全日本ちょこちょこっと知っとこ
暑いよ!!アジア選手権!

 今シーズンも残り少なく、レースも後半戦。全日本ロードレースは9月9日に熊本県のオートポリスで開催されます。
 今回のレース、アジア選手権と併催により、遠くアジア各国からの選手、それに昨年のアジアロードレース選手権チャンピオンの藤原克昭、今季から参戦の清成龍一が参戦しますよ!
 アジアロードレース選手権、といってもあまり馴染みもなければ興味もないかもしれませんが、いまインドネシア、マレーシア、インドなどのアジア各国でのバイク熱が凄いのです! それにともない、アジアロードレース選手権の人気も高く、現地では生放送でレース中継が行われています

 今シーズンのアジアロードレース選手権は、SS600に藤原選手、清成選手をはじめ、スポットでも伊藤勇樹選手やインドネシア選手権に参戦の佐藤周選手が参戦、アンダーボーンクラスに小室旭選手、鳥羽蓮・海渡兄弟がいて、併催の「アジア・ドリームカップ」には大久保光選手と尾野弘樹選手、それにともなうメカニックや関係者など、なにげにパドックの日本人比率は高いです。

 私もそのなかの一人で、昨年のチャンピオン藤原克昭選手の取材でチームに帯同させてもらっています。これまでマレーシア、インドネシア、中国と転戦してきましたが、アジアは・・・暑い! 今年の日本も猛暑ですが、くらべものにならないくらい暑いのです。スースーするウェット系タオル、まぁ、商品名でいえばギャッツビーが手放せません。日陰で35度を超えるのは当たり前、日なたは火傷。中国ではそれに加えて湿度も90%近くになり、チーム内スタッフが熱中症になりかけたほど、選手を含め、支えるスタッフの体調管理もものすごく大切だと感じました。それに、アジアは食べ物も気を付けないといけませんね、飲み水や食べ物に注意が必要。あと、トイレ問題・・・


アジア選手権
走りのキレはピカイチです、コースに合わせて細かいセッティングやタイヤマネージメントの上手さ、そして見た目のカッコよさって大事よね。

 過酷な状況が続くアジア選手権ですが、たとえば、日本国内のレースならばチーム監督、メカニック、ヘルパー、マネージャーなど、レースをするのにそれ相応の数のスタッフがいますが、海外転戦となると費用の問題もあり、最小限のスタッフでの活動となり、監督、チーフメカ、メカニック、エンジニアさん(エンジニアはそれ相応の部分しか手をつけません)以上! それはまるでプライベートチームの参戦風景。
 サーキットについてからコンテナを開けてピットの設営を行い、マシンの整備、買い出し。みんなバタバタです、もちろん、身体のメンテをしてくれるトレーナーもいませんし、おしぼりやドリンク、片づけなど、藤原克昭選手の身の回りのケアをするヘルパーなどいませんから、藤原選手は自分のことはすべて自分でやらなきゃいけない。プライベーターなら当たり前のことですが、メーカーの契約選手でそれなりの環境でレースをしてきた藤原選手にこの環境を強いるわけで・・・それでも藤原選手が楽しそうにレース続けていけるのは、チームのみんなが仲が良く、常に楽しい雰囲気を作ってくれているから。藤原選手の人柄がみんなをそうさせるのかもしれません。

 
 つねにチームの和が保たれていて、一つの目標に向かっていくパワーがあります。もうベテランの域の藤原選手ですが、藤原選手が心からレースを楽しんでいて、チャンピオンを獲得してもまだまだ挑戦者の気持ちをもってレースに臨んでいるので、毎レース楽しく撮影をさせてもらっています。


アジア選手権
マニュアルテック・ビートレーシングチームの面々。インドネシア人のファドリ選手のことはまるで弟のように可愛がってます。

アジア選手権

アジア選手権
毎回、3~4社のインタビューを受ける藤原選手「何言ってるんかわからんけど、答えといた!」と話す英語は流暢です! 選手本人が一番のムードメーカー。カワサキのピットは楽しい会話であふれてます。

