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ビンテージモトクロスのビッグイベント、チキチキVMX猛レースがモトクロスヴィレッジで開催された。今回はヤマハDT-1発売50周年記念の特別イベントも開催され、半世紀前にヤマハワークスで日本グランプリ2年連続優勝を飾ったレジェンド鈴木忠男氏が来場し、マシンもウェアも当時を再現してパレードラップをおこなった。これには往年のファンから若いエントラントまで大感激!
パドックの隅から隅まで、果てしないお宝の山である。誰もがこの日のために仕上げてきた。「勝てるように」というよりも「ちゃんと走るように」だ。前回走って壊れたところはきちんと直してきた。だが今度はどこがどう壊れるかは走ってみないとわからない。そして本当に壊れてしまったとしても誰も驚かない。まいったなーと言いながら、ハイまた直しますよと笑う。 お宝たちは、国産車も外車も、かつて存在した今はなきメーカーもいて、旧くは60年代前半のスクランブラーから、ビンテージ界では「新しいほう」と言われる80年代のモトクロッサーやトレール車まで、排気量も幅広く50ccから650ccまで、とてもきれいなものからかなりヨレているのまで実に色々だ。これは! という希少車やオリジナルマシンも多数。どんなお宝も飾って眺めているだけなんてもったいない、走ってこそ、この姿、この振動、この音が今また甦る、それがVMXの魅力だ。 レースは年式や仕様で細かくクラス分けされ、同様のカテゴリー同士で走るわけだが、解りやすくは「ダウンチャンバー時代」とか「黒シート時代」「正立フォーク時代」といったくくり表記も楽しい。すでにお馴染みとなったWGPクラスや日本GP神鍋クラスに加え、新設の日本GP浅間クラスには、YA6、DT-1、AT-1といった多くのヤマハ車がエントリーした。もちろんほとんどのライダーが、忠さんリスペクトゆえのマシンセレクトだ。 いよいよレースが始まると朝までの雨もやみ、路面は急速にベストコンディションになっていった。1クラスにエントリーすると午前と午後に計2レース走ることができ、当然ダブルエントリーなら計4レース、なかなか忙しいことになるのだが、かなりの人がダブルエントリー、中にはトリプルエントリーもいる。その間には90分耐久レースもおこなわれ、ライダーもマシンもとにかく目一杯走った。
特別企画 『ヤマハトレールDT-1発売50周年と“逆ハンで全開! 豪快の忠”』は、チキチキVMXと翌週末のMFJ全日本モトクロス選手権シリーズ会場で、連続して開催された。 忠さんこと鈴木忠男氏はヤマハファクトリーで1969年全日本モトクロス セニア250チャンピオンを獲得、ヨーロッパでも活躍した超レジェンドだ。その忠さんが今再び、マシンもウェアも当時を再現してパレードラップをおこなうという夢のようなシーンをひと目見ようと、チキチVMXではエントラント全員が、全日本会場では6000人の観客全員が注目した。 いよいよワークスDT-1改レプリカのエンジン音が響き渡り、忠さんがスタート。珠玉のアクセルコントロールからフロントを浮かせながらの加速、迫力のコーナリングに舞い上がる土煙。誰もが圧倒され、息を呑んで見つめ、モトクロスの半世紀を遡る瞬間に魅せられた。そして会場は拍手と歓声に沸いた。 走行終了後は大勢のファンに囲まれ、握手や写真撮影に笑顔一杯で応える忠さん。何もかもあまりの懐かしさに涙を抑えきれない中高年ファンの姿が印象的だった。
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