迫力を求めるならば、究極のXなり。<ホンダ空冷DOHC並列6気筒>

HONDA

 今からちょうど20年以上も前、1965年イタリアGPにホンダは、250ccの6気筒レーサーRC166をデビューさせ、ヤマハV4と激しいバトルを演じていた。そして、翌’66年と’67年にチャンピオンタイトルを収めたホンダ・シックスこそが、1979年にデビューしたCBX1000の紛うことなきルーツなのだ。その整然と並んだ6本のエキゾーストの迫力は“究極”という名の再デビューだった。
 空冷インライン6の前傾ユニットは、RCレーサーそのもので、64×53.4mm、1047cc、105ps/9000rpmのユニットは、やはりGPレーサー同様のダブル・バックボーンフレームにマウントされる。24本もの吸排気バルブはカムのダイレクト駆動で、これもRC譲りだ。はたして、RC166では1本成形であったカムシャフトは、CBXでは2本分割の中空カムシャフトに代わって6気筒サイズに対応しているのが、10年間の技術的向上を物語っている。さらに、6基のCVキャブレターが、ニーグリップする人間の脚方向に習って逆V型に配置されているのも、オーバー1ℓでありながらも、市販車として幅広いシリンダー幅に対する新しい工夫でもあった。
 このCBXのデビュー後、F1クラスのレース規定が「1000ccは4気筒まで」と定められ、結局この究極のレーサー・レプリカのポテンシャルはストリートのみで発揮されるというのは、’60年代のホンダ・シックスがレース規定の変更からサーキットから撤退したのにも似ている。