今年もEICMA(ミラノショー)の季節がやってきました。2016年は2年に一度、10月にドイツ・ケルンでINTERMOT(インターモト)が開催される偶数年で、そこで主立ったモデルは発表されてしまうんじゃない!? 的な話はあるのですが(まぁ毎回言われてるんですけど……)、やはり毎年盛大に開催されるEICMAに、その影響力を期待して多くのメーカーがEICMA発表用にニューモデルを隠しているのです。と言いながら、今年もワタクシ、ライターのコウノが、ミラノにやってきました。
EICMAの魅力は、やはり盛大な発表会とそれに熱狂する欧州の人々を見るのが楽しいからなんです。とはいえここ最近はドイツ人のお友達も増えたので、インターモトに行きたい気持ちも高ぶっております。
EICMAの魅力は、やはり盛大な発表会とそれに熱狂する欧州の人々を見るのが楽しいからなんです。とはいえここ最近はドイツ人のお友達も増えたので、インターモトに行きたい気持ちも高ぶっております。
ではEICMA速報、行きましょう。今年は11月8~9日がプレスデー、11~13日が一般公開日です。そしてプレスデー前日の月曜日、今年は11月7日にEICMA会場とは異なるミラノ市内でドゥカティ、ホンダ、ヤマハがプレス発表会を行いました。その三会場は絶妙に距離が離れているにもかかわらず、開催時間が接近しているというメディア泣かせの月曜日になりました。
DUCATI
まずドゥカティ。開催前から噂が流れていた「スクランブラー・カフェレーサー」を発表。また長くなった足周りやノビータイヤの似合い具合など、かなり高めのダートへの本気度を感じる「スクランブラー・デザート・スレッド」が発表になりました。
そしてドゥカティ・ブランドからは「ムルティストラーダ950」が登場。ムルティ・ワールドへの登竜門となると思われる車両ですが、フロント19インチホイールは意外でした。ムルティの中でも1200エンデューロに近づくディテールは、“どこでも行ける感”とフロントホイール大径化による顎が上がったスタイリングが生む“余裕感”を狙った、と言うところでしょうか。
またモンスターでは新デザインが与えられた「1200」と、オーリンズ製サスペンションやブレンボ製のハイパフォーマンスキャリパーなどを採用した「1200S」が発表されました。Sモデルが採用するグレーのカラーリングはなかなか新鮮でした。またより幅広いキャリアのライダーをドゥカティ・ワールドへと誘う「797」も発表。モンスターシリーズを拡充し、より強固なモンスターの世界を構築した、と感じました。
そして最後は「1299スーパー・レッジャーレ」です。すべてにおいてスーパースポーツカテゴリーの前例を覆す、と気合いの入った発表で、エンジンからニョキッと生えたようなフロントフレーム(というかモノコックのメインフレーム)、そしてスイングアームは専用設計のカーボン製。ホイール&カウルもカーボンなのです。ローンチにはケーシー・ストーナーも登場し、会場は大いに盛り上がりました!
会場にはMotoGPを戦うアンドレア・ドビツィオーゾ、スーパーバイクを戦うチャズ・デイビスが登壇したほか、最後には今回発表した車両の開発陣&関係者が登壇して写真撮影を行うなど、ドゥカティらしい発表会となりました。
Honda
次はホンダ。移動に手間取り、到着したときすでにカンファレンスが始まっていました(汗)。まずは「CB650F」と「CBR600F」。欧州では人気の、直列4気筒エンジンを抱くミドルスポーツネイキッド&ミドルスポーツモデルです。
またオフロードモデル「CRF250L」をマイナーチェンジ。ボディワークを一新し、オフロードにも適したABSを搭載するなどしました。そして、日本でも“参考出品モデル”としてモーターサイクルショーなどに展示された「CRF250ラリー」を発表。フレームマウントのカウル&左右非対称のLED二眼ヘッドライトなど、ダカールを戦うホンダのラリーマシン/CRF450ラリーのスタイリングを彷彿とさせるデザインが与えられていました。オフロード走行も考慮したABSが採用されるなど、スモール・アドベンチャーモデル・カテゴリーのを牽引する存在になるのではないかと考えます。
