V-Strom 650 ABS 882,000円(1月8日発売)
★スズキ V-Strom 650 ABS 車両解説
ヨーロッパではこのクラスの“オン・オフ”モデルのベストセラー、V-Strom 650 ABSを国内発売
V-Stromシリーズの歴史は、2002年発売のV-Strom 1000から始まる。TL1000系をベースに開発された4ストローク90°Vツイン、DOHC4バルブ、996ccエンジンを搭載する“アドベンチャー・ツアラー”としてデビュー。ヨーロッパで一気にブームとなった市場に、質実剛健な造り、手ごろな価格などによりトップランナーの一角を占めるに至った。そして、2003年にミドルクラスの弟分として、V-Strom 650が発売される。このV-Strom 650も手ごろなサイズと、堅実な走りによりベストセラーとなっている。
今回、国内発売が開始されるV-Strom 650 ABSは、2011年のモデルチェンジにより新型へと発展した2012年モデルを国内へ導入することになった。エンジンは2011年モデルをベースに再開発され、低中速域のトルクアップとパワフルな高速域を両立させている。ピストン、ピストンリング、シリンダーを刷新。アルミダイキャストシリンダーは硬質な皮膜を実現したスズキ独自のSCEMメッキシリンダーを新規採用。高い放熱性を維持しながら、フリクションを低減し、耐摩耗性、ピストンリングの密閉性をアップしている。シリンダーヘッドも低中速域のトルクアップとメカロスを低減するため、新設計のカムシャフト、バルブスプリング、ツインイリジュウムスパークプラグなどが採用された。
不等間隔爆発がもたらすVツイン独特の鼓動感を演出する新設計のクランクシャフトとシザーズタイプのプライマリードライブギアの採用により、トルクフルで扱いやすい出力特性の実現と、アイドリング時のエンジンノイズを低減。高速CPUを採用するEngine Control Unit(ECU)が、エンジン回転数、吸入負圧、スロットルポジションのデータにより基本燃料噴射量を決定。さらにマフラーに装着されたO2フィードバックセンサーにより補正することで最適な燃料噴射量を決定。2011年モデル比でWMTCモード燃費約10%向上。
クラッチレリーズ機構はボール・スクリュータイプからカムタイプに変更され、よりダイレクトな操作感を実現。シフトペダルの操作感も改良。さらにクラッチカバーが2層構造となり、メカニカルノイズの低減を図っている。冷却性能のアップと、快適なライディングを両立させるラジエター導風板を追加。導風板には穴が設けられており、足元にこもる熱を排出する機能をもつという(特許取得)。油温を安定させるため、水冷式のオイルクーラーも採用された。
アルミ製ツインスパーフレームとスイングアームは、基本的に2011年モデルを継承。フレームは、鋳造部材と押し出し部材で構成。スイングアームは、押し出し部材のアーム、ピボットと鋳造部材のジョイントの組み合わせ。リアホイールトラベル量は159mm。
「Tough×Smart」をキーワードに開発したボディデザインは、アドベンチャー・ツアラーに求められる機能を追求し、洗練された一体感のある造形を表現したという。オーバーハングを詰めた凝縮感のあるプロポーション、表情豊かな造形の塗装部分とテクスチャーを使い分けた黒色樹脂部品のコンビネーション、機能感を強調したディテールなどによって、スポーティな軽快感とタフネスイメージをアピールしている。
メーターも多機能、コンパクトなデザインに変更。左側にアナログ表示のタコメーター、右に輝度調整機能付大型LCDディスプレーを採用。おなじみギアポジションインジケーターも当然装備。またタコメーター内にはユニークな凍結警告表示灯が備わる。これは外気温が3°C以下で点灯、5°C以上に戻ると消灯するというもの。燃料計や水温計などの多機能表示部分は、ハンドル左グリップの裏側に備えられた切り替えスイッチでコントロールできる。
高い防風性を誇る可変ウインドスクリーンを採用。従来モデルに対して、スクリーン上端を30mm後退させることで、風の巻き込みを低減し、高い防風効果を発揮している。ウインドスクリーンの高さは3段階に調整可能。中段がスタンダードポジションで、上方に24mm(後方8mm)、下方に18mm(前方18mm)の3ポジション。スクリーンの固定方法はシンプルにボルト止め。
シート高はあえて前モデル比、約15mmアップすることでライディングポジションを見直している。ハンドルとステップの3ヵ所で構成される位置関係を最適化し、ロングツーリング等で膝の曲がる角度を緩和し疲労を軽減させることが出来るという。また、同時にこの標準シートに対して、マイナス20mm低いローシート、プラス20mmのハイシートをオプションで設定している。シート表皮は「V-Strom」のエンボスロゴと赤いステッチを施したレザー調と、滑りにくいスエード調を組み合わせて使用している。
