YAMAHA TMAX530 ATスポーツコミューターで“バビューン”と快速・快適ロング・ツーリング2017! その1

「シーカヤック乗りに来ない?」 とまた誘われた。今回は瀬戸内海に浮かぶ無人島を目指すらしい。ということで友との2年振りの再会のため、西を目指した。もちろん相棒は前回同様、“快速・快適”ヤマハのオートマチック・スポーツコミューター「TMAX530」。フル・モデルチェンジで全身アップグレードが施された最新モデルだ。

●報告:高橋二朗 
●協力:ヤマハ発動機 http://www.yamaha-motor.co.jp/mc/

東京~姫路~東広島を快走、TMAXは実用性の高いスポーツバイクだ

 ちょうど2年が経った前回同様、スケジュールは3泊4日で、東京~広島往復約1800kmの行程となる。目的地での滞在時間は今回も多く割くことはできない。ほとんどが移動時間に費やされるはずだ。だからこそ、今回も相棒はTMAX。フルカバーされたボディのおかげで猛暑の中でもエンジン熱がライダーを襲うことはないし、雨が降ってもフロントスクリーンがライダーへの直撃を和らげてくれるし、シート下にはトランクスペースもある。そして何と言っても刺激的なエキゾーストサウンドに走りが痛快だ。とても実用性の高いスポーツバイクなのである。

 そんなTMAXは昨年のミラノショーでモデルチェンジとなった新型をワールドプレミア、今年4月より日本でも販売が開始されている。最新2017年モデルはスタンダードモデルの「SX」と上級モデル「DX」という2本立て。今回の相棒は電動調整式ウインドスクリーン、クルーズコントロールシステム、グリップ&メインシートヒーターを装備するDXの方。ボディカラーはDX、SXいずれのグレードにも設定されているダークグレーだ。


TMAX530

TMAX530
2017年モデルで一新されたTMAX530は電子制御スロットル、トラクションコントロール、2種類の走行モードが選べるD-MODEを新採用。ABSは全車に標準装備となった。また、新設計のアルミフレームなどにより軽量化も施される。グレードはスタンダード仕様の「SX」。クルーズコントロールや電動調整式スクリーンを採用する「DX」の2タイプ。車体色はDX専用のマットブルー、SX専用のマットシルバー、そして今回の試乗車のカラーで両グレードに設定されるダークグレーの3色。
(※以下、写真をクリックすると大きなサイズになったり、違う写真がみられるものもあります)

 初日は兵庫県の姫路を目指す。前回同様、軽四輪車と同じ料金を徴収される高速道路をなるべく利用したくはない。よって、夜が明けきらぬ時間帯に東京を出発する。国道246号線で沼津まで出て、そこからはひたすら国道1号線のバイパスを利用して西へ。

 新型TMAXはどうか? 2年前に先代TMAXに触れた時、車体の大きさや重さ、足着きに不安を感じ、ちょっと緊張した記憶がある。が、しばらく走ると慣れ、まったく問題なくなった。あれから2年経っており、最初はやはり緊張するかと思いきや、新型は最初から不安なく乗ることができた。身体が覚えていたのだろうか? いや、あれから2年経っている。先代と並べて比較することができなかったが、新型は取り回しし易く進化したのかもしれない。ただ、ライディングポジションは身長173cmの私にはちょっと大きめに感じる。自分好みのハンドルリーチに合わせると、着座位置はほとんど燃料フタがある前端だった。


沼津近辺

道の駅 掛川
沼津近辺で夜が明けた。まずは腹ごしらえ。今回の旅もなるべく「ご当地麺」をいただく。静岡県を中心に展開するチェーン店でそばの「朝セット」。このチェーン店にしては珍しく愛想のいいおばちゃんだった。 国道1号バイパスからアクセスできる「道の駅 掛川」で1時間ほど休憩。日本列島の真ん中に位置するという掛川市は山内一豊ゆかりの掛川城でお馴染み。最近では大河ドラマ「直虎」にも出てきた。TMAXの生まれ故郷・磐田はもうちょい西。

