にCRFなどのオフロード系を担当しています。 私は電気系全般です。CRF450 RALLYの開発では、フューエルインジェクションのシステムから、ヘッドライトなど外から見える部分までの電気全般を担当しました。ラリー参戦中は、来期のダカール車を作り込む上で必要になるデータ収集をメインに、電気系のトラブル対応と現場でも電気全般の事をさせてもらいました。

松井 勉(以下、松井):皆さんはどのようにしてチームに合流したのでしょうか。


森 庸太郎(以下、森):僕達は元々オフロードに関わっている人が多かった。今回ここにはいませんが、CRF450 RALLYの開発責任者の本田太一に、「ダカール参戦マシンについて検討して欲しい」と二輪R&Dセンターのセンター長、鈴木哲夫から電話があり、そのあと、すぐに私のところに連絡がありまして、考えてくれないか、と。それがプロジェクト発足前の2月の中旬から下旬になるころでした。
 WEB等でいろいろなラリーバイクを調べて、どう作ればよいのかな、と検討して手探りでCRF450Xのディメンションをいじってみたりしたのが最初です。企画よりも前から自然と僕はそのダカールプロジェクトに入っていました。


宮崎純治(以下、宮崎):私の部署は燃料系というところで、オフロードのフューエルインジェクションを担当しています。当然、ウチの部署にも連絡がありました。私の立場としては現場の担当者というよりも、そのマネージメントをする立ち位置です。実際に現場でテストをするメンバーを支えながらやっていました。
 9月ごろ、TEAM HRCの本体はアメリカテストにいったり、モロッコにラリーに出かけたりと忙しかったので、アルゼンチンのHondaの現地法人(以下、ホンダアルゼンチン)にCRF450Xベースのキット車をレンタルする話があった際、山崎さんから、手伝って欲しいと連絡を受けました。
 元々私も現場のほうが好きなほうなので、やらせて下さい、と即答しました。
 ラリー本番はホンダアルゼンチンのサポートをメインに参加しました。TEAM HRCのほうは盤石の体勢だろうと思っていました。でも現実には燃料系のトラブルがあったりと、ワークスの方もいろいろ大変だった。ホンダアルゼンチンは、元々ダカールに出ていた経緯があるので、学ぶ事も多く、情報を密にしてやっていました。双方向の情報交換は役に立ちました。
 ホンダアルゼンチンのバイクは1台だけ。パフォーマンスはワークスには劣りますが、タンクなどは同じものを装着しています。ゼッケンは49番。総合21位で完走したバイクです。

松井:野口さんは?


野口晃平(以下、野口):僕は2月か3月に開発責任者の本田太一さんから、「現在ダカールのベースにしているCRF450Xがキャブレターモデルなので、そこをFI化したい」という話を持ちかけられました。その時点では「ダカールに出るかは決定していなかったが、先行で検討してほしい」という打診でした。



ついにダカールラリーのスタート地点へとやって来たTEAM HRCのライダー達。CRF450RALLYの姿はまだ初々しい。ダカールラリーの歴史の一部だったホンダは、2013年に再始動した。ライダーは#3エルダー・ロドリゲス、#30ハビエル・ピゾリト、#33ジョニー・キャンベルの3名。マシンはCRF450RALLY。


TEAM HRCのエースライダー、エルダー・ロドリゲス。バイクを前にスタッフとなにやら協議中。連日、マイナートラブルが襲ったという。それでも日本のR&Dセンターとともに12時間の時差まで使った作戦でバイクを進化させて行く。
ついにダカールラリーのスタート地点へとやって来たTEAM HRCのライダー達。CRF450RALLYの姿はまだ初々しい。ダカールラリーの歴史の一部だったホンダは、2013年に再始動した。ライダーは#3エルダー・ロドリゲス、#30ハビエル・ピゾリト、#33ジョニー・キャンベルの3名。マシンはCRF450RALLY。 TEAM HRCのエースライダー、エルダー・ロドリゲス。バイクを前にスタッフとなにやら協議中。連日、マイナートラブルが襲ったという。それでも日本のR&Dセンターとともに12時間の時差まで使った作戦でバイクを進化させて行く。

