風の娘ライダー、ルリカミドリの実走! Kawasaki VERSYS-X250 TOURER体験ツーリング 「雨もまた楽し!? 3泊4日、ビショ濡れ、女一人旅」その2
■レポート・イラスト:ルリカミドリ
■取材協力:カワサキモータースジャパン http://www.kawasaki-motors.com

◆まだ2日目◆ いざ! 白川郷へ

 平湯のキャンプ場を朝7時にスタートし、飛騨高山の街とお隣の飛騨古川をブラブラと散策しました。そして、飛騨清見JCTから、東海北陸自動車道に乗っかったのです。
 しかしこの道路、片道一車線の対面通行。しかもニガ手の長~いトンネルが何本も続くし、後続車からは煽られるし、で、大変でした。
 途中に何箇所かある待避所へバイクを寄せつつそれらの車を抜かせながら、どうにかこうにか白川郷ICで降りることができたのでした。

 10分くらいで白川郷の入口へ到着。そのまま展望台まで上ると、眼下にはよく写真で見る村全体の美しい風景が広がっていました。
 山を降り、村営の駐車場へバイクを停めて、目の前に流れる川の上に架かる細い橋を渡ると合掌造りの家が見えてきます。
 もう何年も前に一度来たことがあるのですが、まったくそのままの形の建物が並んでいるのを見るとうれしくなってきます。
 高い山々に囲まれた狭い土地に皆さん肩を寄せ合うようにして暮らし、少しの畑と田んぼを耕し、蚕を飼いながら生きてこられたんでしょうね(実際は鉄砲用の火薬である塩硝なんかも作っていたらしいけど)。
 この、木と竹と紙と土で作られた日本独特の家を見るために、外国人の観光客もたくさん訪れていました。
 昔来たときには、ほとんど外国人自体を見なかったんですけどね。時代は変わったものです。
 今度はド真冬に来て、一度その生活を体験したいと思ってます。


白川郷
やってきました、世界遺産の白川郷。展望台までバイクで登れます。

白川郷

白川郷
村営の駐車場にバイクを停めてこの橋を渡れば、合掌造りが見えてきます。 自然に溶け込むように建てられている。それが日本人の暮らしなんだよな。

白川郷

白川郷
熱心に観察している中国人観光客。外国人だらけだったぞ。

白川郷
毎日火を焚き、それを絶やさないことで、この家の歴史が守られているんだ。 すべて職人の手造りの暮らしの品々。これが技術大国日本へと受け継がれていくんだ。

 時刻はもう2時半。さて、これからどうしましょうか? お隣の五箇山を見学して、そのまま昔利用したことがあるここのキャンプ場で一泊するか? それとも能登方面を目指して北上続けるか? 迷ったのですが、新幹線が開通して賑わっているらしいという金沢に向かうことにしました。

 空を見上げると少し雲がかかって薄暗い雰囲気になってきました。もしものことを考え、カッパを着ておきましょう。

 先を急ぐために、また白川郷ICから東海北陸自動車道に乗っかります。交通量は少なめですし、快適な走りです。

 このヴェルさんは、排気量248cm3の水冷4ストロークDOHC4バルブ、パラレルツインエンジンを搭載していまして、低中回転域では力強いトルクを感じながら、高回転域では心地よい加速感を感じる事ができるように作られているそうです。
 ワタシみたいに元々アクセルをあまり回さないようなライダーだと、どうしてもスタートしてからトップスピードに乗るまでもたもたしてしまいがちなのですが、やはりトップギアに入ってからの走りはのびやかなものを感じています。
 ギアは6段式で、現在のギアの位置がわかるのが本当に便利なのです。

 また、真夏の走行時にはどうしても足周りにエンジンの熱い空気が溜りがちで、不快感があるのですが、このヴェルさんはそれを解消するヒートマネージメントがあります。
 サイドカウルの隙間からまずは熱を排出。特許取得のラジエーターファンカバーというものが装着されており、熱くなった空気がライダーに当たらないように、また、フューエルタンクやフレーム、パーツの温度上昇を抑制するように作られているので、ホントに熱くないし快適なんですよねぇ。

 と……ここまで気持ちよく走っていたのですが。
 いくつかのトンネルを抜けたところで、いきなり空が真っ暗になり、案の定大粒の雨がドバーッと降ってきたのです。カッパ着といてよかったぜーっ。 

 
 以前、同じカワサキの「Z-250」や「ニンジャ250」に乗せていただいたことがあるのですが、このヴェルさんにも同じ「アシスト&スリッパークラッチ」というものが付いています。
 これは、急激なシフトダウンやミスシフトなんかをしたときに発生する過度のエンジンブレーキを、カムをずらすことによってその力を逃がし、リアタイヤのホッピングやスリップを抑制させる機能だそうです。
 クラッチレバーの操作を軽くスムーズにしてくれる効果もあるそうなのですが、本当に軽くて、長く乗っていても手が痛くならないのがいいですね。