桶狭間

国道23号線
国道1号線を走っていたら「桶狭間」という交差点が。奇襲場所まではいかなかったが、驚くほど狭いところだと聞いた。で、その先名古屋市に入ったので「みそ煮込うどん」をいただく。 国道23号線で鈴鹿を通った。ちょうど8耐ウィークで、エントラント達は練習走行をしていたはず。ヤマハさん、遅くなりましたが3連覇おめでとうございます! 鈴鹿山脈の向こう側の雲が気になる……。

道の駅 針テラス

天理
ツーリングライダーのメッカ「道の駅 針テラス」にて。ここまで霧のち小雨に見舞われたが、フロントスクリーンのおかげでレインスーツを着るまでもなかった。 天理で大雨に遭遇するも、大阪環状線に入った頃に空は晴れてきた。阪神高速3号線の京橋パーキングエリアにて。この日の目的地・姫路まであと少し。

 静岡県内のバイパスに入ると信号でストップすることはなくなり、流れのペースも速くなる。TMAXの快適なスピード域だ。相変わらず排気音がいい。サウンドに関しては個人的好みではあるが、マフラー交換しなくてもいいと思ったほど(ノーマルに対し軽い社外品は運動性能アップにつながるかもしれないが)。

 天気はずっと曇りだった。朝のラッシュアワーに巻き込まれないよう、ロクに睡眠もとらずに出発してきたため、掛川近辺で眠気に襲われ、道の駅で1時間ほど休憩。前回は磐田のヤマハ本社に隣接するコミュニケーションプラザに立ち寄ったが、今回はそのまま西を目指す。
 愛知県に入ってからは基本国道23号を走行。途中、ヘルメットのシールドのホルダーにトラブルが発生。最寄りのアライプロショップであった三重県の南海部品・鈴鹿サーキットロード店に立ち寄る。鈴鹿はちょうど8耐ウィークに入った頃だった。遠く、練習走行らしき音が聞こえる。2年前の道中も8耐ウィークと重なっていたっけ。


道の駅 針テラス

天理
明けて翌日、TMAXで姫路の歴史的遺産を探訪。10階建てのアパートの中を姫路モノレールがぶち抜く「大将軍駅」を訪れたが1年遅く、ほとんど解体されていた(左写真をクリックすると、ちょうど10年前の「大将軍駅&高尾アパート」を見ることができます。写真提供:白鷺 攘 撮影:2007年8月)。姫路駅寄りにはコンクリートの支柱が一体となった建物を今も見ることができる。モノレール開通からすでに半世紀の時が経っている。


手柄山駅


手柄山駅


手柄山駅


手柄山駅
コンクリートの軌道(上を新幹線が通る区間も)などはそこら中で見ることができる。で、1966年の大博覧会の会場のひとつ、手柄山中央公園に訪れた。姫路モノレールの終点「手柄山駅」は現在、モノレール展示室として公開、車両はもちろん当時の時刻表や看板が残っている。高度成長期のノスタルジーに浸ることができる空間……。

 鈴鹿のお隣、亀山に入ってからは名阪国道を使って関西入り。名阪国道は途中、霧に覆われていたが、奈良県天理に入ってからは雨に。そんな時は慌てず、電動調整式のスクリーンを手元のスイッチで一番高い位置へ。これだけでかなり雨を防ぐことができた。が、西名阪に入ると雨は土砂降りに。さすがにウインドスクリーンだけでは雨を避けることはできなくなったが、ライダーの心理的にカッパを着るのは面倒だし、行き先の空は明るかったのでそのまま走ることにした。案の定、大阪に入って10分も走らない内に雨は止み、阪神高速の路面は乾いていた。スクリーンやフルボディカバーでなければ全身びしょ濡れだっただろう。ヤマハはTMAXのことをスクーターとは言わないが、私がスクーターが好きなのはこういった対候性の高さだ。そうそう、関西エリアは慣れない道なので、特に都市部では高速道路を使っています。
 神戸の街は雨雲はなく、キレイな黄昏時だった。あとは第二神明、バイパスを使えば姫路だ。で、姫路に到着したのは20時前。この日の走行距離は657km、ここまでの平均燃費は28.0km/L(車載燃費計によるデータ)だった。600km以上も走ったような気はしない。

