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前回からの続きです。当初の予定は金沢から一気に能登半島を一周して富山へ行くという計画をしていました。あまり距離を考えずに行けるかな。という、ゆるゆるな計画を徳さんことカメラマンの徳永 茂さんに相談(徳さんはバイク雑誌を中心に活躍しているカメラマンさんで、日本のあらゆる場所を走っているので、絶景スポットのスペシャリスト)。 すると「能登半島? 400キロぐらいあるよ!」とのこと。しまった、そんなに距離があったか…。どうしよう、初歩的なミス。距離をリアルに考えていなかったのです。でも途中から、別に1周とかにコダワる必要もないのかもな、と思いゆっくりと能登半島を走ることにしました。 とりあえず「能登半島に行ったらぜったいに岩牡蠣食べてきてね」と知人にオススメされていたので、その目的を果たそうとバルカンSを走らせていたのでした。 しかし、あらゆるお店に「生かき直売所」という看板が出ているのにも関わらず、どこもかしこもシャッターが閉まっているではありませんか。行こうとしていたお店はたまたまスタッフさんがいて「あ、今はシーズンオフなんですよね〜」とのこと…。超ショック! 岩牡蠣目指して走っていたのにこの土地でいただくことができないなんて。絶望的な気持ちで、近くで休憩することに。あまりに暑くてヘロヘロになりながらバイクを停めたその場所は…。
能登中島駅内には郵便車『オユ10』が留置されていました。昭和32年〜46年の14年間に渡って製造された郵便客車です(能登中島駅に保存されているオユ102565は昭和44年製造)。北海道から九州までの各地を車内で仕分けしながら走っていたそうです。郵便物を地域によって仕分けられるようになっていて、列車の中にこのような光景があるのは不思議。また、偶然にも観光列車の里山里海号も観ることができました。外に出るとタクシーが停まっていたので岩牡蠣が食べられるところはないかを質問(笑)。すると「あー、今は何もないよ。やっぱり冬に来ないと。冬だと牡蠣もあるし魚は脂が乗っていておいしいんだけど。夏は何もない」とタクシー運転手のおじさんは断言しておりました。またもやガーン!
せっかく北陸に来ているのに海の幸をいただけないなんて私は一体何をしにきたのかしら…。でも私にはもうひとつ目的がありました。能登半島と能登島をつなぐ橋を見たかったのです。輪島まで行って、戻りつつツインブリッジのと橋で能登島に渡り、能登島大橋で戻って和倉温泉に泊まるという計画(この日富山県まで行く体力も気力も残っていなかったので和倉温泉宿泊プランにあっさりと変更したのでした)。
私が宿泊したホテルは最高でした。湯快リゾート金波荘というところに宿泊したのですが、温泉付き、2食付きで6000円ちょっと。しかもマッサージチェアがあってお風呂上がりはもみもみできます。なぜか2段ベッドという謎な部分も含めて気に入ってしまいました。それにチェックアウトの時間もゆっくりの12時。ツーリング旅をしていると早朝に出発するのがいいのかもしれませんが、この日は大雨。チェックアウト頃に止んでくれればいいなー…と思いつつ待機していたのですがダメでした。
フロントのロビーでふたたび待機。横にいた仲良し3人組のおばさま達はバスを待っていらっしゃいました。私がヘルメットやらレインウエアやらを持っているのを見て「あなたバイク? おひとりで?」と話しかけられました。女性陣は富山県から来ているとのこと。私も富山県経由で帰りますとお話したところ、ランチにきときと寿司をすすめられました。しかも氷見本店を(海が近くてネタが新鮮だそうです)! 雨が止むまで待ちたかったのですが、天気予報をチェックすると夕方まで降り続けるようだったので、無理やりテンションをあげて、きときと寿司のためにバイクを走らせることにしたのです。
ホテルを出て早々に見つけたのが「和倉昭和博物館とおもちゃ」という施設。入り口にはいすゞの赤い消防車があるし、これはもう寄らずにはいられません。雨も降っているし、バイクに乗るより博物館です。高校生以上の入場料は700円。もう、ありとあらゆる物が昭和でした。雨が降っているからなのか誰もいません。貸切状態です。蓄音機から鳴っているような昭和の音楽も心を揺さぶります。
クルマやバイクに生活雑貨や看板などが数多く展示されていました。ここの館長さんに是非ともお会いしたかったのですが、日曜日しかいらっしゃらないとのこと。もともと趣味でコレクションしていた物をここに展示しているそうです。とにかく数が多くて、ポスターや看板とかも見ているだけで楽しいです。昭和20年代の生活小物なんかをみていると海外のデザインを意識したような物も少なくなく、かなりオシャレ。このままのデザインで今、製品化したら売れそうだなと思う物もたくさん。だけどそこまでお金かけられないか…とも思ったり。
博物館を満喫したあとは、ひたすらノンストップできときと寿司を目指しました。ここはカメラマンの徳さんもオススメしていた場所でもあります。 はぁー、ようやく最後の最後でお魚が食べられると大喜び。雨のためか、あまり人がいなく、しばらくしたら私ひとりだけという状況。そしてここは回転寿司なのですが、ネタがお噂通り、超新鮮。夏の貝三種は、煮はまぐり、さざえ、煮あさりなのですが、どれも特徴のある歯ごたえで感動しました。
さざえに至っては、口の中で反発してくるほどのコリコリさ。はぁー。やられました。完全に。絶品なお寿司でした。そうこうしていると、外は晴れ間に。今の天気なら東京まで帰れる! そうして15時ごろから休憩しながら無事に東京へと戻ったのでした。ちゃんちゃん。
ちょっと面白い話をしますね。いつもこうして他のバイクをインプレして帰ってきて愛車のXLに乗るときに浮気した気持ちになるんです。バルカンSは年上の上品な紳士。XLはやんちゃボーイ。バルカンから降りてXLに乗り換えるとき、バルカンは、先ほどと変わらないお顔でわたしが他のバイクに乗り換えるときも澄ましているのです。それがまたキュンときてね。バイクから降りて「4日間、どうもありがとう。無事に快適に旅ができたのはあなたのおかげです。ありがとう」とヘッドライトについた虫を落としながら別れを告げたのでした。 そしてふたたび跨ったXL。え? これがわたしが4年間も連れ添ったバイク? 車高が高いし、ミッドコンだし、なんかガタガタ言ってるし。わたしが跨った時は完璧にバルカンさんのポジションに体が慣れてしまっていたのです。 たった4日間しか共にしていないのに・・・。 すごく違和感を覚えながらもその違和感をXLに伝わらないように平常心で運転。「旅はどうだった? おいしいものたべた?」といつものように嬉々として話しかけてくるXLさんに私はいつもの一体感を感じられず戸惑っておりました。今までの感覚を確かめるように、いつもよりも感覚を研ぎすませながらの運転。私がいつもと違う自分をXLに悟られまいとしながら…。 で、しばらくしたら、そうね、XLはこういうヤツよね! フフフといつもの感覚を取り戻しつつあるのでした。でも頭の片隅には4日間共にしたバルカンのことを思い出しながら・・。
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