フューエルタンクはサイドカウルと一体感のある造形とし、容量の大きさを感じさせないデザインとなった。前モデルより容量を2リットルほど削ったが、それでもクラス最大の20リットルを誇る。また、エンジン側での燃費改善により、航続可能距離としては従来モデルとほぼ同一という。サイドカバー、フレームカバーは新たに開発したシボ(テクスチャー)を施した黒色樹脂製。流れるようなキャラクターラインを描き、各塗装部品を取り囲む構成とすることで、ガードイメージを強調している。
マフラーボディを前方に移動し、シートレールに沿わせるデザインとしたことでオーバーハング量を減らし、凝縮感とスポーティイメージを強調。マフラーにはバフ仕上げのエンドキャップを装着、金属調シルバーのマフラーカバーとともに質感を高めている。リアキャリアは、オプションのケース装着用アダプタープレートをボルトオンで装着可能。キャリア上面のゴム製マットには、「SUZUKI」エンボスロゴと滑り止めのドットが加工が施されている。
フロントフェンダーはフォークピッチングガードを融合し、ラジエターへの風の流れを促進させる形状としている。リアフェンダーはマフラーのレイアウト、キーシリンダー位置の変更などにより、ライセンスプレートを上方へ移動。前後フェンダーともに複数のシボ(テクスチャー)を組み合わせた軽快なデザインに。フォークアッパーブラケットのデザインを一新し、金属調シルバーのハンドルバーと合わせて質感を高めている。フロントフォークのインナーチューブ径はφ43mm、無段階調整の伸び側ダンピングアジャスターと5段階の油圧式プリロードアジャスターを採用。ストローク量は150mと変わらず。
ABSも進化した。従来の4輪用をベースにしたものから2輪専用設計のABSにグレードアップ。より安定感のある制動力ときめ細かなフィードバックが得られ、ブレーキングに対するライダーの過度な緊張を低減してくれる。重量も従来の1.5kgから0.7kgとなり、車体全体での6kgという軽量化に貢献している。
国内モデルのみの仕様として、騒音低減も兼ねたエンジンのフロントアンダーカバーの追加、そして国内ユーザーの仕様状況に合わせたカムプロフィールの変更、ドリブンスプロケットの変更(47丁から44丁へ)、ECUのエンジンマネージメントセッティングの変更などが行われた。
★SUZUKI プレスリリースより (2012年11月29日)
スズキ、長距離ツーリングでの快適性を高めた二輪車
新型「V-Strom650 ABS」を発売
スズキ株式会社は、長距離ツーリングでの快適性を高めた二輪車、新型「V-Strom(ブイ-ストローム)650 ABS」を、2013年1月8日より発売する。
「V-Strom650」は、2003年に海外で発売して以来、街乗りから長距離ツーリングまで楽しめるツーリングモデルとして、欧州・北米を中心に好評をいただいてきた。
今回発売する新型「V-Strom650 ABS」は、「快適アドベンチャーツアラー」がコンセプトの二輪車である。
軽快感と力強さを表現した車体デザインに加え、高い防風性能を発揮する大型風防や大容量の燃料タンク、座り心地の良いシート、多機能メーターなど、ツーリング時の快適性を高める装備を採用。さらに、力強く扱いやすいV型2気筒エンジンを搭載し、路面追従性の高いサスペンションや直立した乗車姿勢によって、街乗りから山岳路、高速走行まで多彩なバイクライフに対応した。また、電子制御式ABSを標準装備した。
- 商品名
- V-Strom650 ABS
- メーカー希望小売価格
- 882,000円(消費税込み)
- ※価格には、保険料、税金(消費税を除く)、登録等に伴う費用は含まれない。
- 発売日
- 2013年1月8日
- パブリシティー
- 2012年11月29日
- 年間目標販売台数
- 1,000台
- 車体色
- 3色
- 青(パールビガーブルー)、白(パールグレッシャーホワイト)、灰(サンダーグレーメタリック)
- ●「V-Strom650 ABS」の主な特長
- デザイン
- ・「タフ&スマート」をデザインキーワードに、アドベンチャーツアラーに求められる機能を表現した、洗練された一体感のある造形。
- ・横2灯配置マルチリフレクターヘッドライトを配した、引き締まった印象のフロントカウル。
- ・「V-Strom」ロゴと赤いステッチを施したレザー調のシート表皮。
- ・金属調のカバーを装着して質感を高めたマフラー。
