2017年6月13日 

■“すぐそこの未来”を公開「Honda Meeting 2017」

 「Honda Meeting」は二輪、四輪、汎用製品の実験、研究、開発などを行っている本田技術研究所の成果などを公開する、世界のマスコミ関係者らに向けたミーティング。その2017年版が6月5~7日の3日間、栃木県の本田技術研究所・四輪R&Dセンターで催された。本田技研工業の八郷隆弘 社長のスピーチでは今後のホンダの展開が述べられたが、内容は、ホンダが2030年までに世界で販売する四輪車の3分の2の電動化を目指すといった電動化技術の導入強化や、自動運転技術の開発など、今回は四輪がメインのミーティングと言える。ただ、電動関連では先日発表された日本郵便との協業の他、コミューターとしてモバイルバッテリーを用いた電動スクーターを開発、2018年に投入予定であることを明言。四輪との共用を視野に入れて開発されているらしく、今秋の東京モーターショーあたりでその全貌が明らかとなるだろう。

 二輪関連では①教育(00次安全)②未然防止(0次安全)③傷害軽減(2次安全)という3段階の安全技術の展示が行われた。①「ライディングトレーナー」は基本性能はそのままに、右側通行や様々な23の言語に対応したグローバル版へと進化。日本では普及している感があったが、海外メディアからは興味をもって迎えられたようだ。

 ②は、すでにホンダの四輪現行販売モデルは全車に適用されている「エマージェンシーストップシグナル」の二輪版。走行中に急ブレーキ(減速度が6m/S² を上回るかABSが作動した場合)を判断するとハザードランプが高速点滅、後続車にいち早く伝え、二輪ユーザーに安心・安全を提供するというものだ。すでに四輪で確立している技術だけに実用化は現実的で、発光体はLEDのみならず電球にも対応可能とのこと。プレミアムモデルから原付スクーターまで幅広く装備されることになりそうだ。

 ③「二輪車用エアバッグ」はすでにゴールドウイングに装備されているが、今回展示されたのはフロントのクラッシャブルゾーンの少ない小型スクーターなどに搭載できるもの。四輪車の側面などに衝突した時、頭部の負傷を低減させる“サブトン型”と言われるタイプだ。更なる熟成とコストなどの課題も残っているようだが、こちらも実用化はそう遠くなさそうな仕上がり。今後、二輪車のエアバッグ標準化が進むことで事故による負傷者の激減が期待される。

ライダーの危険予知・予測能力向上に役立つ安全運転教育機器である「ライディングトレーナー」。物陰からの飛び出しなど、危険なシーンを安全に体験可能だ。その最新モデルは地域特性を反映した専用プログラムを採用、23の言語に対応し、56か国での普及が可能に。
「二輪用エマージェンシーストップシグナル(ESS)」はシンプルな回路を実現したことで適用の拡大が容易に。展示車両はCRF1000Lアフリカツイン。
ホンダは二輪先進ブレーキ「コーナリングABS」を危険回避(1次安全)の車体制御技術として開発中だが、その先の傷害軽減(2次安全)が二輪車用エアバッグ。今回展示されたのは小型スクーターなどに搭載できる普及型。ライダーの頭部負傷を低減する。
2020年に高速道路での実現を目指す自動運転技術。写真は一般道での自動運転を実験するアコードをベースとするテスト車両。 シビックやCR-Vといったグローバルモデルと、ブラジルや中国などの地域専用モデルを展示。赤いボディの車両は近日中に日本で販売されるシビック。 昨年のパイクスピーク・ヒルクライムに参戦、4つの各車輪にモーターが取り付けられたNSXのEVコンセプトがデモ走行。実寸大の電動ラジコンのよう。 アメリカや欧州ではすでに販売(現地価格は約30万円)、フランスの工場で生産されるロボット芝刈機「ミーモ」といった汎用製品も展示。