ヤマハコミュニケーションプラザ・リニューアルオープン 新しい3つの回廊で、あなたはどんなドラマと巡り会えるだろう?

KMJ

ヤマハ発動機の本社横にそびえ立つ、白亜の殿堂といえばヤマハファンはもちろん、そうでない人でもついつい気になって一度ならず、二度三度と訪れてしまう、おなじみヤマハコミュニケーションプラザ。2015年に行われた1階のリニューアルに続き、2階のリニューアルも完了してこの9月1日からオープンした。ヤマハコミュニケーションプラザの2階といえば、気になる名車やレーサーたちがずらりと並んでいた宝の部屋。さて、いったいどのような形にリニューアルされたのだろうか。

●撮影ー依田 麗
●協力ーヤマハ発動機 http://www.yamaha-motor.co.jp/mc/
   ヤマハコミュニケーションプラザ http://global.yamaha-motor.com/jp/showroom/cp/

 1998年にヤマハの創業40周年記念事業として開館したヤマハコミュニケーションプラザ。ヤマハの創業期から現在までのバイクをはじめとした製品が展示されているヤマハバイク博物館と思っている方も多いかも知れないが、そうであって、実はそうではない。製品を陳列する場ではなく、「“コミュニケーション”をキーワードに、ヤマハ発動機の製品を愛するお客さまをはじめ、お取引先の方々、ヤマハ発動機グループの社員と情報交換、交流することで、ともにスキルを高め合う」がコンセプトの企業ミュージアムなのだ。コンセプトにあるように展示された製品を通して、主に社員や関連企業などがコミュニケーションを行う場ということで、開館当初は一般開館日ももっと限られていた。見学中、青い制服を着たヤマハ社員のみなさんを見かけた方も多いだろう。来館者の約2/3は社員と関係者だそうだ。だからといって我々一般の見学者が臆する必要はまるでない。一般のお客さんももちろんウエルカムなのである。それどころか、今回のリニューアルの狙いの一つは、もっともっと一般の、しかもバイクやヤマハにあまり興味のないような方にどんどん来ていただき、見て知って感じていただきたいという願いも大いに込められている。今までの平日(本社稼働日)と第2、第4土曜日にプラスして、新たに第2、第4日曜日も開館日に加えられ、より見学しやすくなった。もちろん今までどおり、予約不要で入館無料。写真撮影もOKである。

 リニューアルは3年計画で実行されており、2015年は主に現行車、海外生産車などを展示している1階部分が施行された。9月1日から公開された2階部分は、全面のレイアウトが大幅に変更されるという大リニューアルで、3年計画のメインといえるものだ。ちなみに来年は1階のスーベニアショップと、2階のライブラリーコーナーのリニューアルが予定されている。

 リニューアルは「Dramatic Road of YAMAHA」(ヤマハのたどった軌跡と路)をメインコンセプトに行われ、「YAMAHA History Corridor」をコンセプトに創業当時の空気を感じ、日本が新しいもの創りへの情熱と希望であふれていた時代を体験できる「企業歴史ZONE」。「Circuit of dreams」をコンセプトに、レースと共に成長を続けたヤマハの歴史、夢、未来をサーキットを模した空間で伝える「レース展示ZONE」。「Discovery Grid」をコンセプトに、各年代の製品をグリッド展示する「歴史製品展示ZONE」の3部で構成されている。言葉でくどくどと説明するよりも、詳細は写真と動画を見てもらえば一目瞭然。昨年は17万人の来場者を数えたが、2020年には20万人を目標にしている。ヤマハファンはもちろん、それ以外の方にもどんどん来場してもらいたいということで、動画や音声などを加えることにより展示そのものがドラマチックに演出されていることがわかるだろう。

 最後に、みなさんが一番気になるであろう「レース展示ZONE」と「歴史製品展示ZONE」について補足を。リニューアル前は車輌がぎっちりと並べられ、細部まで見ることは難しかったが、余裕あるレイアウトが実現。今までは見ることが出来なかった角度からじっくりと観察できるようになった。またマリンや発電機などバイク以外の製品展示も充実している。

