ヤマハとして初の4ストロークユニットは、1970年の2月にデビューする。その当時、かのケニー・ロバーツはトーハツ→ホダカ→モンテッサ→スズキを乗り継ぎノービスチャンピオンとしてジュニアへの昇格を決めていた。「身体が小さいのでトラには乗れないだろう」という理由からスポンサーを断わられてしまった彼は、そうした経緯から、偶然にもヤマハ・インターナショナルからデビューしたばかりのXSを与えられたのである。それから、キング・ケニーの伝説の時代が始まるのだ。
75×74mm、653ccで53ps/7000rpm、5.5kg-m/6000rpmに5速ミッションを組み合わせ、アリエル型フレームに搭載されたXSのエンジンは、基本的には1955年以降の名車ホスクDA/DB500SOHCを見習ったものだから、悪かろうはずもなかった。結局、ケニーはケル・キャラザースによって最終的に86psまでスープアップされたそのXSで、1977年まで、ライバルであるハーレーを見事なほどに打ち負かしていくのである。