松井:CRF450Rは、2009年からフューエルインジェクションですが、CRF450Xはキャブです。これはなぜでしょうか。


野口:社会的な状況変化の影響で、開発が止まっていました。従って、過去の開発の記録などを見て、キャブからFI化する場合、どんなセンサーをつければ良いのか、過去の成功や失敗事例を学び下準備を進めました。
 正式にチームに入ったのは4月中頃ですが、その2週間前、本田太一さんから連絡があり「電装部門に開発者の依頼をするから、やりたいなら立候補しておいてくれ」と言われ、担当の上司に僕しかできないから僕にやらせてくれ、と直訴しました。と、いうのも他にやりたそうな人が2人ぐらいいて、これはヤバイな、と。それで僕の方が電気のことよく分かります、と大口を叩いて、無事チームに入れてもらいました。


こちらで動画が見られない方、もっと大きな映像で楽しみたい方は、YOUTUBEのサイトで直接ご覧ください。

松井:実際にものすごいスピード感で開発が進む様子が伝わりますが、4月から本格的に始まった。6月初旬に1ヶ月ぐらいでクレイモデル(粘土=クレイを使用した外装デザイン検討用モデル)作成までたどり着く、というスピードに苦労はあったのでは?


森:クレイの他に実走できるバイクもありまして、北海道に持ち込んでテストをしています。10月にドイツで発表したマシンよりもさらに前の仕様です。カタチはラリーバイクでしたが、見よう見まねで作った物で、その後、大きなモデルチェンジを行っています。
 大事な部分、それは車体のスリムさ、コンパクトさですね。以前のような砂漠を飛ばす所ばかりではなく、南米に移ってからは、砂漠の高速セクションに加え、テクニカルなセクションも多く、よりモトクロスバイクに近いようなライディングポジション、車体のコンパクトさが求められると。僕達は昔のバイクを参考にしたため、大きくて重たい、ライダーが乗ってもライディングに自由度がないクルマになってしまっていた。ライダーの要望とは離れていたんです。
 実際、現車の確認にきたライダーからは、動ける自由度がない、こんなのでは長い距離を乗れない、と悪評でした。目の前でスクレーパーを持ち、クレイをバリバリ削られて(笑)。
 その時、来たのがエルダー・ロドリゲス、サム・サンダーランドの2名。テスト車とクレイモデルを並べて、テスト車に跨がったエルダーが、クレイをどんどん削る。ここが当たるからダメ、といって。もう、ガソリンをどこに入れようか、というぐらい削られました。

松井:エルダー・ロドリゲス、削る!


宮崎:タンクの設定も苦労をしました。CRF450 RALLYは30リッター以上の燃料を積むことになるのですが、車体に搭載されるタンクは5つです。我々のチョイスとしてはタンクの中ではなく、外側に燃料ポンプを出した別体式を選択しています。その別体ポンプの中に今回の仕様で5つのタンクからガソリンを流し込まないと、ポンプからインジェクターに圧の掛かった燃料がいかないわけです。
 今回、まず苦労したのが5つのタンクから別体ポンプにガソリンを送る配管でした。複雑化し上手く流れるようにする見極めが難しかった。最終的にラリー本番でも同じような問題がでましたが、最初から苦労した部分です。



「これでは乗れない」スクレーパーを持ったエルダー・ロドリゲスが試作中のクレイモデルをバリバリ削った、といわれるシェイプ。フロントタンク廻りのボリューム感は、エンデューロモデル、CRF450Xに近いのでは?と思わせるスリムさがある。昨年6月、エルダーによる大変更の要求で様々な部分をフルモデルチェンジ並に改良を施した、という。CRF450RALLYの成長はこれからもとどまるところがなさそうだ


「これでは乗れない」スクレーパーを持ったエルダー・ロドリゲスが試作中のクレイモデルをバリバリ削った、といわれるシェイプ。フロントタンク廻りのボリューム感は、エンデューロモデル、CRF450Xに近いのでは?と思わせるスリムさがある。昨年6月、エルダーによる大変更の要求で様々な部分をフルモデルチェンジ並に改良を施した、という。CRF450RALLYの成長はこれからもとどまるところがなさそうだ