 ゆったり展示により展示数が減ったのかと思えば、今まで行われていた企画展(YAMAHA THE BIG-BIKE COLLECTIONFamily&Leisure Bikes 1970s-1980sなどを開催)のスペースも常設展示コーナー用となったため、リニューアル前から2台増え全76台が展示されている。しかも今回がコミュニケーションプラザ初お目見えというものも登場している。また、各ブースごとにサインタワーが新設されており、タッチパネルを操作すると、各モデルの写真、カタログ、エンジン音、動画などが体験出来るのもドラマチック。ちなみに展示車すべてが対象ではない。どの音が聞けるのか、映像が見られのかは、行ってみて操作してのおたのしみ。これも一つのドラマチックな演出かも?


こちらで動画が見られない方、もっと大きな映像で楽しみたい方は、YOUTUBEのサイトで直接ご覧ください。


プロペラ


エンブレム
最初の「企業歴史ZONE」でお出迎えしてくれるのはプロペラ。これがヤマハの源流。リニューアル前は縦で展示されていたが横なので端もじっくり観察できる。 知っているようで、実は知らなかったりするヤマハ発動機とヤマハ楽器のエンブレムの違いもここでしっかりとお勉強できる。


ミニシアター


デジタルアーカイブス
今回のリニューアルの目玉その1。歴史的な映像でヤマハの歩みを知るミニシアター。貴重な記録映像の数々を見ることができる。 タッチパネルでいろいろな画像を見ることが出来るデジタルアーカイブスも設置された。


YA-1


YDS-1
ヤマハの第1号車YA-1と創業期のレースで活躍したYDS-1アサマスペシャル。この2台から今日へヤマハの二輪車哲学は脈々と受け継がれていったのだ。


世界の拠点


多角化
現在、世界250カ国で事業を展開している。どのように世界に進出していったのか多層で表現。さて問題です。創業時、日本ともう一カ国拠点がありました、どこでしょう? 答えはこの展示でご確認を。 2015年は1兆6千億円を売り上げたヤマハ。バイクやマリンは誰でも知っている。ちょっとツウならトヨタの四輪用エンジンも手がけていることは知ってるが、他に陸海空に12もの事業を展開中。全部言えたらかなりのヤマハ通。


レース展示ZONE


レース展示ZONE


レース展示ZONE


レース展示ZONE


レース展示ZONE


レース展示ZONE


レース展示ZONE
シックなレンガ調の「企業歴史ZONE」でヤマハの歩みを学んだ後に出現するのは、今回のリニューアルの一番の見どころ「レース展示ZONE」。サーキットのスターティンググリッドをイメージした空間に、GPで初勝利をもたらした1965年RD56から、1965年RD05A、1968年RA31A、1971年TD3、1974年YZR500(OW20)、1975年YZR500(OW23)、1978年YZR500(OW35K)、1984年YZR500(OW76)、1985年YZR500(OW81)、1986年YZR500(OW82)、1988年YZR500(OW98)、1990年YZR250(OWB9)、1992年YZR500(OWC1)、1992年YZR500(OWE0)、1993年TZ250M(OWF3)のGPレーサー15台を展示。圧巻!


レース展示ZONE


レース展示ZONE
観戦スタンド模したお立ち台も設置され、サーキットの雰囲気を醸すと共に、ちょっと高い位置からレーサーを観察できるのも嬉しい。


レース展示ZONE


レース展示ZONE
背後のボードには1963年からGP466勝の記録を掲示。通算500勝目を記録するのは誰だ? エンジン音や映像などを見ることが出来るタッチ式モニターも設置。独り占めしないように。