VERSYS-X250 TOURER

VERSYS-X250 TOURER
見やすいバックミラー。 TOURERに標準装備のハンドガードは雨や風、飛んでくる小石避けに有効だよね。 軽い排気音が心地よい。ショートタイプなのでタンデム走行も快適。

 土砂降りの中を慎重に運転していきます。ヘルメットにバチバチ水滴が当たり、追い越していったトラックが巻き上げる水しぶきも重なり、かなり前方が見づらくなっています。こういうときに特に気をつけたいのがブレーキ操作ですよね。
 このヴェルさんには、小型軽量の二輪車専用ABS制御ユニットが搭載されていまして、急制動したときでも車輪のロックを防ぎ、ハンドルコントロールをサポートしてくれるようになっています。
 実際、晴れているときワザと強くブレーキを掛けてみたことがあるのですが、スッと抜ける感覚があっておもしろいです。
 タイヤはフロントが大径の19インチ。リアは17インチ。それぞれ独特のトレッドパターンが刻まれています。
 ディスクはフロントがφ290mm、リアはφ220mmの放熱性にすぐれた雲形のものが採用されていまして、とにかくヴェルさんは安定した制御力を発揮してくれるのです。

 
 ずぶ濡れになりながら約1時間ほど走って、福光ICで東海北陸自動車道を降り、ここから県道27号線に入ります。

 今日のお宿は、医王山スポーツセンターというところにあるキャンプ場の予定なのですが、途中から県道209号線に入らねばなりません。が、しかし、なかなかその表示がなくてしばらく走っていたら、なんと「金沢大学」のキャンパスが!! ひぇ~っ、行き過ぎだっちゅーのっ。
 もたもたしながらようやく209号を見つけ、山道を上がって行き、ようやく医王山スポーツセンターに到着しました。
 ところが、係の人に聞いたら「いゃ~、もう今はキャンプ場やってないんですよねぇ~」だって!!
 実はワタシが使っているツーリングマップルは2009年のヤツ(古っ)だったんです。しょうがないので、他にキャンプ場はないのかなぁ~? なんて探していたら、少し上の方にもう一つあるのを発見しました。
 ここも無理かなと思いつつ、地図上に書いてあった電話番号に連絡すると、大丈夫です、とのこと。やっと一安心したのであります。

 「医王の里」というキャンプ場に着いたのは夕方5時でした。客はワタシ一人。係の人はもう閉めて帰るつもりだったそうで、少し驚いていましたが、何かあったらすぐに連絡するように、と、携帯の番号入りの領収書を渡してくれました。
(本日の走行距離-227.9km)

イラスト

♦3日目♦ いざ! 金沢へ

 5時半起床。夕べは一晩中雨が降ったり止んだりでした。軽くご飯を食べ、トイレを済ませ、シャワーを浴びて出発の準備です。ちなみにシャワー代は一回100円の前払い制なので、昨日の分は昨日払ったのですが、今朝の分は払ってないので、洗面台に100円置いてきましたよ。

 実は一番最初に見たときは全然気づかなかったのですが、ヴェルさんにはセンタースタンドが付いてるんですよね。
 これはTOURERには標準装備だそうで、やっぱ荷物を積み込むときなんかにはあると本当に便利です。
 あと、TOURERにはハンドガードも標準装備で付いています。これがあれば走行時の雨風や飛んできた小石なんかから手をガードできるしいいですね。
 特に冬の寒いときなんかは、手が冷たくなるのを少しは防いでくれるかも?


VERSYS-X250 TOURER

VERSYS-X250 TOURER
防寒着とかカッパとかすぐに取り出せるからパニアケースがあるとやっぱいいよね。これもTOURERは標準装備。 最初は気がつかなかったけれど、あると便利なセンタースタンドもTOURERには標準装備。お買い得だね。

 霧雨が少しだけ降っています。昨日上ってきた県道209号線をそのままの道のりでトロトロと下っていくと、途中から少しずつ民家が増えてきて、ようやく県道27号に合流。ここまで来れば、もう普通の大きな街です。

