若い人たちに“バイクに乗ってみたいな”と思わせる |
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元ホンダ・ワークスライダーの宮城 光氏を講師に迎え2年目の「スマートライディングスクール」(以下SRS)。10代の頃からずっと現役の人からリターンの人まで、いわゆる“中高年”ライダーを対象とするスクールだ。彼らは空前のバイクブームを経験している人が多く、今の日本のライダーのボリュームゾーンにあたる世代。そんなこともあり、残念ながら二輪車事故に遭遇する中高年が目立ってしまっているのは事実。SRSが始まったきっかけはそんなところにある。 「安全に楽しく、末永く100歳までバイクに乗ろう!」 宮城氏が掲げたSRSのスローガンである。かつてのバイクブームの時代、レーサーレプリカ・バイクが注目を集めていたこともあり、当時は“速く走ることがカッコイイ”とされる風潮もあったのは確か。しかし世の中も変わり、今は“速さよりも運転が上手い人が素敵”、すなわち“スマートライディング”の時代になるべきだと宮城氏。若い人たちに“バイクに乗ってみたいな”と思わせるカッコいい見本を中高年ライダーに実践してもらいたい。SRSの目的はそこにある。 |
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今回のスクールで宮城氏をサポートするアクティブセーフティ トレーニングパークのインストラクター・氏家(うじけ)幸作氏。こちらもライディングに関してはプロ中のプロ。些細なことでも疑問があれば笑顔でフレンドリーに教えてくれる。 | 二輪車の普及や安全に対する啓蒙活動など、業界において幅広く活躍中、元ホンダ・ワークスライダーである宮城 光氏を講師に迎え、昨年よりスタートした「スマートライディングスクール」。サーキットと公道の両面を熟知した氏のアドバイスには説得力がある。そして何よりその巧みな話術にライディング上達に対する意識が高まる。※以下、写真をクリックすると大きく、または違う写真を見ることができます。 | |
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動画が動画が見られない方、大きな画面で見たい方はYOU TUBEのWEBサイトで直接ご覧下さい。 https://youtu.be/k-JvAKAKs18 | スクール開校直後の教室での様子。全体説明の後、参加者同士の自己紹介。緊張がほぐれる。今回参加された皆さんは16歳からずっと乗っている人、最近乗り始めた人、リターンした人さまざま。 | |
行うことは「基本中の基本」だが、 |
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6月5日、ツインリンクもてぎ内のアクティブセーフティトレーニングパークを舞台に、2016年最初のSRSが開催された。スクールは宮城氏が参加者と同世代の目線で見たカリキュラムが組まれ、ライディングの「基本中の基本」のレクチャーが行われる。主な内容は●ブレーキング(動態視力の限界と判断力の認知)●コーナリングブレーキ(技術力の確認)●パイロンスラローム(技術力の確認)●コーススラローム(総合判断の再認識と最終確認)となっており、参加者が学びながら楽しめるよう工夫も凝らされる。 多くの参加者に目が届くよう、募集人数は1回20名と余裕をもたせているこのスクール、リターンライダー、シニアライダーの参加も多く、受講者は若い時と違って身体能力が落ちていること、自分のライディングの弱点を知ることができると好評だという。 スクールは、午前9時30分よりスタート。まずは参加者それぞれの自己紹介から始まる。今回の参加者の年齢は20歳以上の開きがあった。皆さんの自己紹介を訊いていると、おのずと緊張がほぐれてくる。 スクールの説明の後、教室で行うことは以上。座学のようなものはなく、準備体操、スクールで乗るバイクの日常点検を終えたら早速実技となる。バイクは所有免許証に応じた車両がスクール側より用意される。ちなみにアクティブセーフティトレーニングパークではCB1100、CB400SFが教習車両であった。 |
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参加者が持っている免許証に応じた教習車が用意される。今回はCB1100、CB400SFが用意された。CB1100はハンドルグリップが低い“TypeⅡ”で、取り回しがラクだ。 | ||
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乗車前にまずは準備体操。身体の各部、関節をほぐす。また、万が一転倒した際、着いた腕を折らぬよう、マットの上で腕を内側に入れて転がるよう、身体に覚え込ませるという。 | ||
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まずは慣熟走行。普段乗っているバイクとは違う参加者が殆どだと思うが、CB1100はその車格とは裏腹にとても乗りやすい。ABS付車両だ。 | ||
40~60歳代まで、中高年と呼ばれる世代の参加者の皆さんは元気だ。女性参加者の姿もある。太陽が照り付ける中、ヘルメットや装具で暑い思いもするが、スクールでは水分補給や小休止といった気遣いもあるので安心。正にゆとりをもった“大人”のスクールだ。また、宮城氏の話術も楽しく、飽きさせない。 ライディングの基本中の基本を改めて体験するというスタンスは変わらないが、会場によって多少カリキュラムが異なることもあるとか。今回はアクティブセーフティトレーニングパークをメインに、ツインリンクもてぎでの広大な土地を活かして“小ツーリング”を兼ねながら別の場所でレクチャーを受けるという粋な計らいもあった。 「オートバイよりも、乗っている人がカッコイイのがいい」 なるほど、と思わせる宮城氏の言葉だ。SRSはそんなことを参加者に意識してもらうスクールでもある。 尚、SRSでは現在、9月19日(月・祝):交通教育センターレインボー埼玉(埼玉県比企郡川島町)、11月26日(土):交通教育センターレインボー熊本(熊本県菊池郡大津町)での申し込みを受け付け中。受講者には特典もあり! 是非、機会あれば参加してみてほしい。詳しくは「スマートライディングスクール」のWEBサイト(http://www.honda.co.jp/hmj-event/smart_sch/)にて。 |
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前のみ、後ろのみ、急制動など、様々なブレーキ操作での挙動を知る。そして、タンデム時にパッセンジャーを不快にさせない“大人”のブレーキにトライ。それぞれの参加者に的確なアドバイス。 | ||
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反応制動。コース脇の表示ランプが点灯したらブレーキング。空走距離の長さの現実を思い知らされる。 | ||
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途中、水分補給などの休憩タイムもしっかり確保。カリキュラムには余裕をもたせているのでじっくりと学ぶことができる。 | 大人の“スマートライディング”のひとつとして提案。クルマのオートマチック車にような“クリープ現象”(ブレーキを離すとクルマが進みだす)をバイクで作り出す。渋滞などで可能な限り疲労を軽減させ、すり抜けなどのリスクを回避。 | |
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旋回状態で停止するオフセットブレーキ。低速時にバランスを崩しそうになるシチュエーションを敢えて体験。コンビニの駐車場などで“おっとっと”とならないように。 | ||
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最後は苦手意識が多いというUターン。この日に学んだことの応用となる。Uターンがキレイに決まることはすなわち、スマートライディングの総決算とも言える。 | ||
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Uターンのレクチャーは別場所にて行われた。広大な敷地を誇るツインリンクもてぎ内の移動は正にツーリング気分。 |