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Honda CRF250 RALLY

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こちらの動画が見られない方、大きな画面で見たい方はYOU TUBEのWEBサイトで直接ご覧下さい。https://youtu.be/h-c-1qpygmM 本田技術研究所二輪R&DセンターでCRF250 RALLYの開発責任者を務めた杉山栄治さん。ご自身も相当なオフロードフリーク。CRF250Lの開発も担当した。
「チームとしてはモーターサイクルショーのままの仕様で出そう、が密かなモチベーションでした。ツーリングバイクとして快適性をもたせ、所有感も満たす仕上げとしています。オンロードでの走りはCRF250Lで定評のあるところですが、サスペンションストロークの延長やリアリンクの専用設計、減衰の特性もソフトにしています。また、可動式チェンジペダルの採用や、サイドスタンドの底面を拡大するなど、細かくオフロードへの親和性を高めています。燃料タンクはXR-BAJA同様13リットル程度を望む声も多かったのですが、ベースが燃費の良いエンジンなので、スタイル、重さを考慮して10リッターに設定しました。ライダーとして走って楽しめるのはもちろんですが、ガレージの前で洗車している時など、ご近所のバイクに乗らない方とも、良いバイクだね、何㏄? と、会話が弾むような存在になれば、と走りもスタイルも妥協無く作り込みました」。
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ライダーの身長は183cm。写真の上でクリックすると両足時の足着き性が見られます。

 2016年春、モーターサイクルショーに展示されたCRF250 RALLYのコンセプトモデルを指さして、クールでオシャレな髪型の事情通が耳元でささやいた。「ほら、市販車と同じコーションラベルがタンクにも貼ってあるでしょ。このまま出すよ、っていうサインだよ、間違いない」
 不適な笑みを浮かべるその顔を今も鮮明に思い出す。
 
 その予言はホントだった。いや、正確にはあのままどころか、フロントにφ296mm径のフローティングディスクまで奢られている。塗装となったブラックの部分が見せる艶。全体のスタイルにも質感が滲み、まるでワークスマシンのような存在感がある。スピード感がありカッコ良い。
 
 それもそのはず。CRF250 RALLYはTeam HRCがダカールラリーで走らせるCRF450 RALLYと同じデザイナーが腕をふるった作品だからだ。
 
 開発テーマは「ザ・ダカールレプリカ 週末の冒険者へ!」である。
ダカールラリーは年イチのイベントだが、このCRF250 RALLYは毎週出番を控えたツーリングバイクとしてデザインされたのである。
 
 週末のワークスマシン、スリムで背が高いというオン・オフモデルらしい特徴と、ダカールレプリカたる黄金比を造るため、ベースとなったCRF250Lよりもあえて車高を上げている。カウルやLEDの灯火類など、結果的に250というクラスを飛び越えた存在感を漂わすモデルになった。
 
 また、スタイルを決定付けているカウルは、ダカールラリーマシンの象徴とも言える。と、いうのも、現在FIMのラリーレギュレーションでは、排気量450㏄を上限としたルールがあり、ワークスもプライベーターも大多数が450㏄単気筒エンジンで闘っている。同じ排気量から生まれるパワーでライバルに差を付けるには、マシンの空力特性が実はとても重要だ。ダカールラリーは、2週間で9000㎞を走破するため、ライダーの快適性も重要だが、今や高速域での運動性、ハンドリング特性、冷却性能にも関わってくる空力がとても重視されているパートでもある。
 
 風洞実験を積み重ねた技術は惜しみなくCRF250 RALLYにも注がれている。カウルのサイドパネル、スキッドプレート、ナックルガードに入った細いスリットなどはそうした空力性能を高めるため、CRF450 RALLYにも採用されているものだ。空力居住性を確保しながら、整流された空気の流れが車体にまとわりつくことでハンドリングを重くするのを防ぐため、空気を巧く剥離させるための技術だ。
 ワークス直系のフィードバックを語れる週末冒険マシン。そんな250㏄って想像しただけでもワクワクする。

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異径2眼ライト、カラーリング、そしてボリューム感と縦横比。CRF450 RALLYに引けを取らない存在感を持つCRF250 RALLY。ワークスマシンの弟分。デザイナーが同じなだけに正真正銘の兄弟といえそうだ。

 
 燃料タンクもスリムなスタイルをキープしたまま増量された。300㎞の航続距離を確保する。燃費の良いCRF250のエンジンならば10リッターで行ける。これは開発責任者を務めた杉山栄治さんが導き出した数値だ。 
 自身もCRF250Lに乗る杉山さんは、街乗りで30km/l以上を走らせる。ツーリングなら350㎞も不可能ではないという。燃費は乗り方で変化するが、スリムなスタイルをキープしながらツーリングバイクとして不安のない余裕ある巡航距離を与えたという。
 
 CRF250 RALLYにはABS仕様も用意された。オン・オフモデルでしっかりとABSの良さを味わって欲しい、とセッティングにも拘った。多くの国に様々な機種を造るホンダ。そのノウハウを使ってセッティングを煮詰めたという。CRF1000Lアフリカツインでも好評を得たABSと同様、期待を裏切らない制動性能と制動感を持っているという。後輪のみキャンセルすることで、望むならダートでブレーキターンや、スライドのキッカケを作る高度な操作も可能だ。
 
 LO/HIともにLED光源のヘッドライト、LEDウインカーの電装系も、春に見たプロトタイプそのまま。開発チームは「このまま出して欲しい」という期待を裏切らなかった。
 
 そうなると何時出るのか、である。2017年、なるべく早いタイミングで出したいとHMJは言う。すると、Xデイは復帰後5度目のダカールラリーがアルゼンチンのブエノスアイレスへとゴールする、1月14日か?! 
 
