2月17日の金曜日、ツインリンクもてぎ・南コースにて定期的に行われている「走行確認テスト」が行われた。同敷地内にあるHondaコレクションホールに展示される車両は基本動態保存。定期的にテストが行われている。コレクションホール所蔵車両のテストと言えばドライダー・宮城光氏だが、今回、二輪ロードレーサーは岡田忠之氏が担当。宮城氏はF1のステアリングに専念している。尚、今回のテストは3月3日(土)・4日(日)に開催される「鈴鹿サーキット50周年ファン感謝デー」の事前チェックも兼ねていたようだ。
●撮影:依田 麗
伝説のライダー、隅谷守男が開発に携わったマシン・CB500Rは、HRCの前身であるRSCがチューニングを施し、ヘッドの3バルブ化(吸気2、排気1)に加えバルブ駆動もギア化。1972年の全日本ロードレース・鈴鹿で、隅谷は世界GP時代にヘイルウッドがマークしたコースレコードを更新する。排気量も624cc、クランク系を一新して749ccまでスープアップされた。コレクションホールに所蔵されるトリコロールのCB500Rは1975年のボルドール24時間耐久向けに製作されたプロトタイプ。今回のテストに登場した500Rは外観こそ’60年代のRCレーサー的趣だが、フロントにダブルディスク、集合マフラーを採用するなど中身は現代的装備で固められている。ゼッケン3は隅谷の全日本でのナンバーで、1974年のセニア750ccクラスを戦ったマシンにスペック的に近いと思われる。 鈴鹿サーキット50周年ファン感謝デーでは岡田忠之がデモ走行予定。
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エンジン:空冷サイクル4気筒OHC3バルブギア駆動 排気量:749.35cc 最高出力 :over 86.7PS / 11,000rpm 変速機:5段変速 (※スペックは1975年ボルドール24時間向けプロトタイプ) |
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世界GP125ccクラスで台頭する2ストローク勢に対抗するため、ホンダは1963年シーズン途中に並列4気筒のRC146、さらに1965年の最終戦・日本GPには前代未聞の並列5気筒エンジンを搭載するRC148を投入。その熟成版がRC149だ。ルイジ・タベリのライディングで1966年、ライダー&マニュファクチャラーの2冠を達成。ゼッケン177は東ドイツGP優勝車だ。テスト当日は路面温度が上がらず、残念ながら5気筒の咆哮を聞くことはできなかった(※コチラで聞くこともできます)。
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エンジン:空冷4サイクル並列5気筒DOHC4バルブ 排気量:124.42cc 最高出力 :over 34PS/20,500rpm 最大トルク :1.22kgm/19,300rpm 最高速度 :over 210km/h 車両重量 :85kg 変速機:8段変速 |
2スト勢に対抗すべく、より高回転・高出力を狙った並列6気筒エンジンを搭載した250ccGPレーサー・RC165は1964年のイタリアGPにデビュー。改良型の2RC165を経て、
RC166は1966年シーズンに投入された。この年にホンダへ完全移籍し、本格的に6気筒を操ることとなったマイク・ヘイルウッドは出場した全10戦で優勝するという圧倒的強さで王座奪還に成功。テストに現れたゼッケン7は1967年のマン島TTを制したヘイルウッドのマシン。本来、ヘイルウッド車は右側シフトペダルだが、テスト時は一般的なブレーキペダルに改められている。RC149同様、テスト当日は路面温度が上がらず、“ホンダ・シックス”が目を覚ますことはなかった。 (※コチラで聞くこともできます)。 |
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エンジン:空冷4サイクル6気筒DOHC4バルブギア駆動 排気量:249.42cc 最高出力 :over 60PS / 18,000rpm 最大トルク :2.36kgm / 17,000rpm 最高速度 :over 240km/h 車両重量 :112kg 変速機:7段変速 |
独創的なV型3気筒レイアウトに加え、モトクロッサーのノウハウを活かしたピストンリードバルブを採用。トップエンドのパワーよりも軽量・コンパクト・低重心な車体の運動性能を武器とし、デビューの1982年はGPフル参戦を開始した新鋭フレディ・スペンサーが2勝。翌1983年は“キング・ケニー”との死闘を制し、スペンサーがGP500クラス最年少チャンピオンに。ホンダにとってもGP500クラス初のライダーズ・タイトルだった。1984年はV型4気筒のニューマシンNSR500の熟成が進まず、戦うコースによってはNS500も使われ、勝利を収めている。1984年仕様はトリコロールのホンダワークス・カラーが1983年仕様に対し赤い部分が多くなっている。鈴鹿サーキット50周年ファン感謝デーでは清成龍一がデモ走行予定。
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エンジン:水冷2サイクル112度V型3気筒ピストンリードバルブ 排気量:496.99cc 最高出力 :over 120PS / 11,000rpm 最大トルク :8kgm / 10,500rpm 車両重量:under 119kg 変速機:6段変速 (※スペックは1982年シーズン仕様) |