アジア選手権

アジア選手権
暑かったインドネシア、朝から陽炎がすごく、昼間の気温は最高潮に達しました。それにパッチの、忘れられないサーキットです。 チームカツアキ。左の野村さんはアジアではゴッドファーザーと言われた名監督。

アジア選手権

アジア選手権
ハンパなく暑いので、ピット内ではGOLD GYMで鍛えた裸を披露してくれる藤原選手。インナーは着ません! グリッドではペトロナスガールがつくのですが、中国だけは通訳のリンダちゃんが傘をもってくれます。昨年チャンピオンを決めたときもリンダちゃん、今回もリンダちゃんが傘をもってくれたヒート2で優勝!


 アジアのコースは、基本的にマレーシアのセパンサーキット以外は路面は荒れていて、それに温度が高く、ところによりタールのパッチがあり・・・そのパッチの上は「50度以上になるとグリップする」らしいですが、基本スムーズに走れるコースではないのがホントのところ。そんなコースをアジアの血気盛んなライダーが、それこそ凄い勢いで突っ込んでいってぶっ飛んだりしてます。
 びっくりさせるくらい勢いもいいですが、なにげにアジア選手のポテンシャルは高く、現在全日本ロードレースのST600に参戦しているヤマハ・タイランドレーシングチームのデチャ選手とチャランポン選手はともにアジアロードレース選手権のチャンピオン。そして今シーズンのST600は、デチャ選手が、走り慣れない日本のコースで5レース中3勝を飾っています。昨年の鈴鹿4時間耐久ではアズラン選手、エミール選手が優勝、今年の鈴鹿4時間耐久で優勝したザクワン選手とエミール選手はともに清成選手のチームメイトとして参戦しています。


アジア選手権

アジア選手権
8耐で派手な転倒炎上を喫した清成選手は、顏の火傷を負ったまま翌週のアジア、とハードなウィークを過ごしました。 となりのピットに怒られるくらい大騒ぎをしていても、ヘルメットを被ればキリッとします! みんなの気持ちとともに、藤原選手は走ります。

アジア選手権

アジア選手権
開幕戦マレーシアで、清成選手と1-2、清成選手、不満げの変顏! アジア選手のレベルも高く、決して簡単にぶっちぎりができるものではありません。だからレースは面白い。

アジア選手権
今季3勝目を挙げた中国ズーハイのヒート2。ヒート1では優勝目前のトラブル後退だったので喜びひとしお。ですがこのとき、みんなレースでいっぱいいっぱいだったので日の丸を忘れてしまったという・・・

 9月8・9日開催のオートポリスは彼らにとっては最高のコースコンディションでのレースになるので、テンションあがったアジアンの走りにも注目ですし、藤原選手にとってはカワサキのホームコース、気合い十分でのぞみます!
 そして今年は、ヨーロッパでもライバルとして戦ってきた清成龍一選手との戦いも注目なのです、インドネシアは初めてのコースでしたが、清成選手、見事1-1を決めてます。
 ランキングは現在1ポイント差で清成選手がトップ 。さてのこり3戦どう動くか、まずは今週末のオートポリスを注目してくださいね!


全日本ロードレース(アジアロードレース選手権併催)は9月8、9日
大分県オートポリスサーキットにて!


アジアロードレース選手権の選手プロフィールはこちら


藤原克昭Facebook
http://www.facebook.com/katsuakif


楠堂亜希 レースカメラマン 楠堂亜希


20代初期にてミスター・バイクに拾われ、好きなことをしているうちにレースカメラマンのポジションを与えられました。
モトクロス、ロードレースをこよなく愛し、愛溢れる写真で楽しさを伝えてまいります。
モトクロ男子 ←これまでモトクロスを長年取材して、選手たちの明るい表情やレースの面白さ、観客との距離の近さ、こんな楽しい競技をもっとたくさんの人に見てもらいたい、それにはまず、選手たちのことをもっと知ってもらいたいと思い、各メーカー、関係各社の協力のもと、モトクロスライダーのプロフィールを紹介したサイトを作りました。見てくださいね。

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