With  SUZUKI BOULEVARD400 絶品クルーザールートを探して(前編)時代を支えた街道筋。麓にのこるタイムレスな街道風情をクルージング。

SUZUKI

 春の名残のさわやかな空気と梅雨の到来を思わせる雲行きが混ざり合うこの時期、晴れ間は貴重なクルージング日和だ。最高の道を探しに向かったのは長野中部。中央道で簡単にアクセスできて、麓にも高原にも良い道が点在する諏訪、ビーナスライン周辺の高原地帯へと出かけたのだ。

 連れ出してくれたのは、スズキのブルバード400。パフォーマンス・クルーザーを標榜するこのバイク、なるほど輸出仕様のM109Rを思わせるシュっとしたクールさと存在感をもっている。その体躯は大型クルーザーが並んでもひけを取らないし、ずしりと感じる重み(267㎏)もクラスレス。スズキ製歴代400クルーザー同様、遠慮無く回るエンジンを歌わせれば「おう!」という走りを楽しめる。低中速にドロドロした不自然な味付けをしていない分、その辺は高回転でまかないますよ、という男前(?)なエンジンなのだ。400との本音トークができるバイクなのである。


源流を求めて・・・・・

 そんなブルバードで最初に向かったのは諏訪湖。都内からだと中央道の諏訪インターからのアクセスが早い。料金所の先にある信号を左折。直進すれば成り行き諏訪湖に突き当たる。

 この諏訪湖、諏訪盆地にある長野で一番大きな湖だ。なんでも糸魚川静岡構造線(一度は聞いたことがある断層の名前)の断層運動で、地殻が引き裂かれ、できあがった湖だと、ググったらウィキペディアに紹介されていた。しかも関東から四国、九州を貫く巨大な断層、中央構造線との交点が湖周辺にあるらしく、いろいろな意味で日本列島の交差点と呼べる場所なのである。

 ちょうど諏訪湖をはさんで南北に4社ある諏訪大社(上社前宮、上社本宮、下社春宮、下社秋宮)も、そんな場所だけに、断層が暴れないよう畏敬の念をこめて建立されたのだろうか、などと想像を巡らせてしまう。

 それはともかく、この諏訪湖、スズキの本社から遠くない場所を流れる天竜川の源流でもある。湖西側にある釜口水門がそれだ。水門からザーッと流れ出す緑色の水。しぶきこそ上がるが、どこか池の水をかき回したような匂いに、大自然を連想するのは難しい。

 それでも、水門周辺には川魚料理(中でも鰻)を食べさせる店が多く、昼時ともなれば、蒲焼きの甘く香ばしい匂いに惑わされる。かつて諏訪湖で多くの淡水魚が捕れたことを思わせる。甘露煮や鯉、ワカサギという文字も目に入る。



30を超す河川が流れ込む諏訪湖。湖からこの水門を通って太平洋へと注ぐ。この天竜川沿いに下ればスズキの故郷・浜松まで旅することもできるのだ。
30を超す河川が流れ込む諏訪湖。湖からこの水門を通って太平洋へと注ぐ。この天竜川沿いに下ればスズキの故郷・浜松まで旅することもできるのだ。

天竜川の始まりがここだ。

釜口水門の所にある岡谷湖畔公園から見える諏訪湖上噴水。
天竜川の始まりがここだ。 釜口水門の所にある岡谷湖畔公園から見える諏訪湖上噴水。

高度成長期に生活排水、産業排水で汚染が進むと同時に護岸などで自然の姿を失った諏訪湖。しかしここ30年以上水質改善に取り組み、90年代からは、景観と水生植物が果たす水質浄化を狙い、こうした渚を復刻させ消えた自然の力を少しずつ回復させる事業に取り組んでいる。
高度成長期に生活排水、産業排水で汚染が進むと同時に護岸などで自然の姿を失った諏訪湖。しかしここ30年以上水質改善に取り組み、90年代からは、景観と水生植物が果たす水質浄化を狙い、こうした岸辺を復刻させ消えた自然の力を少しずつ回復させる事業に取り組んでいる。