250ccアドベンチャークラス、といわれても
僕はちょっとこの呼び名に反対です(笑)。
わかりやすく言えば、250ccミドルクラスのツーリングバイク。
このカテゴリーの人気モデル、ヴェルシス-X 250 ツアラーに
2018年ニューカラーが追加されました。
■試乗&文:中村浩史 ■撮影:依田 麗
■協力:カワサキモータースジャパン http://www.kawasaki-motors.com/
ライダーの身長は178cm。写真の上でクリックすると片足時→両足時、両足時→片足時の足着き性が見られます。 |
ニューカラーの正式名称はマトリックスカモグレー、通称黒カモ。うん、いまストリートファッションにも使われているカラーグラフィック、旬ですね。限定400台発売なので、オッと思われた向きはお急ぎください。今回の試乗にも、手持ちのヒョウドウプロダクツさんのイージーライドカモフラージュパンツを履いてみました^^ 合わせすぎたかな(笑)。
ヴェルシス-X 250 ツアラーは、ヴェルシス-X 250にパニアケース、エンジンガード、ハンドガードやセンタースタンドを標準装備したバージョンで、コレがいま人気! 追加装備が総額12万円近くにもなるのに、ヴェルシス-Xより5万4千円しか高くないお買い得ってこともあるんでしょうね。ヴェルシス買うならX 250 ツアラー、ってオーナーが多いみたいです。
しかし、人気の秘密はやはりその走り。これが、とてもいい! いまヴェルシスのライバルと目されている中では、僕はこれイチオシです。つまり、CRF250RallyよりもV-strom250よりもミドルクラスのツーリングバイクとしての完成度が高い、と思っています。
ミドルクラスの良さっていうのは、そもそもの車両価格がお手頃、車検がないから維持費も安い、軽量コンパクトだから乗る人のスキルを問わない、ってポイントがあると思う。そこでロードスポーツとかストリートバイクとかオフロードバイクがあると思うんだけれど、ヴェルシスはそこに誕生した「ロングツーリングバイク」ですね。
もちろん、この「250ccロングツーリングバイク」っていうカテゴリーは新しいものじゃなく、「長く途絶えていた」的なニュアンスです。僕が言うこのカテゴリーは、ホンダXL250Rパリダカールや、ヤマハTT250Raid、スズキDJEBEL250とか、その時代のモデルたち。カワサキはKLE250アネーロってモデルがあったなぁ。
そう、僕はヴェルシス-X 250にKLE250アネーロの影を見たのだ。乗り味がソフトで、長距離ランに向いているサスペンション、車体姿勢、燃料タンク容量があるスポーツバイク。そこに「特化」している姿勢が、すごくいいのだ。
250ccという枠の中で、キビキビ走ったりワインディングを駆けるならNinja250の方が楽しいし、オフロードをメインに走るならKLX250がいいしね。その中で「遠くまで快適に、時には荷物もたくさん」って使い方に特化しているのが、ヴェルシス250Xであり、Vストローム250なのだ。CRF250Rallyはちょっと違うセンを狙ってるかな。
ヴェルシス-X 250は、Ninja250をベースとしたロングツーリングバイクだ。エンジン、フレームをベースとしてエクステリアデザインを専用として、まったく違うモデルに仕立て上げている。これだけでも別モデルとして成立しているのに、前後にワイヤースポークホイールを履いて、ホイールサイズも前19/後17インチ(Ninja250は前後17インチ)と専用設定。車体姿勢はNinja250の前下がりから前後フラットに近く設定され、シート高も815mm(Ninja250は785mm)に上げられている。
しかもヴェルシス-Xは、ベースとなったNinja250とエンジンフィーリングもちょっと違う。これはファイナルがローギアード寄りに変更されているからで、Ninja250に比べてドリブンスプロケットが2丁増やされている。出足がグッと強いのは、車重が増えるし、Ninja250よりもタンデムや荷物満載のことを考えているからだろう。こういうのを「正常進化」というのだ。
さらにホイールサイズや重量配分の変更でハンドリングも変わっていて、Ninja250よりも重量感があって、それが低重心にまとまっている感じ。それでも重ったるい感じはなく、高速クルージングに入ると、直進安定性がピシッと出ていて、重量感もなくなる印象。
高速道路を100km/hで走っていて、トップギア6速、7800rpm。エンジンはうなりを上げるというより、振動も騒音も抑えられて、快適にクルージングできる。もちろん、このスピード域ならば大排気量モデルの方がいいけれど、250ccには大排気量モデルにはないメリットもたくさんある。250ccだからこれくらいでガマンだな、ってことはたくさんある。けれど、ことロングツーリングをそこそこのペースでとなると、ガマンすべきことはそうそう多くはないのだ。
カワサキ250ccはこれで、選択肢もグッと増えた。街乗りをメインにするならZ250SLがいいし、スポーツランやツーリング、時にはサーキットも走るならNinja250がいい。そして、とことん旅をするならヴェルシス-X 250、しかもパニアケース標準装備のツアーがいい。もちろん、ヴェルシスで街乗りも、Z250SLで長距離ランOKだけど、いちばんフィットするのが、ってこと。
やっぱりこれは、クルージングに特化したモデルなのだ。こういうモデルが出ることで、バイクってやっぱり楽しいなぁ、って思い返してくれる人が増えることをうれしく思います。
(試乗・文:中村浩史)
エンジンはNinja250と共通の水冷並列2気筒。ヴェルシス-Xとなって車両重量が増えた分、特に発進時に出やすいようにか、ドリブンスプロケットを2丁増やし、ローギアード(=加速型)にして、そのぶん高回転の伸びはNinjaに軍配。バランサーを装備しているのも、Ninjaよりヴェルシスに合っているかも。 |
ヴェルシス-X 250 ツアラーには、樹脂製のパニアケースが標準装備される。開閉はメインキーで出来るため便利で、単体で購入すると税込5万2164円もするため、ヴェルシス-X 250 ツアラーの方がお得。パニアのブラケットも付属で、写真のトッププレートだけでも、荷物をグッと積みやすくなる。トップケース(税込1万584円)はオプション。 |
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