 キャンプ場から13.6Km、約50分(朝の渋滞のため)ほどで兼六園に到着しました。いつか金沢へのツーリングを考えていらっしゃる方は、すぐにアクセスできるし、この「医王の里キャンプ場」は便利ですよ。ぜひおススメいたします。
 いつの間にか雨は止んで日が昇り暑くなってきました。観光案内所そばの無料の駐輪場にヴェルさんを停めてカッパを脱いで、さっそく金沢観光のスタートです。
 金沢は戦災を免れたところなので、歴史的な建造物や町並み、伝統工芸、食文化などがしっかりとそのまま残っている落ち着いたすばらしい街です。あまり時間はないのですが、精一杯楽しんできたいと思います。
 まずは兼六園から。ここは金沢の街の礎を築いた前田利家公の庭園です。朝の気持ちのよい空気を胸に一杯吸い込みながら、ゆったりと園内を散策しましょう。
 一通り回った後、すぐ前にある金沢城へ。加賀、能登、越中の三カ国、約120万石を領した前田家の居城であり、その後約290年間に渡り金沢の発展に寄与されたのだそうですよ。
 そして、精密に組み込まれた石垣の周りをぐるりと歩き、尾山神社へ参拝します。この神社は、加賀藩祖前田利家公と正室のお松の方をお祀りしてあるそうなんですが、明治8年に建設された神門がすごく独特なのです。
 和漢洋の様式のデザインで、三層建て。四面五彩のギヤマン(ガラス)張りの御神灯は、遠く日本海からも見えたと伝えられているそうです。
 日本に現存する最古の避雷針が付いていることでも有名だそうです。


兼六園

兼六園
兼六園でお約束の写真。ベタでスミマセン。 日本で最古と伝えられる噴水。モチロン電動で上げているんじゃないよ。

兼六園

兼六園
加賀百万石のお城。1583年に前田利家が入城し、金沢の基礎を築いたのだ。

兼六園
尾山神社の三層楼門は国の重要文化財に指定されています。 スゴイよねェー。昔の人はこれ一個一個積んだんだもんなぁー。

 かなり気温が上がっています。バスに乗ればいいものをダラダラと汗を流しながらもチンタラと歩き、「近江町市場」へとやってきました。
 ここは金沢市民の台所と呼ばれている市場です。たくさんのお店が立ち並んでいて、新鮮でおいしそうな魚介類や野菜、かまぼこに漬物などが所狭しと売られています。
 九州の実家にカニでも送ってあげたいと思い、あちこち覗いてみたのですが、高くてまったく手が出そうにありません。ここはホタルイカの佃煮とのどぐろの干物でお茶を濁しておきましょう。
 でもせっかく金沢まで来たのだから、自分へのごほうびに豪華な海鮮丼でも食べようかと思ったけど、やっぱどこも観光客価格で高いですね。
 今回の旅の予算は一応3万5千円なんですよ。ここは泣く泣くあきらめ、揚げたてのかにクリームコロッケで我慢です。

 そしてまたここから歩いて金沢駅へ。なっ、何じゃこりゃ~? 駅舎が、ムチャクチャすごいデザインになっています。こんなの見たこともないよぉ。
 駅の構内も明るく広く清潔ですばらしかったです。「世界でもっともすばらしい駅」のベスト10に選ばれたこともあるそうですよ。
 おみやげを買おうと奥へ入ると、立ち食いそば屋さんを発見。金沢まで来て、寿司や海鮮丼じゃなく立ち食いそばというのは、いかにも貧乏ライダーのワタシらしいな、、、なんて思いつつもすすりました。
 でもその代わり、豪華な金箔が乗ったソフトクリーム食べたけどさっ。

 その後はひがし茶屋街や金沢21世紀美術館なんかを巡って、兼六園まで戻ってきたのでありました。
 駅にあった無料のガイドマップを見ると、金沢の奥座敷、湯涌温泉というのが載ってます。約15km、30分ほど走って、ひとっ風呂浴びていきやしょう。

 そしてまた、街の中心部まで戻ってきました。さてと、これからどういたしましょうか……? 3泊4日の旅。明日中には東京に戻らないといけません。
 一日、最高で約300km走るのがワタシ的には限度なんで、とりあえず今日のうちに距離を縮めておかねばなりません。
 う~ん、どうしようかなぁ~? どこ行こうかなぁ~?     

(その3最終回は近々公開予定であります)

MAP

近江町市場

金沢駅
金沢の台所と呼ばれている近江町市場。新鮮な海の幸山の幸がたくさん売られています。 金沢駅の全景を入れようと苦悩している東南アジア系のお姉さん。

兼六園

兼六園
近くで見るとこんな小さな噴水が……。

兼六園
海鮮丼は食べられなくても、ゴーカな金箔がのったソフトクリームを食べましたョ。 離れて見るとなんと時計に……スゴイ。金沢駅正面にあります。

ひがし茶屋街

に主計(かずえ)町茶屋街
ひがし茶屋街の風景。そのまま映画のロケに使えそうだよね。 川のそばに主計(かずえ)町茶屋街があります。一度お大尽遊びをやってみたい!?

泉鏡花記念館入口

金沢21世紀美術館
金沢21世紀美術館。一階部分は入場無料。けっこう楽しかったョ。

湯桶温泉
文豪、泉鏡花記念館入口。作品展やミュージアムなどがあります。読んだことないけど。 金沢の奥座敷、湯桶温泉でひとっと風呂。のんびりできるよ。

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