 翌日は東広島を目指す。その前に、今までは通り過ぎることが多かった姫路の街を散策。本来ならば世界遺産のお城を訪れるべきだろうが、今回はパス。いつかまた。



駅そば


岡山ブルーライン
姫路と言えば世界遺産の姫路城だが今回はスルー。姫路駅の名物「駅そば」を食べ、街を後にした。 瀬戸内海を望むことができる風光明媚で気持ちよく走ることができる岡山ブルーライン(2004年に無料開放)途中の「道の駅 一本松展望園」にて。

 姫路の街を出たのは13時を回っていた。この日も移動だけで、時間的に余裕があるのでずっと国道2号線を走る。確か以前、連載コラム「オオカミ男の独り言http://www.mr-bike.jp/?p=126118」の大神さんに、岡山方面に向かう際に気持ちのいい道を教えてもらったことを思い出した。確か5年以上前のことだったので、記憶も薄れつつあったが、そうそう「岡山ブルーライン」だ。途中「高速道路ではありません」という看板みたいなものがあったような気がしたが、確かに高速と間違えてしまいそうなほど信号はなく、とても流れがいいだけでなく瀬戸内海が見えたり景色もいいルートだ。国道2号線のバイパス的道路でもあるようだ。TMAXをとても快適に走らすことができた。

 岡山ブルーラインもおのずと国道2号に合流し、岡山市内へ。ちょうど夕方に近かったこともあり、バイパスとは言えさすが政令都市、交通量が多くイマイチペースは上がらず。でも18時頃は目的地の東広島に到着。この日は姫路での滞在時間が長かったため、ほとんど移動の一日であった。走行距離は約250km。全然楽勝ッス。

(つづく)


TMAX530
●TMAX530 DX ABS(SX ABS) 主要諸元
■型式:2BL-SJ15J ■全長×全幅×全高:2,200 ×765 ×1,420 mm■ホイールベース:1,575 mm■最低地上高:125 mm■シート高:800 mm■車両重量:218 (215 )kg■燃料消費率:28.6 km/L(国土交通省届出値 60km/h定地燃費値 2名乗車時)20.6 km/L(WMTCモード値  クラス3、 サブクラス3-2  1名乗車時)■エンジン種類:水冷 4ストロークDOHC 4バルブ 直列2気筒■総排気量:530cm3 ■ボア×ストローク:68.0 × 73.0 mm■圧縮比:10.9 ■最高出力:34 kW(46 PS)/6,750 rpm■最大トルク:53 N・m(5.4 kgf・m)/5,250 rpm■燃料供給:フューエルインジェクション■始動方式:セルフ式 ■点火方式 :TCI(トランジスタ式)■燃料タンク容量:15L(無鉛プレミアムガソリン指定) ■変速機形式:Vベルト式無段変速/オートマチック ■タイヤ(前/後):120/70R15M/C 56H(チューブレス)/ 160/60R15M/C 67H(チューブレス) ■ブレーキ(前/後):油圧式ダブルディスクブレーキ/油圧式シングルディスクブレーキ ■懸架方式(前/後):テレスコピック/スイングアーム ■フレーム形式:ダイヤモンド ■車体色:マットダークパープリッシュブルーメタリック1、ダークグレーメタリックS(マットシルバー1、ダークグレーメタリックS)■メーカー希望小売価格(消費税8%込み):1,350,000円 (1,242,000円)

[後編は近日公開予定です。しばらくおまちください。
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