峠と峠の旅。ひと山を越えても、またひと山がある。伊豆半島の陸路はそんな地勢だ。隣りの集落へ、すこし先の街へ。カーヴを上り、カーブを下る。それは標高1000m級が連なる山間だけでなく、海辺では岬と岬の旅、崖の道になる。
国道414号線から県道15号線を西に向かう。婆娑羅峠を越えて松崎の街に出た。
半島の西南側を代表する港町。那賀川の流れをくだっていくと次第に扇状地が広がり岩科川との合流に街がある。点在するナマコ壁の旧家があたたかな日の光に映える。しかし港へ出ると西風が強かった。
つやつや輝く駿河湾に飛ぶシロウサギ。天気晴朗なれど波高しの正午だった。