インターモトで発表された待望のスーパースポーツモデル/CBR1000RRファイヤーブレードSP/SP2のベースとなる「CBR1000RRファイヤーブレード」も発表されました。SPがレーストラックに照準を合わせたディテールを採用していたのに対し、今回発表されたのはいわゆる“つるし”のファイヤーブレード。SPモデル同様に、RC213V-Sのシステムをベースに総合的な電子制御システムが採用されています。興味深かったのが放映されたPV。クリエイティブシーンで働く男が、仕事もプライベートも情熱とハイクオリティを両立させながらタイムマネージメントを行う中で、街乗りからサーキットまでCBR1000RRファイヤーブレードを走らせるというところ。ただ速いだけのスーパースポーツじゃない、電子制御システムの充実によりライフスタイルにもアプローチできるモデルなんだよ、というあたりをアピールしているあたりにスーパースポーツの新しい一面を見ました。
そしてお待ちかねの「X-ADV」。昨年のEICMAで“シティ・アドベンチャー・コンセプト”として発表されたモデルの市販バージョンです。見た目は、昨年会場で見たコンセプトとほとんど変わらないでしょうか。水冷4ストロークOHC直列2気筒745ccエンジンに、Hondaの独自技術である二輪車用DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)を標準装備。これで街もワインディングも、オフロードも走っちゃいます。どんなモデルに仕上がっているか、アフリカツインとのコントラストもとても興味深いです。開発陣が登壇し、デザインスケッチやクレーモデルを紹介するなど、気合いが入ってます。
最後はマルク・マルケスやダニ・ペドロサ、藤波貴久、ホアン・バレダなど2017年にロードレース、モトクロス、ラリー、トライアルを戦うライダーが登壇し、ホンダの二輪モータースポーツ参戦体制を発表(詳細はこちらhttp://www.m-bike.sakura.ne.jp/?p=120746。ワタクシは、イベント後の余韻を楽しむ暇も無く、移動です。
YAMAHA
さてトリはヤマハです。もう大分バテてました。こちらも遅れて到着したためカンファレンスが始まってました。会場では青/赤/白と、フランス国旗のようなトリコロールでモデルカテゴリーを分け発表会が進行していきます。
青はヤマハのレーシングスピリット、ということでインターモトでも発表された「R6」です。600スーパースポーツ唯一の電子制御サスペンション搭載車が、ちょっと勢いが薄れてしまった欧州600スーパースポーツ・カテゴリーを盛り上げてくれることを大いに期待しています。
赤は、ヤマハのパッションと言うところでしょうか。ここで発表されたのは2台の興味深いモデル。その一台は「T7 コンセプト」です。ヤマハのラリーシーンで圧倒的な知名度を誇る“テネレ/XT600Z”のスピリットを持ったモデルと紹介されましたが、いわゆる歴史的モデルの近代的な解釈でのアプローチなんでしょうね。ヤマハのラリーチームとイタリアにあるヤマハのR&Dセクション、そしてヤマハのモデルデザインを手がけるGKダイナミクスがトリオを組み、このマシンを開発。700ccのCP2エンジンということなので、MT-07系の270度クランクの水冷2気筒エンジンが搭載されています。ラリーマシンのような、それでいてカスタムマシンのような、じつに興味深いモデルでした。
またこの赤のセクションでは、「XSR900 アバルト」を発表。XSR900をベースにカフェスタイルのカスタムを施し、“アバルト”スピリッツをパフォーマンス的にもスタイリング的にも具現化したモデルです。う~ん、このあたりはヤマハ・ヨーロッパのお家芸的な巧さがありますね。素直に格好いいです!
最後は白のセクションで発表されたMAXシリーズ。今回の発表会自体が「TO THE MAX」となってましたので、こちらが本丸かと。で、新型の「TMAX」です。電子制御スロットル「YCC-T」や軽量な新設計フレーム、そしてリンク式リアサスペンションが採用されています。またエンジン特性を変更して走行特性を変更できるD-MODEを搭載した「TMAX SX」、そしてSXをベースにクルーズコントロールや電動スクリーンなどを搭載した「TMAX DX」をラインナップ。限定車は別として、TMAXで仕様の異なるモデルファミリーをラインナップしたのは初めてではないでしょうか?
その発表会の最後に、やっぱりやってきました。はい、この人。バレンティーノ・ロッシです。もう会場騒然ですよ。やっぱり華があります。
ということで、すでに疲労困憊ですが、これからEICMA2016初日に行ってきます!