一般の人がパワープロダクツの製品に一番触れやすいのは、ホームセンターだろう。そこにホンダのジャケットを着た人がいて丁寧に説明してくれたら、羽党のアナタはもうコロリ?
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パワープロダクツはどこで買えるの?
これまで「第三のホンダ」である汎用製品、改めパワープロダクツについて、国内や海外での展開、ミーモや船外機、クラシック耕うん機モデルのプラモデル化など様々なレポートをしてきた。先進諸国ではマリンレジャーや上質な芝生を維持するための製品として、また時によっては「どうだ、ウチの芝刈機はカッコ良いでしょう!」とShow offするような要素もあるパワープロダクツはある意味我々が親しんでいるオートバイと通じる部分もあると学んだ。実用的な部分ももちろん大切だが、その製品を楽しむことも同様に大切。機械に対する愛のようなものにどこか共通点があるし、パワープロダクツにもバイクにも同じホンダイズムが通っていると感じずにはいられない。 |
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日本はインフラが整っているが、庭が狭くアウトドアレジャーもそれほど普及しなかったため汎用製品は一般家庭ではなじみの薄い製品だが、海外では芝刈機や発電機など生活の中に溶け込んでおり、写真のような パワープロダクツ専門の販売店が多く存在する。●写真提供:Honda | ||
パワープロダクツはこうして売られる
ひと口にパワープロダクツと言ってもクルマやバイクと違って様々な製品があるため、お客さんも様々だ。日本国内における主力商品は発電機、耕うん機、そして除雪機が3本柱。発電機は工事現場などをはじめとして、緊急時や災害時のために幅広く導入されることも多いし、我々ならサーキットやキャンプなどで使うことも考えられ、本当に様々なお客さんが対象だろう。 |
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「除雪機があれば重労働が軽減できる」と1980 年に小型除雪機スノーラ HS35を発売したホンダ。現在国内シェアナンバーワンを誇り、電動小型のユキオスeから小型、中型、大型機まで17 機種 (2018年末現在)をラインアップ。走行はモーター、除雪はエンジンという世界初のハイブリット機や正逆転するクロスオーガ機構などホンダ独自の技術を盛り込んだ機種も。ホンダパワープロダクツの歴史やテクノロジーはこちらでどうぞ。 | ||
ホームセンターでもホンダクオリティ
バイクのホンダに親しんでいる我々からしてみれば、「ホームセンターで買う」という事になんとなく違和感がないだろうか。バイクにおけるホンダ製品は世界の一級品であり、やはり正規のディーラーで購入し、トップクラスのアフターサービスを受けたい、と思うのが自然ではないかと思うし、製品だけでなくその周辺環境も含めたホンダブランドであるはずだ。 いくらホンダ製品が良くても、 ホームセンターで買うというのはパワープロダクツ特有に感じてしまうのだがいかがだろう。ちゃんと製品のことを販売員はわかっているのだろうか……。アフターサービスは大丈夫だろうか……。修理はしてくれるのだろうか……といったことが頭をよぎっても不思議ではない。 |
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ホンダの耕うん機は、小型耕うん機の代名詞にもなった大ヒット作のこまめや、さらに小型のプチな、カセットガスを燃料として使用するピアンタ、ホンダ独自のフロントローター機構を搭載したサ・ラ・ダシリーズ、本格的なリアローター式のラッキーなど、家庭菜園からプロの農家まで、耕作地の広さや用途に合わせて最適な機種が選べる。 | ||
ホンダパワープロダクツジャパン設立
パワープロダクツ販売網のアレコレを教えて下さったのは齋藤雅人さん。一昨年設立されたばかりの「ホンダパワープロダクツジャパン」の二代目社長である。 |
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ここで筆者は驚いた。バイクならばホンダモーターサイクルジャパン(HMJ)という会社があり、本田技研工業が作った製品を販売店へとディストリビュートしているしそれが当たり前だと思っていたのだが、パワープロダクツにおいてはこの機能はなんと2017年に確立されたばかりだったのだ。 齋藤社長は「小さな事業ですから」と謙遜するが、このような卸営業の会社が存在しなかったという事は、ホンダがほぼ手弁当で現在の草の根的販売網を構築したということになる。 |
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ホンダパワープロダクツジャパン社長 齋藤雅人さん 1981年ホンダに入社。国内二輪営業からスタートし、1980年代後半汎用事業の拡大期に汎用へ異動。イタリア、南アフリカ、フランス、タイ、中国など世界各国に駐在。昨年3月、実に30年ぶりに国内営業に復帰し、2017年10月に設立されたホンダパワープロダクツジャパン社長に就任。世界各国で汎用製品を見てきたまさにプロ中のプロである。「仕事が趣味」と語る齋藤社長だが、実はバイクも好きだそうで、赴任先でもCBR650などに乗っていた。現在は手放してしまったが、18歳で購入したCB750FOUR(K6)をずーっと保有していたそうだ。 |
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変わったことと、変わらないこと
ホンダパワープロダクツジャパンができて、何が変わったのだろうか。正直に書くと、我々ユーザーにとっては大きな違いをすぐに感じることは難しいだろう。というのも今までもホンダパワープロダクツは先述したように草の根的に販売網を広げ、確かなアフターサービスを提供してきたからだ。しかしホンダパワープロダクツジャパン設立により、これまで以上に販売店を対象にした研修会の充実や、ホームセンタースタッフへの商品情報提供を進めているのだ。
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埼玉県越谷市の国道4号線沿いに本社を構えるホンダパワープロダクツジャパン。マリンやOEM供給される汎用エンジンなどを除くホンダパワープロダクツの製品を扱う。敷地内にはピット棟もあり販売店などの講習会や研修などが行われている。ちなみに小売りはしていないので、ここに行っても直接製品を購入することはできません。 | ||
より小回りの利いた対応
このように現場との関係がより密になると、フィードバックも多い。今までも販売店向けの商品説明会や、パワープロダクツ系のメカニックを集めての研修会などは行われていたが、現場の声がより反映されていけば、今後はどのような研修が必要とされているのかなどの情報も集まりやすくなり、ディストリビューターとして販売店へのサービスの充実が進む。そしてそれは我々ユーザーのためになる。バイクやクルマと違い、直売店がないパワープロダクツはこういった販売店との密な関係が大切なのだ。
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1965年に発売した誰でも簡単に扱えるE300 によって、携帯用発電機を広く浸透させたホンダの発電機。現在もプロの現場作業用はもちろん、レジャー、非常用などの各種ニーズに応え、正弦波インバーター搭載でパソコンなどでも使えるタイプ、カセットガスで使えるエネポ、電気を貯めるリベイドなど各種をラインアップ。 |
パワープロダクツを手にする日も近い
メーカーと販売店を繋げる卸営業会社とは、一般ユーザーにとってはあまりなじみのない部分ではある。だが、製品を市場にアピールし、魅力的な販売網を維持・発展させ、市場からのフィードバックをしっかりとメーカーに戻していく、という作業は、少なくとも昔のように手弁当でできるような仕事ではもはやない。専属の部署があり、専属の人がいてこそ高いレベルになるのだ。 |
[第5回 模型が出ることで集める視線|第6回|第7回商品企画部 部長松澤 聡さん]