幻立喰・ソ

第79回「×コンビニでつんつん ○コンビニでつるつる」


 
 あっという間に1月どころか2月も終わり、ですが去年の話です。
 2016年の年末ジャンボ1等当選番号は104組の167038でした(主催者発表でご確認ください)。当たりましたか? 私は当たりました。生まれて初めて5等が。
 10枚普通に買うと、連番はもちろんバラでも末尾0から9までが入っている親切設計なので、必ず6等300円は当たります。ゆえに例年2700円の赤字となるのですが、今年は5等3000円が当たりましたので600円の黒字になりました。たかが600円、されど600円あれば一由で豪遊できます。嬉しいです。

「あいかわらずバカだなおまえ。5等3000円と6等300円なら300円のプラスだろ。どこから300円くすねてきたんだ、この大どろぼう野郎が!」

 ところが今年の5等当選番号は98で、6等が8。ということで5等は6等との重複当選になって3300円もらえたんです。初の5等がおまけつき! ちなみに1等末尾も8ですから、当選金額は7億300円。もし1〜5等の末尾が6等と同じだったら、払い戻し金が増えちゃって大変です。そんなことは天文学的確率でしょうから心配しなくていいのですが、あり得ない話ではありません。もっとも私が心配する事柄ではありません。

 宝くじといえば、宝くじ売り場付きの立喰・ソがあります。珍しいのかどうなのか、私は一店しか見たことがないので珍しいと思います。「で、なにがおもしろいの?」とドストレートに言われると、ぐうの音も出ないのでスルーします(バリバリの現役店ですしね)。他にも兼業タイプの立喰・ソはいくつかあると思うのですが、思い出せません。思い出せないのか、憶えていないのか、そもそもないのか、探求するのもめんどうなので先に進みます。



新三河島


白鳥
東京都は荒川区にある宝くじ売り場を併設した某店。今年はここで買いましょうか。(2011年7月撮影) ゲームセンター店頭にあった高田馬場の白鳥。長期休業の後、幻立喰・ソに? (2008年1月撮影)

 
 コンビニで立喰・ソはどうでしょう。最近ではイートインスペースが併設されるコンビニも増えているので、カップめんやコンビニの弁当麺を好みによっては立ったままで食べれば、簡易的コンビニ立喰・ソ気分。つんつんはダメですが、つるつるは問題ないでしょう。もっと本格的にコンビニで調理したソを提供するところも何店かあるようです。しかし、店内に店舗みたいな構造物まであるのは、上諏訪駅近くのそば千くらいではないでしょうか。外には行灯やのれんもありましたし、口頭注文でもよさそうに思うのですが券売機もある本格派ですから、イートインコーナーという風情ではありませんでした。

 
 上諏訪駅には駅そばがないし、24時間年中無休でしたから利用者も結構いたと思うのですが、ソ客と鉢合わせしたことは一度もありませんでした(2回行っただけですが)。食べるスペースは厨房前のカウンター、その横の小さなL字型カウンター、厨房対面にも小さなカウンターがあったように記憶しています(私の記憶ですから幻カかもしれません)。詰めれば10人くらいは食べられたでしょう。でも、前記のように私が行った時は、私だけの貸し切りでした。



そば千


そば千
裏側入口。信州そばの行灯にのれん(丸まって見えにくいですが、出窓部分に配置)まで装備した本格派でした。(2015年7月撮影) 表側入口。小さな看板はありますが、知らなければまさか店内に立喰・ソがあるとは思わないでしょう。(2015年8月撮影)

 
 ソの客はいなくても、コンビニの客は結構いました。コンビニメインですからレジ渋滞のときなどはじっと待っているしかありません。コンビニの中で、堂々とぼーっと突っ立っていられるという、出来そうで出来るけれど誰もやらない貴重な経験をしながら大人しく待っていると、おばちゃん(奥さん?)が、「すみません、お待たせしました」と小走りで厨房に入るやいなや小鍋でお湯を沸かし始めました。昼食時などの混雑時は予めお湯も沸かしてあるのでしょうが、閑散時はお湯を沸かすところからスタートです。大手チェーンでは考えられないですが、おばちゃんがひとりでやっている個人経営の立喰・ソではときどき目にします。考えようによっては、銀座のお座敷寿司(もちろん行ったことはありません)状態です。これもまた贅沢なひとときです。「立喰・ソは、待たずにパッと食べられる」という皮算用はタヌキやキツネに任せておけばいいのです。ソだけにね(意味不明)。



