日本全国津々浦々の鉄道で殺人事件を巻き起こす西○京太郎先生。鉄のみなさんには、トリックがトリッキーすぎて評判が芳しくないようです。私は読んだことがないので詳しくは知らないのですが、新作が続々出ていますし、テレビドラマにもなる人気作品ですから、一般のみなさまにはたいした問題ではないのでしょう。それよりも、こんなに殺人事件が起きたら鉄道警察の大活躍どころか、メンツ丸つぶれの大責任問題になりそうですが。

　
　前回の立喰・ソニュースでちょこっと書かせていただきました私の充実した夏休みですが、数少ない友人のほぼ全員から「3日で回れるはずがない。お前は西○小説の殺人犯か！」と叱咤激励（激励なしバージョン）をいただきました。確かに3日で青森、秋田、山形、茨城、長野の10店を巡るのは、○村先生ばりのイリュージョンを駆使しても難しいかもしれません。先生の作品にもまだ登場していない（と思う）プライベートジェットを使えば可能かもしれませんが、残念ながら私はまだ持っておりません（正確には永遠に持てない）。ホンダジェットもたいへん素晴らしいのですが、どうせ持つならダグラスDC-7CかコンベアCV880がいいです（あっ、DC-7はジェットじゃないか）。
　トリックの種明かしをすると、3日の夏休みに土日をプラスした5日間で回ったということです。こんなもんトリックと言わないですが。　
　以下私の夏休み日記です（おもしろ果汁1パーセント未満）。

　初日はE5系はやぶさ号で八戸へ。東京から3時間ちょい。第三のビールもワンカップも空けて、午前中からいい調子で到着した第一目標は、営業時間になってもシャッターが下りたまま。早くも暗雲の予感ですが、午前中から酔っ払っているので気にしません。しばらく待ちましたが、開く気配もないのでバスで第二目標へ転進。ま、こんなもんですね私の場合。
　路線バスの中で呑むわけにもいかず大人しくしていると、八戸駅前よりも遙かに賑わう本八戸の中心街に到着。デパ地下にあるつきだ亭に行ってみれば、あれまあ臨時休業の貼り紙が。未だあるようなないような当コラムのローカルルールに従い、いきなりの実名ということは……帰って確認（2016年9月末）したところ、デパートのWEBサイトのフロアガイドから、つきだ亭の店名が消えておりました。ということは臨時休業ではなく、残念ながら幻立喰・ソ入りしてしまったようです。間に合わなかったか……まあ、こんなもんでしょう私の場合。

　2日目、午後から台風来襲の予報で近場に目標変更。E531系普通電車で大仏様で有名な牛久へ。第三目標の情報は少なく、営業時間も定休日も不明です。しかも駅から結構離れており40分ちかく歩いて到着するもそれらしき立喰・ソは見当たりません。平日のお昼時ならやっているだろうと思ったのに……きょろきょろうろうろ行ったり来たり。事件が起きれば不審者候補オンリーワン状態でまごつきうろつき、それらしき店（家？）はありましたが、やっているのか、すでに幻立喰・ソなのか不明のまま撤退です。目の前にバス停があり、帰りは歩かず済んだのが唯一の慰めでした（すんなりバスで帰れた訳ではないのですが、無駄に長くなるしつまらないので割愛）。
　喜劇という名の悲劇はまだまだ続きます。再びE531系普通電車で水戸に移動し、駅前というか駅下というか雨に濡れず行ける第四目標は、間違いなく営業時間内のはずなのに、シャッターがらがら状態の四打席連続三振。ひょっとしてすでに幻立喰・ソに？　と案じましたが、後日再訪したところ、どうやら台風で早じまいしたようです。なんとも間が悪いのですが、ええ、私ですから、そんなもんでしょう。
　帰りはすっかりめんどくさくなったのでE657系ときわ号です。ときわ号とひたち号は全車指定席なので、指定席特急券か座席未指定特急券が必要です。座席未指定券？　聞き慣れないと思いますが、その名の通り座席の指定がない指定席券です。自由席特急券ではなく、昔あった立ち席特急券（立ち席ってどんな席なんだ？）に近いのですが、値段は指定席券と同じです。ややこしいですね。水戸好きな外国人観光客の方は理解できるんでしょうか。座席未指定券って英語でどう表記するのか気になります。JRは外国人観光客サービス向上のため、英語表記のきっぷも発券してもらえるみたいですから、外国人のふりをしてお願いしてみようと思いましたが、四連続三振のショックからか、ワンカップ1本で爆睡してしまいました。

