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1970年代後半から80年代にかけて、日本中を席巻した空前のバイクブーム。16歳になったら原付免許を取り、しばらくすると教習所へ通い中型へとステップアップ、さらに突き詰めれば超難関の限定解除に挑戦して、根気と根性と運のあるものがいわゆる大型へと進んだのだが、大多数は中型止まりだった。その中型で乗れる上限の400クラスはブームを通して花形であり、各メーカーの力の入れ方は尋常ではなかった。前回お送りした空冷編に続き、今回は時代の中心であった444の水冷編。現在まで続く444の系譜をお楽しみください。
レーサーレプリカブームの反動のようなネイキッドブームの発端は、カワサキのゼファーであることに異論を挟む人はいないだろうが、ポストレプリカを模索するかのようなニューコンセプトでCB-1がゼファーより1ヶ月早く誕生したことを憶えている人はそれほど多くないだろう。定評のあったCBR400RR系のパワーユニットを低中速重視にセッティングし、パイプフレームに搭載し、他のどのバイクとも異なる個性豊かなデザインで登場したポストレプリカ=ネイキッドという意味では第一号的なCB-1は、巨匠・長濱治先生撮り下ろしの芸術的なモノクロ写真主体のカタログに「オレはオレだ」、「最新伝説」などのキャッチコピーが添えられホンダの意気込みはかなりのものだった。だがレーサーレプリカブームの揺り返しは想像以上に激しく、性能や機能がある意味でレプリカから脱し切れていなかったCB-1は、蓋を開けてみればシンプルなゼファー人気の前に完敗といっても差し支えない結果となってしまった。しかしこのCB-1で得た反省点が稀代希なるヒット作=CB400SUPER FOURを生み出す下地になったことは言うまでもないだろう。
より精悍なイメージを増すブラックを新たに投入し、全3色のラインアップに。主要諸元、価格共に変わらず。
特徴的なスタイリングはそのままに、リアサスには別体式リザーバータンク付きダンパーを新たに採用。フロントサスもバネ特性や内部構造の変更が行われたが、車体色の変更もなく見た目は初期型とほぼ変わらない。車体色、主要諸元に変更はないが、価格は609000円にアップ。
CB-1をベースに、よりアップライトなライディングポジションを実現すべく、セミアップタイプのハンドルを新たに装着し、それに合わせてシート形状も変更された。また、ギアレシオもハイギアード化され、2次減速比が2.600から2.466に。6速の変速比が1.333から1.280に改められ、燃料タンク容量も13リットルへとアップした。車体色はフレームも黒系となったタスマニアングリーンメタリックとブラックの2色。変更を受けていない従来モデルのCB-1も併売され、CB-1はCB400SUPER FOURが登場した後もしばらく残っていたが、TypeⅡは1992年夏前に早々にカタログ落ちという短命なモデルとなってしまった。
レプリカからネイキッドへと、ブームが移行していく 1990年代初頭、「感性に訴える太い走り」をイメージして開発されたのが初代スーパーフォア。スポーツネイキッドバイクの基本はかくあるべきというようなオーソドックスながらスポーティさを感じさせるスタイリングと、パワフルなCBR400RR系ベースの扱いやすさと、扱う楽しさを重視したセッティングの水冷4気筒エンジンを搭載。ホンダらしい万人にフレンドリーなクセのない特性と、オーソドックスながら洗練された飽きの来ないスタイリングで初心者からベテラン、教習車、バイク便などの業務用としても幅広く愛された。ホンダの本気が形になるとこうなるという、VT250Fの大ヒットを再現したような大ベストセラーとなった。CB1000SUPER FOURの400版と表現されることもあるが、基本コンセプトはともかく、開発チームも開発方針も異なる全くと言っていい別物。
ツートーンカラーを2色追加。ツートーンは1万円アップの599000円。
発売開始から2年後の1994年、累計登録台数1万7千台を突破し好評のスーパーフォアは、ピストン、燃焼室形状、サイレンサー内部構造、点火時期の変更等、主にエンジン内部の改良が行われ、中低速域での扱いやすさをさらに向上させた。新たにハザード、燃料計、三分割アルミトップブリッジや立体サイドカバーエンブレムを採用。この変更に伴って車両重量は1kg増加している。車体色はツートーンがラピスブルーメタリック×スパークリングシルバーメタリック1色、単色カラーは新色のキャンディトランスパンレッドと、継続のピュアブラックとパールシャイニングイエローの計4色。7月20日には、市販モデルのカラーとしてはあまり採用されることのない紫系の新色、モーリタニアバイオレットメタリックが追加された。価格は589000円(ツートンは1万円高)と据え置かれた。
シリンダーヘッドカバーの大型化、シリンダーフィン5枚増設、クランクケースカバー形状の変更など外装系をメインとしたリフレッシュがおこなわれた。車両重量は1kg増加して193kgに。車体色はツートーンカラーの設定がなくなり、単色系の3色ラインアップに。価格は589000円と据え置き。7月15日に新色のスターライトシルバーが追加された。