NS500で劣っていたパワーを補うべく新開発されたV型4気筒エンジン下に燃料タンク、上に排気管という独特のレイアウトを採用し1984年にデビューしたNSR500は、翌1985年に一般的なレイアウトに変更。フレディ・スペンサーのライディングで12戦中11戦に出場し7勝、2位3回という圧倒的強さで王座を奪取。また、この年からメインスポンサーとなったロスマンズ・カラー(1993年まで)となっている。1986年まで、NSR500はスペンサー専用車であり、搭載されるV4エンジンのシリンダー挟み角は90度(1987年以降は112度)。鈴鹿サーキット50周年ファン感謝デーではワイン・ガードナーがデモ走行予定。
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エンジン:水冷2サイクル90度V型4気筒ケースリードバルブ 排気量:499.25 cc 最高出力 :over140PS /11,500rpm 最大トルク :over8.8kgm /11,000rpm 車両重量:119kg 変速機:6段変速 |
1997年シーズン、ミック・ドゥーハンが自身4度目の世界チャンピオンに輝いたマシン。V4エンジンは90度等間隔爆発、扱いやすくなった不等間隔位相同爆(ビッグバン・エンジン)を経て、再び等間隔爆発に近い点火順序のスクリーマー・エンジンを搭載。このエンジンはドゥーハンにのみ好んで使われ、ハイパワーを武器に15戦中12勝の年間最多勝記録を達成。残り3勝もアレックス・クリビーレ(2勝)、岡田忠之(1勝)のビッグバン仕様によるもので、1997年は全戦をNSR500が制したことになる。その後、NSR500は2001年に設計変更が行われ、MotoGP初年度の2002年まで戦い続けた。鈴鹿サーキット50周年ファン感謝デーでは伊藤真一がデモ走行予定。
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エンジン種類:水冷2サイクル112度V型4気筒ケースリードバルブ 排気量:499cc 最高出力 :over 185PS 車両重量:over 131kg |
フレディ・スペンサーによって1985年に世界GP250クラスチャンピオンとなったRS250RWをベースに開発、1986年にNSR250としてデビューしたワークスマシン。V型2気筒エンジンは1軸から2軸になるなどの変更を受け、2001年シーズンの世界GPを戦ったのはその最終進化モデル。全16戦中11勝をマークした加藤大治郎が世界チャンピオンを獲得し、ホンダにとって1997年以来17度目の250ccクラス・マニュファクチャラーズタイトルももたらす。鈴鹿サーキット50周年ファン感謝デーでは青山博一がデモ走行予定。
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エンジン:水冷2ストロークV型2気筒ケースリードバルブ 排気量:249cc 最高出力 :over 90PS 車両重量:96kg |
1986年、全16戦9勝の圧倒的強さでホンダに念願のF1タイトル(コンストラクターズ)をもたらしたマシン。この年までのF1はターボの過給圧に制限はなく、予選では1000PS以上を発揮。最高出力は1500PSに達していたとも言われる。テストに参加した車両はお馴染み“レッドファイブ”、ナイジェル・マンセルがドライブしたマシン。翌1987年は改良型FW11Bでコンストラクターズ2連覇を達成。ドライバーズ・タイトルはチームメイトのマンセルとの争いを制したネルソン・ピケが獲得している。鈴鹿サーキット50周年ファン感謝デーでは星野一義がドライブ予定。
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車両重量:540kg 変速機:6段変速 |
ホンダは1987年よりチーム・ロータスにもエンジン供給を開始。中嶋悟が日本人初のF1レギュラードライバーとして迎えられ、アクティブサスを搭載したロータス99Tはコンストラクターズ・ランキング3位を得る。翌1988年のロータス100Tはアクティブサス非採用。コンストラクターズ・ランキング4位。ホンダのV6ターボ・エンジンはレギュレーションによりこの年が最後となった。ゼッケン2は中嶋悟がドライブしたマシンで、鈴鹿サーキット50周年ファン感謝デーでも彼がステアリングを握る。
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F1は1989年シーズンより自然吸気エンジンで戦うこととなり、ホンダは3.5リッターV10エンジンのRA109Eを開発。この年よりマクラーレン1チームに供給する。全16戦中15勝の圧勝だった前年に続きドライバー&コンストラクターの2冠を達成。MP4/5と言えば1989年の第15戦・日本GPが開催された鈴鹿のシケインでアイルトン・セナとアラン・プロストによるチームメイト同士の接触が有名。ゼッケン2のプロストが3度目のチャンピオンを獲得した。鈴鹿サーキット50周年ファン感謝デーでは佐藤琢磨がドライブ予定。
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