幻立喰・ソ

第73回「も〜もたろさん、ももたろうさん?」

 
 桃太郎ゆかりの地は日本各地にあるようですが、頭がひとつもふたつもみっつも抜けているのは岡山でしょう。なんといっても、イネ科の穀物であるキビを粉にして作ったきびだんご(黍団子)を、岡山の餅菓子である吉備団子(現在の主原料はきびではなく餅米)と見事にリンクさせ、大々的に宣伝活動を行った成果(←もちろんウイキ先生からのフルパクリですが、珍しく「いつ?」「だれが?」が入っていませんでした)だそうです。さらに、桃も岡山名産ですし、瀬戸内海には無数(ではないですが)に島がありますからひとつくらい鬼ヶ島があるんじゃないの? と思わせます。
 とは言え、賢く人間に忠実な動物の象徴であるイヌはともかく、きびだんごごとき(失礼!)で、さるかに合戦でおなじみ、ズル賢動物の筆頭格サルや、人間になつかなさそうなキジがお供になるのでしょうか。まあ、そんなことを言い出したら「そもそも桃から生まれるってどうなのよ?」という、桃太郎の大前提も怪しくなってきますから、ここはひとつ穏便に収めましょう。
 桃太郎と言えば、最近はイヌでもサルでもキジでもなく某携帯電話会社のキャラクターが人気です(さすがにイヌは他社のキャラなので出てきませんが)。が、そんなことに流される事なく、JR貨物のEF210電気機関車(定格出力3390kw/h)も忘れてはいけません。当初の所属が岡山機関区だったから「桃太郎」の愛称名が付けられたとか。さらに強力なEH500(定格出力4000kw/h)には金太郎の愛称が付いています。セノハチ(山陽本線、瀬野-八本松間にある急勾配)用の後押し機関車であるEF210の300番台は、桃太郎ではなく「押し太郎」と鉄は呼びます。ならば津軽海峡線専用のEH800は「は〜るばる来たぜはこだてぇ〜」ですから、ぜひ「寿司太郎」と呼んでもらいたいものです。



EF210


EH500
桃太郎(左)と金太郎(右)です。ちゃんと車体に書いてあるでしょ。押し太郎と寿司太郎の写真はまだ撮っていません。が、普通の人が見れば、押し太郎は桃太郎、寿司太郎は金太郎みたいなものです。(2010年1月/2014年6月撮影)

 話を桃太郎の岡山に戻します。岡山駅前にはりっぱな桃太郎の銅像が建っています。が、岡山と言えば桃よりもマスカットが頭に浮かびます。が、駅前にマスカット畑はありません。「当たり前だろ!」とお叱りを受けそうです。が、かのスナバの鳥取駅前にはりっぱな梨畑があります。さすがです。岡山駅前にも名産の白桃またはキビ畑を作ると、より桃太郎出身地の既成事実化が顕著になると思いませんか? 思いませんか……。



岡山駅前


鳥取駅前
岡山駅前の桃太郎と鳥取駅前の梨畑です。(2016年8月撮影)

 話がまたあらぬ方向へ進んでしまいました。実は出張の途中に乗り換えのために岡山駅に降りますと、目の前に立喰・ソがあるじゃございませんか。在来線と新幹線の乗り換え改札の横にあるKそば(Kはもちろんだんごの、あのK)は既食済でしたが、ホームの立喰・ソは、すっかり見逃しておりました。「立喰・ソゲットだぜ! 行くぜそばちゅう〜!」と、はしゃぎながら近づいてみたら……はい、ごらんのとおり。

 賢明なみなさんはすでにお気づきかと思います。前半、中盤、そして後半の大部分を占めているどうでもいい桃太郎話は、今回の主題である幻立喰・ソに対し、まったく書くことが見つからないゆえの、ただの水増しなのです。本来なら、こんなことはしたくないのですが、ジャーナリストだまし(魂ではない)に火が付いたので、「心を鬼にして」綴ってみました。「おまえあいかわらずなに言ってんの?」と鬼の首をとったように言わないで下さい。「鬼が出るか蛇が出るか」解らないのがこの駄コラム。桃太郎だけに鬼退治はお手の物ですね(←上手く丸め込むつもりが自壊)。