「これでは乗れない」スクレーパーを持ったエルダー・ロドリゲスが試作中のクレイモデルをバリバリ削った、といわれるシェイプ。フロントタンク廻りのボリューム感は、エンデューロモデル、CRF450Xに近いのでは?と思わせるスリムさがある。昨年6月、エルダーによる大変更の要求で様々な部分をフルモデルチェンジ並に改良を施した、という。CRF450RALLYの成長はこれからもとどまるところがなさそうだ
「これでは乗れない」スクレーパーを持ったエルダー・ロドリゲスが試作中のクレイモデルをバリバリ削った、といわれるシェイプ。フロントタンク廻りのボリューム感は、エンデューロモデル、CRF450Xに近いのでは?と思わせるスリムさがある。昨年6月、エルダーによる大変更の要求で様々な部分をフルモデルチェンジ並に改良を施した、という。CRF450RALLYの成長はこれからもとどまるところがなさそうだ。


ラリーマシンに必須となる装備がナビゲーションアイテムだ。電装担当の野口はこうした部分へのメンテナンス性向上も考慮し、ハーネス廻りのアップデートを計るプランを考えている


ラリーマシンに必須となる装備がナビゲーションアイテムだ。電装担当の野口はこうした部分へのメンテナンス性向上も考慮し、ハーネス廻りのアップデートを計るプランを考えている
ラリーマシンに必須となる装備がナビゲーションアイテムだ。電装担当の野口はこうした部分へのメンテナンス性向上も考慮し、ハーネス廻りのアップデートを計るプランを考えている。

松井:ラリーバイクならではの苦労だと思います。タンク回りで他に苦労は?


宮崎:ライダーからの要望でガソリンはリアから使いたい、と。5つのタンクはコックで切り替えられるようにしています。前後均等に減っていくことで気にしないタイプのライダーもいましたが、今回、特にエルダー・ロドリゲス選手はリアから使いたい、という要望がありました。
 本来なら機能を保証する我々としてはコックの数を増やすとより複雑になるので、付けたくはありませんでした。

松井:エルダー・ロドリゲス選手はかなり注文も細かい、と聞きましたが……。


宮崎:勝つために何をするべきか、何事にもあきらめない人だという印象を受けました。やれることがあれば全てやる。我々もそれに応えてあげたいし、逆に24年間ダカールをサボっていたので、ライダーにそうじゃないんだよ、と言えるだけの材料がなかった。彼を信じてその方向に動いた、というのはあります。



ラ細身のラリーマシンを望むライダーの声は、燃料タンクを5つへと分割させた。ライダーは重量バランスの関係からリアから使いたい、という声にも応えるべく、配管も複雑化。トラブル時のリカバリーを容易にするため、燃料ポンプをアウター式としたこともそれに追い打ちを掛けるカタチになった。モロッコのテストでは出なかった些細なトラブルがダカールの実戦では顔を出す。そんな厳しさも体験した
細身のラリーマシンを望むライダーの声は、燃料タンクを5つへと分割させた。ライダーは重量バランスの関係からリアから使いたい、という声にも応えるべく、配管も複雑化。トラブル時のリカバリーを容易にするため、燃料ポンプをアウター式としたこともそれに追い打ちを掛けるカタチになった。モロッコのテストでは出なかった些細なトラブルがダカールの実戦では顔を出す。そんな厳しさも体験した。

松井:ある意味ロドリゲス選手は、今回のチームをコーチングした、とも言える存在だった……。


宮崎:私はそう思います。

松井:ライダーとしてのリーダー格もロドリゲス選手が?


山崎勝実(以下、山崎):その部分はジョニー(ジョニー・キャンベル)ですね。最年長にしてカリスマ的なリーダーシップを持ってます。だからチームワークの一角にジョニーは大きく貢献しています。ライダーを束ねる力がありチームを和やかにしてくれます。言葉も母国語が英語なのでしっかりしています。ソフト、マインドに関する部分はジョニーが、ラリーバイクのハードはエルダーがコントロールしている、という感じです。

松井:ジョニー・キャンベルといえばBaja1000のスーパースターです。今回、Hondaのライダーも世界中から集まっていました。彼らからもリスペクトされていたと?