- ・車体色は、青(パールビガーブルー)、白(パールグレッシャーホワイト)、灰(サンダーグレーメタリック)の全3色を設定。
- エンジン
- ・低中速域での扱いやすさを高めた、645cm3水冷4サイクル90度Vツイン(V型2気筒)DOHC4バルブエンジン。
- ・力強く扱いやすい走りを実現した、フューエルインジェクションシステムと2つのスロットルバルブを持つスズキ独自のSDTV(スズキデュアルスロットルバルブ)。
- ・冷寒時の始動やアイドリングの安定性を高める、スズキ独自のスロットルボディー内蔵ISC(アイドル・スピード・コントロール)。
- ・高速巡航時の快適性と燃費に貢献する6速トランスミッション。
- 車体
- ・スムーズなハンドリングと高い操縦安定性に貢献する、軽量で高剛性なアルミ製ツインスパーフレームとスイングアーム。
- ・長距離ツーリングでの疲れを軽減し、広い前方視界を確保する直立した乗車姿勢。
- ・前後方向の着座自由度が高く、快適な乗車ポジションを提供するシート座面形状。
- ・リンク式モノショックを採用し、路面追従性を高めたリヤサスペンション。
- ・長時間のタンデムツーリングに対応した、ホールド性を高めたタンデムシート。
- ・ライダーのブレーキ操作を一定範囲内で補助する電子制御式ABSを標準装備。
- 多機能メーター
- ・視認性の高い発光指針式のアナログタコメーターと、速度計をはじめ、燃料計、オドメーター、ツイントリップメーター、燃費計、外気温計、凍結表示灯、時計などを表示する大型液晶デジタルディスプレイを組み合わせた機能的なメーターパネル。
- ・トランスミッションと連動した、何速に入っているかを表示するギヤポジションインジケーター。
- ・ハンドルのスイッチで操作可能としたメーターの表示切替。
- 装備
- ・高い防風効果を発揮する、3段階に高さ調節が可能な大型可変風防。
- ・より長い航続距離を確保する、大容量20L燃料タンク。
- ・握りやすさと高い剛性を持ち同乗者をサポートするとともに、ロープフックなどを使った積載に対応した、グラブバーと一体型のリヤキャリア。
- ・盗難抑止に役立つイモビライザーシステム。
★主要諸元
車名型式 | EBL-VP56A | |
---|---|---|
V-Strom650 ABS | ||
発売日 | 2013年1月8日 | |
全長×全幅×全高(m) | 2.290×0.835×1.405 | |
軸距(m) | 1.555 | |
最低地上高(m) | 0.175 | |
シート高(m) | 0.835 | |
車両重量(kg) | 214 | |
乾燥重量(kg) | - | |
乗車定員(人) | 2 | |
燃費(km/L) | 39.0(60km/h定地走行テスト値) | |
登坂能力(tanθ) | - | |
最小回転半径(m) | 2.7 | |
エンジン型式 | P515 | |
水冷4ストローク90°V型2気筒DOHC4バルブ | ||
総排気量(cm3) | 645 | |
内径×行程(mm) | 81.0×62.6 | |
圧縮比 | 11.2 | |
最高出力(kW[PS]/rpm) | 49.0[66]/8,800 | |
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) | 59[6.0]/6,500 | |
燃料供給装置形式 | フューエルインジェクション | |
始動方式 | セルフ式 | |
点火方式 | フルトランジスタ式 | |
潤滑油方式 | ウエットサンプ式 | |
潤滑油容量(L) | 3.0 | |
燃料タンク容量(L) | 20 | |
クラッチ形式 | 湿式多板コイルスプリング | |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン | |
変速比 | 1速 | 2.461 |
2速 | 1.777 | |
3速 | 1.380 | |
4速 | 1.125 | |
5速 | 0.961 | |
6速 | 0.851 | |
減速比1次/2次 | 2.088/2.933 | |
キャスター(度) | 25°40′ | |
トレール(mm) | 108 | |
タイヤサイズ | 前 | 110/80R19M/C 59H |
後 | 150/70R17M/C 69H | |
ブレーキ形式 | 前 | 油圧式ダブルディスク |
後 | 油圧式シングルディスク | |
懸架方式 | 前 | テレスコピック式 |
後 | スイングアーム式 | |
フレーム形式 | ダイヤモンド |