そば千


そば千


そば千
裏口を入るとすぐに券売機、厨房とL字型カウンターがお出迎え。向かい側にもカウンターがあったと記憶しております。(2015年8月撮影) 末期は24時間ではなく、ソ部門の営業は朝9時からだったようです。トッピングはなかなかの充実っぷりでした。(2015年8月撮影) アホみたいな大盛りのネギは、100円プラスのネギ特盛りトッピングです。ネギ好きには嬉しい悲鳴です。(2015年8月撮影)

 
 それでも5分も待たず、まさに出来たてのソが目の前に出てきます。コンビニの店内で出来たてのソをすするというのも、そうそう出来ることではありません。観光客がわざわざ上諏訪まで来てコンビニ内で立喰・ソを食べることに喜びを見いだせるのかどうかは、定かではありません。これもまたここでしか出来ないアトラクションとSNSで発信すれば大行列が出来たかもしれません。幸いと言いますか不幸にして大行列ができる事もなく、こんなに楽しいコンビニ立喰・ソは2015年冬に、デイリーヤマザキからフ○ミマに宗主替えすると、そば千は残念ながら幻立喰・ソになってしまいました。
 昨今は人手不足や競争激化などコンビニ業界も厳しい状況のようで、手間のかかる立喰・ソを兼業していくことは難しかったのかもしれません。前記したようにコンビニでソを提供してくれるところは何店かあるようですが、他には行く気が起きないのです。私にとってコンビニ立喰・ソはそば千以上でも、そば千以下でもない、ナンバーワンでオンリーワンだったのです。え? そんなこと言って、ほんとは探して行くのがめんどくさいだけだろって? あっ、あなたは名探偵明智小五郎のひ孫ですか!(いつもどおりオチはなし) 

●立喰・ソNEWS 2017 緊急告知

2017年3月1日、師匠の文春オンラインのコラムも更新です! 今回は製麺所直結型です。ぜひご一読をhttp://bunshun.jp/articles/-/1512

●立喰・ソNEWS 2017 

ひさしぶりに関西方面への出張がありました。ついでにというか、これ幸いと無理矢理時間を作って手薄になりっぱなしの関西立喰・ソを何店か巡ってまいりました。大阪は奥が深いですね。時間があまりなかったので、文字通り走り回りましたが、新たな発見もあって楽しかったです。写真は関西地方立喰・ソの雄たるMそばです。店頭にたくさん張り出されたメニューが食欲をそそります。注目してほしいのはスタミナそばの下にある「きつね・たぬき320円」です。今や知っているひとだらけの東西立喰・ソあるあるの大定番ネタですが、次回じっくり腰を据えてヨタ話を聞いていただこうかと考えております。どうぞお楽しみ、なきように。



都そば
Mそばは関東にもあります。昔はそこそこあったのですが、今や数店のみ。京成電車の駅には結構ありました(今でも数店残っています)ので、京成っ子の私はご幼少の頃からなじみの一杯。でも、やっぱり本場関西とは味がまるで違いました。(2017年2月撮影)

バソ
バ☆ソ
日本全国立ち喰いそば全店制覇を目論む立ち喰いそば人。やっと1000店以上のデータを収集したものの、ただ行って食べるだけで、たいして役に立たない。立ち喰いそば屋経営を目論むも、先立つものも腕も知識も人望もなく断念。で、立ち喰いそば屋を経営ではなく、立ち喰いそば屋そのものになろうとしたが「妖怪・立ち喰いそば屋人間」になってしまうので泣く泣く断念。世間的には3本くらいネジがたりない人と評価されている。一番の心配事はそばアレルギーになったらどうしよう……。


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