-ペドロサ選手のランキングは4位でした。どんな一年でしたか?
桒田「ダニは、アップダウンがマルクに比べると大きかったので、マルクよりも厳しいシーズンになってしまいました。ただ、結果を見ればわかるとおり、けっして悪いシーズンではなかったんですよ。我々が彼のスイートスポットにうまく当てられなかったから、アップダウンが大きくなってしまった側面もあります。彼のポテンシャルや速さに疑問はないので、アップダウンの幅を小さくさえすれば、2018年はチャンピオン争いをできると思っています。今シーズンは是非とも、『Repsol Hondaのライダー同士によるチャンピオン争い』を実現してほしいと思っています」
国分「2017年にマルクの次に表彰台をたくさん獲得したライダーは、実はダニなんです。9回も表彰台に上がっているのにランキングが4位だったのは、表彰台を外したときの落とし方が大きかったからで、そこさえちゃんと合わせてあげれば、彼は本来の速さを発揮できるんですよ」
-マルケス、ペドロサ両選手ともに、Hondaはライバル陣営のような大がかりなエアロフェアリングを使いませんでしたね。
国分「我々は、マジメすぎたのかもしれませんね(笑)レギュレーションの解釈が各メーカーでわかれるポイントでした」
-体格の影響もあるのか、ペドロサ選手の方がマルケス選手よりも幅の狭いエアロパーツでした。
国分「オートバイはライダーがものすごくたくさんのことを感じとりながら走る乗り物なので、ああいう要素もライディングには影響を与えます。オートバイって本当に面白いなあ、と改めて感心すると同時に、その難しさも痛感しました。ライダーがいろんなことを感じながら走っているそのなかで、我々はレギュレーションに従って突起物を無くすように作ったら、あれよあれよという間にライバル陣営のフェアリングがドラスティックに変わっていきました。でも、小さくても影響はありますよ」
-Hondaはエアロダイナミクスを心配する必要がないのかなあ、と思って見ていたのですが。
桒田「ライバル陣営でも、エアロフェアリングをずっとつけている選手もいれば、状況に応じて使い分けている選手もいましたよね。ライダーの好みによって変わるセッティングパーツのようなものではないでしょうか」
国分「我々も、2018年はどうなるか楽しみですよ」
-ということは、ライバルメーカーのように大がかりなフロントフェアリングになっていくのですか?
国分「さあ、どうでしょう。楽しみですね。逆に、『なあんだ……』という場合もあるかもしれませんけれどもね」
桒田「ああいうものにもポジティブとネガティブの要素があって、ポジティブだけなら皆が使うのでしょうが、そこが難しいところですよね」
-2017年からの大きな変化という意味では、ダッシュボードメッセージもそうですね。Hondaは2017年は決勝レースでは使っていませんでした。
国分「さあ、どうでしょう。放送で表示されるので、興行的なエンタテインメント性は確かに高まりますが、その反面、戦略もバレてしまいますよね。だから、我々のダッシュボードメッセージの使い方は、まだナイショです」
-ミザノでは、マルケス選手がレース中に足を出し、チームにマシンの準備をボディランゲージで伝える、ということもありました。
桒田「コース状況をいちばんよく把握しているのは選手ですからね。最終的にはライダーの判断に委ねなければならないことも多く、我々はライダーが判断したことに対して万全の用意ができているかどうか、というその部分に関しては、これまでとあまり変わらないのではないかと思います。こっちからメッセージを送っても、読まれなければそれまでですから」
国分「そういう意味では、コミュニケーションツールというわけではないんですよね」
-2018年は、クラッチロー選手もファクトリー契約です。マルケス、ペドロサ両選手と同じマシンでのスタートになるわけですか。
-Estrella Galicia 0,0 MarcVDSのフランコ・モルビデッリ、トマス・ルティ両選手、そしてLCR Honda IDEMITUの中上貴晶選手はサテライトなので、マルケス選手の2017年チャンピオンマシンからスタート?
桒田「カルは、2016年は活躍してくれましたが、去年は少し厳しいシーズンになりました。彼には開発面で協力してもらうことも多いでしょうし、重要な役割の選手だと思っているので、今年は2016年を上回る走りを見せてほしいと思います。新人3人はMoto2から上がってきて同じバイクに乗ることになるので、切磋琢磨しながらレベルを向上させていくためには、いい環境だと思います。中上は4年ぶりの日本人MotoGPライダーなので、その意味でもがんばってもらいたいですね。アジア地区の若いライダーたちにとっては彼が目標になるので、がんばって結果を残してもらえば、皆の良い刺激になると思います」
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