　どーせ私なんかと、どうでもよくなってきた3日目、山形のえらい人が「うちの新幹線もE7みたいにしてよ」と言ったとか言わないとかで、なんとも表現できない変な色になったE3系つばさ号で山形へ。色が変わっても到着時間は変わるわけもなく山形に定時着。さすがに立喰・ソ神もまずいと思ったのか、そうでもないのか山形駅前の第五目標、天童駅前の第六目標は難なくクリア。何ごともないと短くても読む方も楽でしょう。

　4日目はE6系こまち号で秋田へ。第七目標は年中無休24時間営業のたのもしい立喰・ソです。駅からちょっと離れていましたが、日の高い内からすでに出来上がっているみなさんで大盛況でした。軽いアウエー感の中、郷に入れば郷に従えということで嫌々ながら瓶ビールを注文。アテも充実しています。ほんと嫌々ですが、ソの後にはウーロン杯も呑んでしまいました。2階席は眺めもいいしパラダイスです。近所にあったらたいへんなことになります。さらに24時間営業ですから、油断すると住人と化してしまうかもしれません。そんな感じの地元の方もちらほらと。
　身も心も完全に出来上がり「どうせ次もシャッターがらがらだろ、もうどうでもいいわ」的厭世心をなんとか振り切り、第八目標に向かったのはすでに夕方近い時刻。帰宅する学生さんに混じって、酒臭いおっさんは1時間ほど701系普通電車に揺られ、座れたもんだからあやうく寝過ごしそうになりながらもなんとか到着。するとまあ、思ったとおりシャッターがらがら。帰ってから調べると（行く前に調べておくのが常識ですが）平日昼間の3時間くらいしか営業していない上に、列車の本数極端に少ないという、酔っ払った不埒な立喰・ソ人は立喰・ソ神が許さない難易度A級店でした。
　次の列車までの1時間、特にすることもなくぼーっとベンチに座っていたら、はたと気がつきました。あっちは24時間営業なんだから、こっちを先に訪問すればよかったんじゃないの？……バカまるだしです。再び701系電車に揺られ第七目標に戻り、最終こまち号の発車寸前までどっぷり飲んだくれたことはいうまでもありません。

　魔法のきっぷ大休パス（東日本版）は、4日間で魔法が切れて紙切れになります。だから最終日は夏の18きっぷの残り1回分を使います。実に効率的で計画的です。特急に乗れませんから、今回の行脚で唯一国鉄の残党である211系普通電車で下諏訪へ。ブームの山歩きでしょうか、それっぽい格好をしたおじちゃんとおばちゃんだらけです。かつて中央線の臨時夜行列車は下りばかりで上りはほとんど設定されていませんでした。「それは山に行ったきり帰ってこない（こられない）人がたくさんいるからだよ」という都市伝説（じゃなくて山岳伝説か）がありました。真相は夜行じゃなくて昼間に帰ってくるだけでしたが、「おじちゃんおばちゃんどもが遭難しませんように」と心で手を合わせました。やることもないので。

　第九目標、第十目標は、超有名な諏訪大社の上社ではなく、下社の秋宮と春宮の門前です。駅から歩くと結構な距離がありますが、神社仏閣巡りは修行の場、覚悟という名のあきらめ状態でしたが諏訪大社のお慈悲か、立喰・ソ神のご加護か、レンタサイクル（しかも電動）が駅の近くにありました。おかげですいすい進み、第九目標は立喰・ソというよりは一般店的ながら、愛想のいいおじいちゃん、おばあちゃんに温かく歓待され無事終了。やや迷いつつ到達した最終目標は、門前にそれらしきお店はあったのですが、すでに幻立喰・ソになっておりました。

　こうして私の夏休みは十打数四安打と散々の結果ではありましたが、四割打者ってことにもなりますか？　りっぱなもんじゃないですか？　ないですね……最後に5日間も立喰・ソに没頭できた感謝の気持ちを込めお詣りさせていただきました。お参り第一、ソは第二が本筋でしょうが立喰・ソ教ですから許してください。このお参りの成果、なんと、すぐに出ました！（以下ニュースへまだまだ続く）