鳥取駅


鳥取駅
駅前に梨畑のある素敵な鳥取駅のホームにもかつては立喰・ソがありました。その名も砂丘そば。なんだか口中がじゃりじゃりしそうな名称ですが、そんなわけもなく(当たり前)、関西風のダシに太めのソ、名産のあごちくわも入っていました。もう食べられないのと思った貴方、安心して下さい。駅ビル内で立喰・ソは営業中です。(2008年3月撮影)


津山駅


津山駅
津山駅にあったごんご武蔵もコンビニに化けていました。一般的には立喰・ソよりもコンビニの方が便利でしょうからね。と思っていたのですが、写真を見ればコンビニよりもっと奥にあったみたいです。相変わらずダメですねぇ……まあ、ここは立喰・ソというよりは食堂で、しかもお品書きにソはなく「そばもできます」と貼り紙がしてある限りなく立喰・ソに遠いお店ではありましたから(←まったく言い訳にもなっていない)。(2016年8月撮影)


ソ焼ソ


ソ
一見すると営業中に見える岡山駅7-8番ホームの「あじわい」ですが(左)……ああ、なんということでしょう。何度も通っている岡山ですが、なんで気が付かなかったのでしょう。それが不思議で。出会い=別れと思って、昔の写真を漁っていたら、なんと営業中の写真(右)が出てきました。撮ったのはモチロン私です……立喰・ソ帖にも記録がありません。なんで食べなかったのか、もちろん記憶にありません。と、店舗も青かったんですね。私もまだまだ青かった……と、見事なオチがつきました(オチになっていないような気もしますが、気のせいでしょう)。(2016年8月/2008年9月撮影)

●立喰・ソNEWS 2016
修行か!? 24時間いつでも0円! 驚愕の一週間

おなじみ日暮里駅近くの一由(後生に残すべき記録なのでイニシャルではなく実名です)、2016年の一由感謝デーは8月22日から28日まで1週間開催されました。毎年のことですから知っている人は「何をいまさら」状態であると思いますが、知らない人が知ったら、腰を抜かさんばかりに驚くことでしょうから、知らなかった方は今から腰を抜かさんばかりに驚いて下さい。

一由といえば年中無休の24時間営業、安くてうまい、ネギは入れ放題で、しかも無茶なリクエストの天ぷらも試作してくれるKING OF 立喰・ソです。こんなにすばらしいお店ですから、本来ならばこちらが「いつもありがとうございます」と感謝してしかるべきなのですが、一由の感謝デーはこともあろうか、そば、うどんが無料になってしまうのです! ジャンボゲソ100個以上ご注文の方とか、ミニスカートの女性限定とか、数量限定などとケチな感謝ではございません。1週間の感謝デー期間中ずーっと無料。かけなら0円。名物のジャンボゲソでもたったの140円で24時間、いつでも何杯でも食べられるてしまうのです。



おかず
いつもより混んでいました。スタッフのみなさま、どうもありがとうございました。たいへんおつかれさまでした!

「え? 何言ってんのかわかんない」という方がいても不思議ではないですね。おやっさんがなにかの修行か、はたまた自暴自棄でやっておられるのではありませんが、そう見えても不思議ではありません。ほぼ週3で通う私ですが、なんだか申し訳ないやら、なんとなく恐ろしいやら、で、期間中は1回行ったのみ。「お金を出してたべさせてくれ〜」という、意味不明な禁断症状に悩む1週間でした。


バソ
バ☆ソ
日本全国立ち喰いそば全店制覇を目論む立ち喰いそば人。現在800店以上のデータを収集したものの、ただ行って食べるだけで、たいして役に立たない。立ち喰いそば屋経営を目論むも、先立つものも腕も知識も人望もなく断念。で、立ち喰いそば屋を経営ではなく、立ち喰いそば屋そのものになろうとしたが「妖怪・立ち喰いそば屋人間」になってしまうので泣く泣く断念。世間的には3本くらいネジがたりない人と評価されている。一番の心配事はそばアレルギーになったらどうしよう……。


[第72回|第73回|第74回]
[幻立喰・ソバックナンバー目次へ]
[バックナンバー目次へ]