「オール・アメリカン・ライダー」のキャッチフレーズで今年のデイトナに出場したことでも判るとおり、ハーレーはどうしてもアメリカへのこだわりを持ち続けるメーカーである。従って、この45°VツインのXRユニットにおいても、NASAのハイテクが導入されてそれが完成した経緯を持っている。
初代XRは、当時のトラックレースのレギュレーションがそれまでの「OHV500cc、SV750cc」という変則から、AMAのFIM加入によって「全て上限750cc」に変わったために登場したニュー・カマーだった。クランクケース、シリンダー、シリンダーヘッドにはNASAの技術供与による特殊合金が用いられ、燃焼室は“世界最速のOHVエンジン”であるアエロマッキ350ccレーサーが参考にされている。OHVでありながら、ワークスXRはマキシムで95ps/8600rpmを実現しているのだ。OHCならいざ知らず、プッシュロッドを介してのこの数値はBMW同様、やはり驚異的である。