命の戦士たちが2012年の抱負を語る
●撮影:依田 麗

2月3日・節分の日、東京・青山の本田技研本社にて「2012年 Hondaモータースポーツ活動」の概要が二輪四輪合同で発表された。ハイブリッドでの参戦や次期NSXのレース投入など話題の多かった四輪に対し、二輪は既定路線の印象。昨年の同会場で、栄冠から遠ざかっていた二輪最高峰クラスMotoGPを「絶対獲る」と伊東社長は宣言、最前線の奮闘により見事チャンピオン奪取に成功するも、ホンダはそれに満足するはずはない。MotoGPでは追われる立場となったが、依然として追う立場にあるカテゴリーが存在するのも事実。そんなカテゴリーに「イチバン」になるための宿命を担う戦士たちが送り込まれ、激しい戦いの展開が期待される。
二輪レースの世界最高峰・MotoGPクラスには3チーム4台が挑む
ワークス体制の「レプソル・ホンダ・チーム」は昨年の3台から2台へ。ケーシー・ストーナーとダニ・ペドロサという最強の布陣だ。サテライト・チームの「ホンダ・グレッシーニ」はスズキから移籍したアルバロ・バウティスタを、「LCRホンダ」は昨年のMoto2クラスチャンピオンであるステファン・ブラドルを起用。彼らにはニューマシン、RC213Vが与えられる。

ケーシー・ストーナー(Casey Stoner)

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ケーシー・ストーナー(Casey Stoner)

1985年生 26歳 オーストラリア出身
MotoGPクラスを2度(2007・2011年)制する、現在最速のライダー。1月31日から2月2日に行われたセパン合同テストでは、初日をギックリ腰によってキャンセルするも、2~3日目はいずれもトップタイムをマーク。タイムアタックしたわけでなく、腰の状態もまだ完全ではなかったためコーナーでの切り返しはまだまだ遅い状態での結果だった。RC213Vに対し「(排気量が上がった分)身体的負担は大きく、ブレーキも重い。ただ、これから改良は進むことになるだろう」と印象を語った。


ダニ・ペドロサ(Dani Pedrosa)

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ダニ・ペドロサ(Dani Pedrosa)

1985年生 26歳 スペイン出身
世界GP125ccクラス(2003年)、250ccクラス(2004・2005年)チャンピオンを経て2006年にMotoGPクラスデビュー。GPではこれまで全てホンダのマシンで戦っている。MotoGPクラスでは毎年チャンピオン候補に挙げられながら、シーズン前のテストやシーズン中のケガに泣く。セパンでのテストは「久々に万全の体調で挑めたのが嬉しい」と語りながら、3日間を通じマシンのバランスに苦しんだ様子。RC213Vは「よりパワフルで加速力も上がったが、コーナリング特性の違いも感じる」とのこと。


中本修平

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中本修平(なかもと しゅうへい)

1957年生 鳥取県出身 ホンダ・レーシング(HRC)取締役副社長
1983年、本田技研工業入社。RS125R/250Rフレーム設計担当(1984年)、RS250Rプロジェクトリーダー(1988年)、RVF750プロジェクトリーダー(1997年)といった二輪レーサーの開発に携わった後、2002年からホンダ・レーシング・デベロップメント(HRD)へ。F1の技術責任者を務める。2009年にHRCに戻り、取締役副社長に就任。2011年からはレプソル・ホンダ・チームの代表も務める。セパンテストについて「最大の問題はチャタリングだが、これからどうするかの方向はわかったので成功だった」と語る。


RC213V RC213V
RC213V

211V(990cc・2002~2006年)、212V(800cc・2007~2011年)に続く、21世紀のRCシリーズ3世代目となる、2012年を戦うRC213V(1000cc)。成功を収めた2011年型212Vのコンセプトが継承され、見た目の違いはわかりにくい。搭載されるV4エンジンは今までのホンダのエンジンとは違うアプローチで設計され、燃費に優れるという。