●文−松井 勉 ●撮影ーライドアフリカツイン実行委員会・ローレンス・ハッキング |
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ライドアフリカツイン・インターナショナル2017のDay 2を迎えたニセコは、予報通りの雨だった。絶好の北海道日和ではないものの、日高へと向かうこの日、さっそく出発前からトラブルシューティングを問うゲームから始まったのである。 |
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大きなウッドデッキのあるドミトリーではせわしなく出発の準備が進んでいた。ツアラテック製のカラフルな防水バッグに詰めた荷物は、無情にもピックアップの荷台でその機能を確かめられることになる。外は雨だ。僕達は身軽に走りを楽しめるわけだが、この日の天気予報に防水バッグのようなカラフルさは微塵も無い。空はモノクローム。雨の1日が始まった。 |
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Day2朝に行われたトラブルシューティングゲーム。ナンバープレート、ミラー、そしてバッテリーターミナルを接続する。傍らに立つのはオフィシャルの平地さん。水谷さん、ビンセントがミラーを、大和さんがナンバープレートの作業をする。 | ドミトリー内でゲームの出番を待つ面々。どこだろう? 終わったチームは「まさかあそこが外れているとは思わなかった」「アレで走っていたら相当にヤバイ」など、情報操作中だ。 | |
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さあ、僕達のゲーム開始。カバーを外された瞬間からスタート。一体、トラブルはどこに! | ミラーと、ナンバーと、イグニッションが入らない! 裕太さん、指示出し中。 | |
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すでにゲームを終えたビンセントは動画を撮影中。毎日、イベントの動画を撮影、編集し、夜にはYouTube(https://youtu.be/1_SGARB7jX8)にアップしていた。 | 作業、完了! わるくないんじゃない? タイムとチームワークを自画自賛。 | |
いざ、日高へ。
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日高に向かう前、雨の影響でルート上に設定されていたモトクロスコースを使ったゲームはキャンセルするとのアナウンス。ひだか高原荘が今日のビバーグ地。そこを直接目指せ、と指示される。渡されたGPSポイントは「殆ど直行ルートの緯度経度を入れたもの」と言われ、それならば、ひだか高原荘を直接ナビに入れ、走行開始。 |
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日高国際スキー場のゲレンデ下に集結したアフリカツイン。天気は好転しそうで結局、僅かな時間、止むにとどまった。 | ||
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日高で待っていたランチ用の肉。この日はステーキだった。このあと、炭火でじっくりとグリルされることに。 | ランチは時間を掛けてじっくりと用意された。おそらく9名だったプレ開催の今回はそれが出来たが、次回以降、このスタイルをどのように醸すのか。たのしみでもある。 | |
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グリルドマッシュルームがこんなに美味しいとは。何の気なしに乗っているトウキビがこれまた絶品に美味いのだ。やるぜ、北海道。実は肉がサイドディッシュだったのかもしれない。 | 焼けたけど、どう、靴下? ムードメーカー、ビンセントはいつでも回りを笑顔にする。 | |
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みんなの着込み具合から体感温度を想像して下さい。それでもしっかりと雨はしのげるし、美味しいランチはいただけるし、で最高のアウトドアレストランだった。 | この日、ひだか高原荘の大広間が僕達のビバーク地になった。新品のテントだから成せる技。マットやシュラフ、コールマン製品はここで活躍した。 | |
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そして濡れたものがオンパレードになった。 | そして強烈なニオイの出入り口(笑)これには参った。 | |
Day 3 最北を目指す。
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その夜の雨は凄かった。雨粒が叩く音で目が覚めるほどだった。大広間が薄明るくなる頃、ようやく収まり、再びウトウトする。が、今日は7時に朝食、7時45分にはゲームが開始される。インドアで使ったコールマンのテント、マットを撤収。眠い目をこすって出発の準備をする。手作りサンドイッチの朝食を頬張り、コーヒーで目を醒ます。 |
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Day3の朝、行われたタイヤ牽引スラローム。今はルールを説明中。スタート前、牽引ロープに結んだタイヤと、キャリアに結ぶ小さいベルトはこの位置に置かれる。スタートの合図とともに、ライダー以外の二名が先頭車のリアキャリアにロープを結び……。 | そしてスタート! | |
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しかし、名手、三橋淳を持ってしても濡れたグラストラックはあれれ! と言うほど滑る。バイクの向きが変わっても、タイヤの向きはさくっとは変わらない。 | ステファニーもクレバーにゲームをこなす。慎重で雑味のない運転で、着実にパイロン間を通す技を見せた。 | |
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1走のフィニッシュ。最後のパイロンを睨みながら、タイヤをチラリ。タイヤがフィニッシュパイロンをくぐった地点でストップ。ロープとタイヤを次のバイクに移す。これもタイムに加算されるから、手際の良さが必要。 | 2チーム目。待っている方が緊張感が高まる。経験豊富な人でもあまりやったことがないゲームだからだ。 | |
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宮城の大和さん。パイロンの先端で狭いほうからタイヤを通す。直線的に行かれるとよいのだが、曲がりながら入れるのは難しかった。 | チーム2走目の大和さんがロープをリアキャリアに、タイヤを持っているのがチームで1走を務めた水谷太郎さん。走り出すのはビンセントだ。 | |
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2チームが終わって、それぞれの満足感。 | ||
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僕達のチームは裕太さんからスタート。キャリアに結んでいるのがローレンスさん。 | 速度は低いが難易度があり、けっこう息が弾む。ローレンスさんと僕もベストを尽くした。 | |
目標点はケーブ・当麻!