1995年モデルをベースに、PGM-IG(電子制御点火装置)、フレームダウンチューブにクロスパイプを追加装備し、外観的にはステアリングマウントされたビキニカウルが特徴的なスポーツパッケージのバージョンRが追加された。ハロゲンバルブに6分割マルチリフレクターを組み合わせたフューチャーフォーカスヘッドライトや、別体式アルミサイレンサーの集合マフラー、肉抜きされたステップホルダーなども装備し、スポーツ性を強調した。当初はパールライブリーオレンジとミュートブラックメタリックの2色だったが、1995年7月15日に新色のスターライトシルバーを追加し3色のラインアップとなた。
シート表皮、タンクエンブレムの立体化、エンジンとホイールを艶あり塗装に変更するなどの小改良が行われた。車体色はミュートブラックメタリックの設定がなくなり、継続のキャンディタヒチアンブルーとキャンディトランスパンレッドの2色に減少した。諸元、価格は変更なし。
アニメチックな近未来的フェイスからか、今一歩人気が出なかったバージョンRにかわるスポーツパッケージとして追加されたバージョンS。ダウンチューブにフロントクロスパイプを追加したフレーム、スロットルセンサー付きPGM-IG、別体式アルミサイレンサーの集合マフラー、肉抜きされたステップホルダーなどの特別装備はバージョンRから継承している。さらにフロントブレーキはニューフローティングディスクと高μパッド付き対向式4ポッドキャリパーが追加された他、ゴールドチェーンやクッションスプリングアジャスタ部分にアルマイト処理を施しアルミ鍛造カバーを追加した専用リアサスも追加装備された。車体色はイタリアンレッド、スパークリングシルバーメタリック、ミュートブラックメタリックの3色。これだけの追加、変更を行ないながらも、価格はスタンダードモデルからわずか1万円アップのお買い得モデルであった。
パールクリスタルホワイトのVersionSを限定1500台で発売。価格は変更なく599000円。
生産累計6万2千台を突破し不動の地位を手にした1996年末、リアカウルの形状をより跳ね上がったボリューム感あるものとし、フィット感、足着き性向上のためシート形状とシート表皮も変更。フロントブレーキもバージョンSと同様のフロント4ポッドキャリパーの採用など熟成化がなされた。バージョンSが圧倒的な人気となったため、このモデルがスタンダードタイプとしては初代スーパーフォアの最終モデルとなった。スタンダードモデルの価格は、発売当初から最後まで変わらず589000円が貫かれた。
スタンダードモデルのスーパーフォアの改良と同様に、バージョンSもリアカウルの形状、シート形状とシート表皮などを改良するとともに、新たにブレンボ製の異径4ポッドキャリパーがフロントブレーキに採用されグレードアップ。他にもメーターパネルは赤文字になり、サイドカバーは車体と同色化、燃料タンクの上部には太い2本のストライプラインとデザインされたVersion Sのロゴを入れるなど、よりスポーティなイメージを強調する仕様となった。翌1997年の7月1日には、新色のスパークリングシルバーメタリックとキャンディタヒチアンブルーを追加し、バージョンSは全5色のラインナップとバリエーションが増加した。
バージョンSに新色のスパークリングシルバーメタリックとキャンディタヒチアンブルーが追加された同日、リミテッドエディションを500台限定で発売。キャンディタヒチアンブルーのバージョンSをベースに、タンク上に白く太い2本のストライプを入れ、ホイールをホワイトとしたリミテッドエディションだが、バージョンSと変わらず599000円であった。
ホンダ創業50周年を記念したバージョンSベースの500台限定車。クラシカルホワイトのボディに、真紅のストライプを配したカラーリング、ゴールドホイール、レッドリアサススプリング、カーボンパターンのシートサイド、50周年記念エンブレム、スペシャルキーなどを特別装備。これでも価格は通常版と変わらずの599000円。ちなみにこの限定車、ひらがなで書くと「しいびいよんひゃく すーぱーふぉあ ばーじょんえす ごじゅうしゅうねん あにばーさりー すぺしゃる」と44文字(読み方によっての増減はあるが)と、一部では名前が長いバイクとしても知られた存在であった。
「NEWスタンダードネイキッド 元祖直4!新たなる始まり」をキーワードに、“ノスタルジックでありながらも新鮮さを感じる新しい時代のホンダのロードスポーツモデルはどうあるべきか”を徹底追求して開発された、CB750FOURを彷彿させるニューモデル。CB400SUPER FOUR系のパワーユニットをベースとしているが、低中速トルクの向上のため吸排気系、駆動系を変更し、ミッションも新設計のワイドな5速、各気筒独立のストレート4本出しマフラーを組み合わせ、エンジンの外観もフィンを加えるなど、全体のイメージに合わせて一新された。発売当時は、ビッグスクーター、カスタム、ビッグバイク、アメリカンなど多種多様なジャンルが総開花的ブームとなった混沌とした時代で、懐古的なスタイリングはあまり顧みられなかったがブームが去り、CB400FOURも絶版になった頃に再び人気となったことからも、初代同様、生まれた時代が悪かった悲劇の名車といえるかも知れない。
キャンディオーシャングリーン、ピュアブラックに代わってキャンディフェニックスブルー、チタニウムメタリックが登場。イタリアンレッドはそのまま継続。2000年末頃まで販売された。主要諸元、価格共に変更なし。
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