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そこにあるものは紛れもなく我々が手にする事が可能であり、公道を走れるバイクなのだ。
しかし、その妖しげなスタイルはそこに在るだけで強烈なインパクトを与える。
ハーフカウル、タンク、シングルシートが、各々所定の位置についている。特別他と違った構成をしている訳ではない。それでも、見る者の眼に、奇妙にさえ映るその造形も卓越さは注目に値する。デザインのためのデザインではなく、必要と、機能と意欲が成した形である。
レーサー然としたレプリカマシン達のエキサイティングさもいいだろう。しかし、その氾濫は同じコンセプトが、違った衣装を着ているだけでいささか食傷気味でもある。
スーパースポーツと呼ぶに相応しいマシンでありながら、これ程セクシーさを漂わせ、同類他車と一線を画す存在は他に見られない。
フリッツ・エグリ─20年近く前はロードレーサーとして活躍(’67年はヴィンセント350でスイスのロードレースチャンピオン)した男。その後はレース用フレーム造りに転向し、’74年にはボルドール24時間耐久レースに「エグリカワサキ1000」で優勝して世界に名声を広めた。スイスに在所を置き、カスタムマシンを送り出すエグリ社の主宰だ。
ターゲット─スズキ・刀デザインでも知られるハンス・ムートが以前チーフを務めた西ドイツのターゲットデザイン社だ。
この2社をやはり西ドイツのエグリディーラー・クラフト社が結びつけ、生み出されたのがこのマシンだ。
現代のバイクデザインの先端を走るターゲット、レースでの実績が証明する優秀なフレームを持つカスタムビルダー・エグリ、究極のインライン、ホンダCBXの6気筒が織り成す魅惑の世界に触れた。