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今日もGPSの座標をもとに移動をする。ゴールの宗谷岬まではGoogleマップで最短ルートを検索しても350キロ以上。僕達はこれから寄り道をしながら進む。先は長い。 「そのVWバスで僕は運転を覚えて、事故を初めて経験したのもその車だった。一時停止を無視した車がつっこんできたんだ。インドの仕事が終わってカナダの自宅にももちろん一緒に連れて帰ったよ。大学時代になると父親が僕にVWバスを譲ってくれたんだ。あちこちに出かけたね。ヒッピーバスのようにボディーをイエローに塗り替えたよ。でも、冬が寒いカナダでは、空冷エンジンのVWバスはヒーターがあまり効かないんだ。それがあまりに辛くて手放してしまったんだ」 |
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インドで暮らしていたときのツートーンのVWバス。 | ||
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占冠での奇跡の一枚。ローレンスさんはさっそく自身のFacebookに上げていた。そのスクリーンショット。 | 20数年振りに奇跡的に出会い手許に戻って来た。だからブーメラン・バスと呼んでいる。 | |
最短距離で目的地に向かえ。
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占冠から北上を続け富良野、美瑛を抜けた。国道はクルマが多いので、ちょっと裏道を抜け、千望峠から雨の丘陵をながめ、先を急いだ。 |
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ああ、天気さえよければ。でも雨でも楽しい。それがアドベンチャーバイク。それがアフリカツインなのだ。 | こうした写真にもチームワークが密になっている様子がうかがえる。三日目、ランチ後の撮影ポイントにて。 | |
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広大な畑を抜けるダートロードにて。 | ||
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北上する道の駅で和太鼓のパフォーマンスに出会う。 | 稚内の朝。最後まで太陽には見放されていた。 | |
ローレンスさん、かく語りき──by Lawrence Hacking.
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第一回のライドアフリカツイン・インターナショナルはとても上手くオーガナイズされ楽しいものだった。私にとって日本へ行くこと、それは今回も、これまでも互いの素晴らしくも異なる文化を越える旅でもあり、人と出会い、未知の道を走り、文化を知ること。それはどれも特別な体験でした。皆さんがカナダに来たら、同様の体験をするにちがいありません。 |
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DCTのアフリカツインで自在にテールスライドを楽しむローレンスさん。ライダーは脳が若い、との研究があるが、オフロードライダーは肉体も若い、という気がする。「みんなで一緒にスライドさせよう」の声に若手、完全に遅れるの図。 | ||
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あの河原にいってみよう。ローレンスさんの提案で僕達は広大なサンドエリアに入った。この時の走りは本当に楽しかった。 | ||
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僅かな時間ながら、アフリカツインが媒介する友情はしっとりと深まる。 | 最終日、僕達は日本の正真正銘、最北端の碑の前でRIDE AFRICA TWIN INTERNATIONALを終えることになる。きっと、誰にとっても自宅から一番遠い場所だったに違いない。それでも家路へのエネルギーはこの数日間で充填され、意気揚々と次なる冒険へと出る事が出来た。アフリカツインのコンセプト“GO ANY WHERE”は本当だった。 |
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