■撮影ー西田 格
■取材協力──若桜鉄道 http://www.infosakyu.ne.jp/~wakatetu/ SUZUKI http://www1.suzuki.co.jp/motor/ 隼駅を守る会 http://motor.geocities.jp/hayabusaeki/ |
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少子高齢化による人口減少、過疎化は大都市圏以外いずこも共通の大きな悩み。 若桜鉄道と隼を取り持つ小さな駅の大きな絆。
「アルティメイト(究極の)スポーツ」をコンセプトとして、1999年に登場したGSX1300R HAYABUSA(その歴史はこちらでどうぞ)。世界各地に多くのファンを持つスズキハイスピードツアラーのフラッグシップモデルであることは、みなさんご存じの通り。2014年にはETCを標準装備した待望の国内仕様もめでたく登場し、その人気は今もずばーんと加速中だ。 |
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見事にラッピングされたWT3301。カラオケ装置も搭載しているので、貸し切って「隼音頭」で大合唱というのもオツかも。ちなみにWT3301は電車ではない。6気筒13000cc、330psのディーゼルエンジンを搭載した内燃機関で走る気動車(ディーゼルカー)である。これを電車と言うと、バイクでいえば「サンパチは3気筒だから3ストロークだぜ」というくらい恥ずかしいので、鉄道車両=電車だと認識している方、特に鉄の前では充分気をつけましょう(大袈裟)。 | ||
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ラッピング前のWT3301(左)。ラッピング作業は若桜駅の車庫内で極秘? のうちに3日間で行なわれた。その間は残りの3両をやりくりして3日間をしのぐ車両運用だったとか。こんな見えない努力もあって、ラッピング車両は無事20日お披露目となった。拍手! ちなみに宝くじ号とあるのは、日本宝くじ協会からの助成金で導入された車両のこと。右側にたたずんでいるのはさくら1号ことWT3001。ちなみに2号はいなくて3号がWT3003、4号がWT3004。 | 現在若桜鉄道の営業用車両は2001年に導入のWT3301の他、第三セクターとして開業した1987年に導入された(導入時はWT2500形であったが途中で、馬力アップなど更新改造されWT3000形に改番された)WT3001、WT3003、WT3004(写真の前の車両。後ろはWT3301)の全4両。もはや30年選手だが、エンジンや台車を更新してバリバリ稼働中。絶版バイク乗りなら共感しちゃうことまちがいなし!? ちなみに型式のWTとはW=若桜、T=鳥取を表している。 | |
式典会場には会長、社長、大臣、知事、町長など錚々たる顔ぶれ。 ラッピング車両のお披露目は、2016年3月20日に開催された。3月の3連休の中日、絶好の隼日和、WT3301日和の空の元、午前10時から隼駅で施行された記念式典には「スタバはないけど〜」でおなじみ平井鳥取県知事、鉄やミリ好きとしても有名な石破地方創生担当大臣、隼駅のある八東町の吉田町長、スズキ二輪の濱本社長などなど、隼駅祭りでもおなじみの錚々たるメンバーが来賓として来駅した。さらに事前に告知はなかったスズキの鈴木 修会長もサプライズゲスト? として登場。「町を盛り上げるために今後も協力したい」と挨拶、関係者に力強いエールを贈った。 |
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鈴木会長が鳥取県を訪れるのは、実に50年ぶりだとか。挨拶では隼駅を見て『たいていのものより私の方が古いが、私より古いものがあったとは驚いた』と観客を笑わせた。 | 1面しかない狭い隼駅のホームに勢揃いした錚々たる来賓の面々。バイクと駅、両方の隼が結んだ強い絆がつむいだ縁である。 | |
来賓を乗せたWT3301は、この日のために仕立てられた臨時列車(8361D)として、11時にテープカットが行われいよいよ世界初の隼ラッピング列車としてスタートを切った。抽選で選ばれた隼13台は、白バイ2台の先導により、隼駅から次の次の八東駅まで約5.5kmの併走パレードを挙行した(列車との併走パレード、たぶんこれも全国初)。このパレードの実現も、関係各位の並々ならぬ努力と協力のたまもの。参加した隼乗りは孫子の代まで語り継いでほしい。
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白バイを先頭に13台の隼がラッピングされたWT3301とパレードラン。この珍しい併走を見ようと沿線には多くの人が参集した。 | ||
パレード終了後は終着の若桜駅でWT3301をバックに記念撮影が行われたほか、隣接する道の駅わかさでは、名物の軽トラ市&ジビエフェスタも開催された。当日は日本全国から約800人が参まり、地元のみなさんも含め沿線は約2000人もの人が出て大賑わいの一日となった。 ラッピングされたWT3301は、今後一般列車として、若桜から郡家を経てJRに乗り入れ鳥取駅までの間を3年間走る予定だ。WT3001の不調などの事情により今のところ充当列車は決まっていないが、のんびりと待っていれば沿線のどこかでは必ず出会えるだろう。運用に充当されていないときでも、若桜駅構内で休んでいるので、構内に保存されているC12 126(蒸気機関車)やDD16 7(ディーゼル機関車)、12系客車や貨車など鉄にはよだれだらだら、非鉄にも「なんかかわいい」車両と合わせて、ぜひお楽しみを。隼駅まつりでは、WT3301できっとなにかイベントをやってくれるだろう。 |
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道の駅わかさには20台以上の軽トラが集合し、地場の野菜や果物などを販売するイベント、軽トラ市を開催。写真の鈴木農園は、スズキキャリイの軽トラ市特別仕様車の特別展示。マニアック! | ステーキはもちろん、鹿ラーメン、鹿バーガーなど美味しい若桜のジビエ(鹿肉、猪肉)をいろいろな食べ方で楽しむジビエフェスタも併催され、売り切れ続出の大盛況。 | |
バイクによる町おこしという発想は、それほど珍しいことではない。イベントを企画したり、ハコモノを誘致したりと試行錯誤をしている町もある。ただいかんせん、ライダーは自由気ままが信条で、移り気でもある。ライダーを継続的に集客することは簡単ではない。そしてなにより不可欠なことは、地元のみなさんの強い団結と地道な努力である。 ちなみに今年の隼駅まつりは8月7日(日)に例年通り開催が予定されている。詳細はまだ未定(決定次第、隼駅を守る会のWEBサイトで発表)だが、WT3301も当日は何らかの形で参加してくれるだろう。隼の乗りならずとも、ぜひ訪れてほしい。 |
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