原付二種(G2)の理想郷を目指す“G2連邦”のピンキー高橋です。今思うと、2013年は凄かったですね。なんといってもホンダから6機種の原二モデルがリリースされた年でしたから。現在Sh mode、CBR125Rはラインナップから姿を消し、ズーマーXが生産終了となってしまったのは残念ですが……。そんな6機種の中の1台、グロムがモデルチェンジとなりました。生産国のタイ(日本、アメリカ以外の国ではMSX125の名で販売)で発表され、今春の東西モーターサイクルショーに出展、日本では6月9日より販売が開始されています。タイをはじめとするアセアン諸国ではグロムをベースとするカスタムが盛り上がっているようです。
■試乗:ピンキー高橋
■撮影:依田 麗
■問:Honda お客様相談センター TEL:0120-112010 http://www.honda.co.jp/motor/
トルク豊かなエンジン、上質な仕上がり
グロムの新型2016年モデル、型式は従来通り「JC61」なので2013~2015年モデルと骨格やエンジンに大きな変更は無いと思われます(細かい部分の改良とかはあるかもしれませんが)。最大の特徴は外観。元々グロムは”バイクに乗るキッカケ”としての願いを込め、世界のヤング・ジェネレーションに向けたこれまで見たことのない独創的かつ個性的なデザインで目を引きました。従来型はアップマフラーを採用していたこともあってパーツ個々が全体的に凝縮、12インチの小径タイヤと相まって”ずんぐりむっくり”なイメージ。一方、新型はダウンマフラーとなり、全体的にシェイプされたことでデザインのテイストは継承しながらシャープかつ精悍な印象となりました。また、ひとまわり大きくなったようにも見えます。が、車体サイズを数値で見ると全長で5mm短く、全高で10mm低くなっているので、これはデザインの“妙”ですね。ちなみに車体にある”GROM”ロゴのデザインは踏襲されています。
試乗車のカラーはレモンアイスイエロー。これまでグロムのイメージが強かったイエローに変わる色でしょうか? CBR250RやCB250Fの限定車にも採用されたことがあるこのキミドリ色、個人的には好み。乗る前からテンション上がります。
ライダーの身長は173cm。見た目以上にライディングポジションには余裕がある。写真の上でクリックすると違う足つき性が見られます。 |
私、グロムと言えば2014年に「マスコミ対抗エコチャレンジ」に同車で出場。本田技研・本社がある青山一丁目からツインリンクもてぎまで144.2km走り、リッターあたり87.8キロという燃費を記録したことが思い出であります。もちろん、私の生涯の中でもこんな好燃費を叩き出したことはございません。60年近く前にスーパーカブに搭載、進化を続けるホンダ横型エンジン、恐るべしです。
で、新型もかつて乗った時の印象と変わることはありませんでした。アセアン諸国を中心に活躍するWave125i用をベースとするエンジンは凄くトルクの豊かな特性で、トップ4速のまま風の強い東京ゲートブリッジの長~い上り坂をグイグイと登っていく、と言えばご理解いただけるでしょうか? レッドゾーンを超えてもエンジンは回ろうとしますが、トルク型エンジンの特性か、早め早めのシフトアップの方が効率的に賢く走ることができそう。当然、燃費も良い方向に。
今回、2016年モデルのグロムに乗って最も印象的だったのは車体。おそらく従来型から変わっていないと思うのですが、ミニバイクとは思えないしっかり感、安定感を感じました。車体はコンパクトだし、タイヤも小径でホイールベースも短いのですが、なぜかどっしり感があるのです。おそらく骨格がしっかりしているのでしょう、サスペンションもちゃんと仕事をこなし、1クラス上の落ち着いた印象。低く湿った感じのエキゾーストサウンドと共に上質な仕上がりを感じました。
従来型からのチャームポイントである印象的なフロントマスクには、LEDのヘッドランプを新たに装備。ハイ/ロー共に採用され、ハイビーム側にワンポイントとなっているブルーのラインが特徴的です。直線的な独特の配光で、消費電力の少なさ、耐久性、そして被視認性という点でメリットは大きいでしょう。限りなく白に近い点灯色は夜間運転時、肉眼では明るく感じないなど、個人的にLEDヘッドランプはまだ未知な部分を感じるところではあります。原二クラスでは稀少、ポジションランプを兼ねたフロント・ウインカーはオレンジ色の光で被視認性も高く、好感もてます。もっと幅広く採用してもらいたい装備ですね。
メーターパネルのデザインやレイアウトに変更はありませんが、老視気味の私にとって昼間はもちろん、夜間でも視認性に優れるものでした。
すでに多くの4miniファンの間に広まり、様々な遊びを実践しているオーナーも多いグロム。新型はレースベース車がHRCから供給され、ワンメイクレース「HRC GROM Cup」も始まりました。エイプ100が生産終了となってしまった今、グロムはホンダのロードバイクのボトム・レンジを支えるモデルに(エイプ50は現役ですが……)。ビギナーのファースト・バイクからベテランのセカンド・バイクまで、多くのライダーに”Fun”を提供してくれるバイクとして、モンキーのように息の長いモデルに育ってもらいたいと、今回の試乗を通じて感じました。
(試乗:ピンキー高橋)
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