EICMA 2017。二輪界でも最大級としてお馴染み、ミラノショーで11月7日に発表されたばかりのニューカマーが鈴鹿サーキットでメディアに公開された。詳細は未発表ながら、2018年春には国内でもその姿を見られることになりそうだ。1000、250、そして125。まずは細部まで見てみようではないか。
■レポート:松井 勉 ■写真:徳永 茂、ホンダモーターサイクルジャパン
3台が無作為に置かれたグランドスタンド裏の巨大なスペース。黒とシルバーに塗り分けられた印象的なスタイルは新しい。塊感のある燃料タンク周りの力強さ。リアエンドを短く切り上げ、突き出すように見せたことで全体により力強い印象を醸す。
フロントサスペンションには倒立フォークを使う。フォークそのものの機能云々より、アウターチューブがフロント周りの塊感に呼応し、このバイクのキャラクターをより補強しているのがわかる。そしてフロントマスクの造形だ。丸ライトである。どこか70年代のバイクのような世界観をもたらしながらも、ヘッドライト全体はフォークの間に沈み込むようなスキのない収まりを見せる。
これまでの価値観で言えば、今回の3台はCB1000Rをトップに階級制度のようなニオイが漂うのが普通だった。しかしそれがない。おのおのそのバイクに、それぞれにしかない特徴的なデザインを持ち、独自性をもっている。それでいて同種の肉食獣が一つの「群れ」を形成している事も伝わってくる。
個別に見てゆこう。例えば1000Rのタンクなど、CB1100RSのそれに似たラインがサイドビューにあることに気が付く。全体のボリュームはこのバイクにフィットするようになっているし、跨ってみると、タンク上部のボリュームや、シートとの間にあるシルバーの帯(ペイントの塗り分けだ)により、質量感ではなく痩躯で引き締まった車体だと伝えてくる。表示の新鮮さを持つメーターの演出もあり、まるで空冷CBとは因果関係はないのだ。が、そのヘッドライトの造形も含め、新しく未来的なスタイルに含まれるCBの、50年以上におよぶCBのDNAは隠しようがなく、一族であることを伝えてくる。
この四半世紀、このカテゴリーをストリートファイターなどと呼ぶ。確かにハイグリップなラジアルタイヤ、片持ちスイングアームはもちろん、CBR1000RRから引き継いだパワーユニットなど、そう呼びたくなる。しかし、細部まで拘ったケースカバーやシリンダーヘッドの造形を含め、しっかりと新しいCBを語りかけるキャラクターを備えているのだ。
CB1000R
ライダーの身長は183cm。写真の上でクリックすると片足時→両足時、両足時→片足時の足着き性が見られます。 |
左右のフロントフォークのトップキャップにアジャスターが装備される。左側は伸び、圧側減衰圧。右側のフォークはスプリングのイニシャルプリロード調整が装備される。 |
インナーローターを備えたフローティングディスクを装備。トキコ製のラジアルマウントキャリパーを装備する。 | フロントブレーキはラジアルポンプ式のマスターシリンダー。リザーブタンクは透明な樹脂製を採用。ホンダとしては新しい意匠だ。 | 黒のアウターチューブを備えたセパレートファンクションフォーク。フロントフェンダーはマット調。大きなラジエターのサイズにエンジンが発する熱量を予感させる。 |
メーターパネルは、ギアインジケーターを中心にした回転計、速度計というレイアウト。ここにもハイテクモダンなスタイルが描かれている。ライディングモードによってセレクタブルトルクコントロール、エンジンブレーキ、パワーデリバリーがグラフ化されて表示される他、パーソナライズできるところもCBR1000RR譲りのようだ。 |
ネオ・スポーツ・カフェ。このキーワードに沿って造られたシンプルで格好良いロードスター。コンセプトモデルから大きく変わっていないことが解る。 |
CB250R
ライダーの身長は183cm。写真の上でクリックすると片足時→両足時、両足時→片足時の足着き性が見られます。 |
250Rのハンドルバーはテーパードタイプとなる。トップブリッジにラバーマウントされる。メーターパネルは125R同様のデザイン。 |
ハンドルスイッチ類はコンベンショナルなホンダ流のものが採用されている。 | タンデムシートのボリューム感を増した250。ショートテールを演出するが、座面のスペースなどは充分確保されている。 |
倒立フォーク、軽快なスポークを持つホイール、ウエイブディスク+ラジアルマウントキャリパーを採用するのはこのシリーズに共通したもの。もちろんABS装備だ。 | CB250Rのフロントフォークは倒立タイプを採用。ライトステーとヘッドライトリムの関係がよくわかる。 |
ヘッドライトやライトリムがライトステーを兼ねる部分は125R同様。クラシカルさと新しさを兼ね備えたスタイルだ。 | LEDを光源とするヘッドライトはロー、ハイの点灯時にそれぞれ異なる表情を見せる。ウインカーを含めLEDを光源とする。 |
LEDを光源とするテールランプ。その下のキーシリンダーでシートを取り外せる。 | シートエンドから延びたリアフェンダーの先にナンバープレートホルダーとウインカーが装備される。 |
CB125R
ライダーの身長は183cm。写真の上でクリックすると片足時→両足時、両足時→片足時の足着き性が見られます。 |
エンジン前側から下部へと流れるカバーはそのままマフラーへと連なるラインを描く。このカバーも車体を小ぶりに見せない魔法なのだという。ステップもローレット風踏面で品質感がある。 | GPマシンが使う組立式のスイングアームのようなサイドフェイス。マフラーを除けてキックアップしエンドに向かってシェイプされる長いスイングアーム。ウエイブディスクを採用。ホイールの細いスポークも印象的。 |
全体のサイズから見ると、まるでオイルクーラーのように見えるラジエター。単気筒125㏄エンジンは意外にもクランクマスがしっかり採られトルクフルなサウンドを奏でた。パイプフレームは直線的に延びるスタイルだ。 | 燃料タンクはセンターとサイドで質感を変えたスタイルとしている。前端部のシルバーのパーツが伸びやかさを強めると同時に、タンクの存在感を出す役割を果たしている。 |
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