3月22~24日の3日間、東京ビッグサイトで開催されたバイクの祭典「東京モーターサイクルショー」は昨年より更なる来場者数増で大いに盛り上がる。中でもホンダ・ブースはここ近年稀に見る数の市販予定車を出展、バイク・ファンのハートに火をつけた。
一方、全く同じ日程で、パシフィコ横浜では「ジャパンフィッシングフェスティバル2013」(国際フィッシングショー)が開催されていた。こちらも日本最大級“年に一度の祭典”として多くの釣りファンによって大盛り上がり! その会場にも、1台のバイクが出展されていた。東西MCショーでも注目を集めていた「クロスカブ」(CC110)のカスタマイズ・コンセプトだ。
クロスカブは昨年11月、東京・青山のホンダビルで開催された「第16回カフェカブミーティング」でコンセプト・モデルがワールドプレミア。3月15日~17日の大阪モーターサイクルショーからは「市販予定車」として出展され、まもなく正式発売されるであろうモデルである。
特徴は、ベースとされるスーパーカブ110に対してロングツーリングにも適したゆったりとしたライディングポジションに改められ、シートも肉厚に。さらに、荒れた道でも力が入り易い幅広のハンドルや可倒式ステップを採用。日常の足としてはもちろん、週末は遊びにも使える、つまり日常と遊びの懸け橋、“クロスオーバーのカブ”というモデルだ。外観は車体色に鮮やかな原色が使われ、シンプルな丸型ヘッドライトを装着しているところがポイントとなっている。
フィッシングショー会場に出展されたクロスカブは、釣り雑誌でお馴染み「つり人社」とホンダのスタッフの様々なアイデアが盛り込まれたもの。正式車名は「CROSS CUB Fishing Customize Concept」という。バイクで釣りに出かけるのに最適・快適な装備を搭載したクロスカブは、つり人社のブースで多くの来場者の目を引いていた。かつて、ハンティングに出かけるのに便利なライフルホルダーなどを装備した“ハンター・カブ”なるモデルが存在したが、このカスタマイズ・コンセプトは言わば“アングラー・カブ”といったところか?
ショーの最終日となる3月24日の日曜日にはバイクジャーナリストのモリヒサシ氏、本田技術研究所のクロスカブ開発責任者である金塚征志氏、デザイナーの市原慶一氏を招き、トークショーも行われる。そもそもクロスカブとはいかなる可能性を秘めたバイクであるのか? お三方のハナシに、来場者はバイクを使った遊びに対してそれぞれの想いをイメージしていたに違いない。
「Fishing Customize Concept 」のアイデア提案の中心人物となったモリ氏は自身、釣りを趣味とし、スーパーカブ90を所有。現行スーパーカブ110に乗った時「操縦安定性が格段に向上したコイツで釣りに行きたい!」と思ったのが今回のカスタマイズ・コンセプトのキッカケだったとか。
クロスカブは市販が決定しているが、ロッドケースホルダーやリアまわりのサポート類といったアクセサリーパーツは、コンセプト・モデルということで今のところ販売は未定。もちろん、反響によっては釣具メーカーとのコラボレーションなどによってリリースされる可能性大だ。
最近、めっきり少なくなった「レジャー・バイク」の復活とも言えるクロスカブ。1960年代、ホンダがかの有名な「ナイセスト・ピープル・キャンペーン」をアメリカで展開していた頃、海を渡ったカブは釣具店などのレジャー・ショップにも並べられ、注目を集めたとか。何だか今回のカスタマイズ・コンセプトと状況が似ている。
そしてアングラーのみならず、もっと多くの人がクロスカブで遊ぶイメージを創造することができたなら……。クロスカブは大きな可能性を秘めているようだ。