オフレーサー


オフレーサー
オフレーサーは後方に、1974年YZ250、1981年YZM250(OW50)、1983年YZM500(OW64)、1987年YZ125M、1988年YZM500(OW83)、1997年YZM400F(OWH2)、2001年YZ500FM、1991年YZE750T Super Tenere(OWC5)、1973年TY250Competion Specの9台を展示。鈴鹿8耐マシンやパリ・ダカマシン、1994年以降のGPレーサーなどは現在展示されていないが、入れ換えもあるそうなのでお楽しみに。


f動画


タイトル
オフレーサーの後方にレースの動画が放映されている。その隣にはトロフィーや賞状を展示。珍しいライダースタイトル(フィル・リード)も。


~歴史製品展示ZONE


~歴史製品展示ZONE
最後のコーナーが「歴史製品展示ZONE」。メインとなるバイクは55年〜、70年〜、80年〜、90年〜、00年〜と年代ごとにグリッドで計26台を展示。他にマリン、船外機、四輪バギー、電動アシスト自転車などのスマートパワービークル、発電機、除雪機などのパワープロダクト製品や四輪用エンジン、F1マシンも展示されている。


~55年ブース


~55年ブース


~55年ブース
〜55年ブースには1957年YD-1、1959年YDS-1、1960年SC-1、1965年YC-1、1965年YM-1、1965年AT-1、1965年DT-1の7台を展示。


~70年ブース


~70年ブース


~70年ブース
70年代ブースには1970年XS-1、1972年TX750、1977年パッソルS50、1977年XS1100、1978年SR500の5台を展示。


~80年ブース


~80年ブース


~80年ブース
80年代ブースには1980年RZ250、1982年TXVZ12Tベンチャーロイヤル、1983年JOG、1984年RZV500R、1985年XT225セローの5台を展示。


~90年ブース


~90年ブース


~90年ブース
90年代ブースには1990年VMAX、1993年GTS1100A、1995年マジェスティ250、1995年XV1100ビラーゴ、1998年YZF-R1の5台を展示。


~00年ブース


~00年ブース


~00年ブース
00年代ブースには2000年XP500TMAX、2001年FJR1300A、2002年BT1100ブルドック、2006年XV1900Aロードライナーの4台を展示。


マリンブース


船外機
マリンブースには今見てもカッコイイ1960年代のボートや、立ち乗りタイプのマリンジェット初期製品などを展示。


船外機


F1
船外機は60〜80年の代表的な3機種を展示。 ヤマハがエンジンサプライヤーとしてF1に参加した1992年のJORDAN YAMAHA192は15度の角度を付け立体的に展示。


その他製品カテゴリー


パワープロダクト
その他製品カテゴリーに展示された3輪バギーYT125 TRI-MOTO。国内では極めて少数が北海道で販売された珍車中の珍車、CP初お披露目。 パワープロダクト製品は除雪機や発電機などを展示。


サインタワー


ライブラリーコーナー
各グリッドにはサインタワーが設置されており、タッチパネルの操作でエンジン音、動画、カタログなどを見ることが出来る。 ライブラリーコーナーには、ほぼ全車のカタログやヤマハニュース、マリンニュース、そして海外版のヤマハニュースを瞬時に観閲できる新コンテンツも。


1階


1階
昨年リニューアルされた1階は現行製品や海外生産車を主に展示。壁側は企画展のような展示もおこなわれている。現在は「ヤマハ発動機の技(WAZA)と術(SUBE)」を展開中。


1F


1F
1階ではめったに見ることの出来ない産業用ロボットの実演や、大型のボートも間近で見ることが出来る。


大隅館長


CP
「ヤマハを知っていただきたいということはもちろんですが、ものづくりの街である静岡も、最近の若い人たちはものづくりからどんどん離れているように思います。当館でものづくりの楽しさを感じていただけることに一役買えればと思っています」大隅哲雄館長も自信満々のリニューアル。 ●ヤマハコミュニケーションプラザ 静岡県磐田市新貝2500 東名高速道路・磐田ICより約5km、袋井ICより約6.5km。磐田バイパス・岩井ICより約2km。無料駐車場あり。JR磐田駅より タクシーで約10分(約4.5km)。開館時間 平日(本社稼働日)9時〜17時。第二、第四土曜、日曜は10時〜17時。入館無料。3階には軽食、喫茶のカフェプラザも併設。開館時間、開館日は変更になる場合もあるのでこちらで確認を。