 それは冗談だとしても「すでにモーターサイクルショーなどで露出をされ、期待されているモデルです。11月半ばの段階でプレスにお見せしている、というところからも想像いただけると思います」と意味深発言からもXデイが遠く無いことを匂わせる。
 
 とある事情通は「WR250Rよりは低く抑えるハズだ」とささやく。
 すると、価格はABS仕様が65万円を切り、スタンダードが60万円あたりか。為替にも影響される海外生産ということもある。待っている冒険者達は「もうこれ以上週末を無駄にできないぞ」とその時をクビを長くしている。
 CRF250 RALLYがクラスを越えた出来映えだけに、一日でも早くスタートボデューム(お店)にその姿を見せて欲しいのである。
(レポート:松井 勉)

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リンクを専用設計して260mmのストロークを与えたリアサスペンション。ビギニングはソフトな設定としたという。 CRF250Lと同じエンジンを搭載する。先だって行われたマイナーチェンジでパワーとトルクを向上させている。スロットルボアの拡大、エアボックスとスロットルボディーを結ぶコネクティングチューブを100mm延長するなどしてパワー特性も煮詰めている。 CRF250 RALLYでは450RALLYの特徴であるスリムで背の高いスタイルを踏襲するためと、スキッドプレートと前輪のクリアランスを得るために、フロントサスペンションのアウターを30mm延長している。ストロークは250L同様250mm。アウターを延長したことで、フロント回りの剛性感を損なわないために、フロントアクスルシャフトを大径化しφ17mmの物を採用している。φ296mmのウエーブ形状プレートのディスクはフローティングマウントされている。重量増に対応するためと、レプリカたる以上踏襲する、という所有感にも応えるため採用したという。
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カーボン調ハウジングの奥に覗くLED異径2眼ライト。CRF250 RALLYの特徴だ。ウインカーもLED光源。ナックルガードの下側にスリットがあるのが解る。カウルステー、メーターの上に見えるのはRAMマウントなどデバイスを取りつけるのに便利なアクセサリーバーを渡している。 デジタルメーターにはバーグラフ式の回転計も備える。メーター上のアクセサリーバーはハンドルと同じφ22.2mmとして汎用クランプなどを取りつけやすい仕様としている。右下にあるのはABSのキャンセルスイッチ。 ハンドルバーはφ22.2mmのコンベンショナルなバーを使う。メーター類をフレームマウントするためハンドリングは軽快感が出ているはずだ。
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燃料タンクキャップはエアロプレーンタイプ。ツインチューブフレームの間から少々顔を出す10リッタータンク。カウルの継ぎ目にあるスリット、段差のスリットなど、空気の流れを改善するための空力パーツだ。 シートは前後に長いCRF250L同様の形状のものを採用。サイドカバーなどボディーパーツとも段差がなくライダーの動きを妨げないスタイルだ。 リア左側のサイドカバー部に設けられた小物入れ。短い物であればタイヤレバー、フロントのチューブ程度は入れられる。アイディア次第で使って欲しいという。キー付きだ。(※写真の上でクリックすると開いた状態が見られます)
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空力特性を考慮した段差、スリットなどボディー表面を流れる風を剥離させることで左右への動きやすさを出す手法が与えられている。ラリーマシン、450RALLYでは徹底して行われた空力の煮詰め。ツーリングバイクとして空力居住性と運動性をバランスさせたヒミツがここにある。 細かなグラフィックまでCRF450 RALLYをフォローする。荷掛フックの装備などツーリングバイクとしての機能部品も装備する。 LEDウインカーが嬉しいCRF250 RALLYのテールエンド。マフラーも3室構造から2室構造へ。ヘッドパイプもマフラーまで同一内径だったものが、途中で径が太くなるパイプを採用。パワフルな特性に貢献する。
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●CRF250 RALLY 欧州仕様主要諸元
■全長×全幅×全高:2,210×900×1,425mm、ホイールベース:1,455mm、最低地上高:270mm、シート高:895mm、装備重量:157kg■エンジン種類:水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ、総排気量:250cm3、ボア×ストローク:76.0×55.0mm、圧縮比:10.7、最高出力:18.2kw/8,500rpm、最大トルク:22.6Nm/6,750rpm、燃料供給装置:PGM-FI、始動方式:セルフ式、点火方式:フルトランジスタ、潤滑油容量:1.8L、燃料タンク容量:10.1L、クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング、変速機形式:常時噛合式6速リターン■フレーム形式:スチール・ツインチューブ、キャスター:28.1°、トレール:114mm、ブレーキ(前×後):油圧式シングルディスク × 油圧式シングルディスク(ABSタイプ設定)、タイヤ(前×後):3.00-21 51P × 120/80-18M/C 62P、懸架方式(前×後):テレスコピック倒立フォーク × プロリンク。

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