山崎:ジョニーは間違いなくリスペクトされていました。
 今回、ライダー個々のキャラクターを上手に引き出すことも考えました。例えばハビエル・ピゾリトはライディングもさることながら、やはり南米の明るいキャラクターが光るいい奴でした。そんな個性をひきだしながら戦いました。
 残念ながら、サム・サンダーランド、フェリペ・ザノルの2人が怪我で欠場しましたが、この5人のライダーは全くキャラクターが違っていて、良いバランス感でした。ライダー同様、スタッフもそうですね。



名手、キャンベルをも罠に落とす砂漠の道。太腿後ろ側にでかい紅ショウガ。キャンベルは他にも肋骨を痛めて後半は辛いレースを強いられた


ライダー、チームのだれもからリスペクトされるジョニー。エルダー・ロドリゲスとキャンプ地の日陰で何を語らうのだろうか
名手、キャンベルをも罠に落とす砂漠の道。太腿後ろ側にでかい紅ショウガ。キャンベルは他にも肋骨を痛めて後半は辛いレースを強いられた。 ライダー、チームのだれもからリスペクトされるジョニー。エルダー・ロドリゲスとキャンプ地の日陰で何を語らうのだろうか。

松井:今回のラリーの序盤、2日目と3日目に燃料系トラブルが発生しました。その状況を教えて下さい。


宮崎:別体ポンプのところに自然落下でタンクから燃料を集めています。5つのタンクはライディングポジションのこともあり、ポンプとの落差を大きく取ることが難しく、配管も複雑になります。まっすぐ落としたいけれど、配管が曲がっている。流れにくい部分が生まれてしまう。さらに高温になると燃料ラインに気泡がたまるパーコレーションが起こりやすくなり、さらに流れにくくなる。
 開発中、気温40度、50度と室温を設定できる実験室で検証をし、モロッコでの実戦テストでも高温の中、問題がない、という確認ができていたのですが……。


山崎:モロッコラリーは、秋だったので、最高で40度に届くかどうかという気温でした。
 我々はその前、夏場にモロッコでテストを行っています。日陰で48度というのを経験しています。もう暑くて日陰から動けないです。その状態で砂丘のテストをやり、だいたい限界を掴んだ、と思っていました。


宮崎:モロッコのテスト時、さらに配管回りを熱から守ろう、と保温材などを巻きつけ、リファインしています。ダカールは想定内の温度でしたが、リファインして複雑化した燃料ラインが熱の加わり方による違いで流れが悪化する、ということになった。タンクに2リッター程残ってしまったのです。
 テストでは限界性を見極める極端な振り幅の状況で行います。高温下でアイドリング、または全開などです。実際に砂丘では全開で走る場面もあれば、ゆっくり走る場面もある。そうした狭間のような状況が燃料の流れに悪戯をした。
 それを使い切っていれば戻って来られた、という計算だったのですが。

松井:高温の想定とは違う不確定要素だったと……。


宮崎:我々の想定していたのは、アルゼンチンからペルーに入るフェアンバラのステージです。エルダー、ピゾリト選手ともに声を揃えて、あのステージはきつい、と言う場所です。標高も高い、気温も高い。風は向かい風、砂でコースも厳しい。キャブでもトラブルが出やすい、と。そうなればピスコ〜ピスコのステージを無難に乗り切れば、見通しは明るいぞ、と。そう思っていたんです。でもそこでトラブルが出た。



2012年春にスタートしたプロジェクト。駆け足で開発したCRF450RALLYにとって初めてのダカールラリー実戦となった2013年。多くを学習することになったチームだが、3名のライダーが完走し、14のステージそれぞれの情報を得られた事が大きな糧になったという


マシンの開発面だけではなく、難易度の高いラリーのコースや大雨などの不確定要素もTEAM HRCにとっては吸収した材料の一つ。乾けばホコリだが、ぬかるみになってもライダーを苦しめる地形は一筋縄ではゆかない。スタート後、ルート状況が雨の影響で悪化の一途をたどり、ステージそのものがキャンセルになることも経験した
2012年春にスタートしたプロジェクト。駆け足で開発したCRF450RALLYにとって初めてのダカールラリー実戦となった2013年。多くを学習することになったチームだが、3名のライダーが完走し、14のステージそれぞれの情報を得られた事が大きな糧になったという。 マシンの開発面だけではなく、難易度の高いラリーのコースや大雨などの不確定要素もTEAM HRCにとっては吸収した材料の一つ。乾けばホコリだが、ぬかるみになってもライダーを苦しめる地形は一筋縄ではゆかない。スタート後、ルート状況が雨の影響で悪化の一途をたどり、ステージそのものがキャンセルになることも経験した。