登場以来20年間フルモデルチェンジすることなく販売され続け、しかも現在も順調に売れている。そんな商品あるのだろうか? あるんだなこれが。ホンダ“こまめ”だ。名前くらいは聞いたことがあると思うが、1980年の登場以来、排気量アップ以外は一切モデルチェンジが行われていない。それでもトップクラスのシェアで突っ走る汎用部門の小さな巨人(ごめん、手垢のついた言い回しで)だ。メイトやバーディをヤマハのカブ、スズキのカブと言う人がたくさんいるように、他社の小型耕うん機はぜんぶ「こまめ」と言われちゃうくらいダントツぶっちぎり状態であるという。そのこまめが、2001年1月24日初のフルモデルチェンジを行った。これは大ニュースである。本誌特捜班(一人)はさっそく独占取材を敢行した。さすがに農機新聞、農経しんぽう、農村ニュース等の農機の業界紙はその詳細をすでに伝えていた……が、二輪誌ではたぶん独占だろう。 |
フルカバーにした理由は?
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OHVのヘッドも誇らしげな新たに開発されたOHVのGXV57Tエンジン。土埃の多いところでの使用を考慮し、エアクリーナーの耐久性は従来の3倍となった。 | エンジン音は旧型の85.5dbから80dbに軽減。わかりやすく言えば旧型は19m、新型は10m離れたところで同一の音量ということ。 | |
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何パターンも描かれたこまめのデザイン案。汎用機のデザインは実用性、機能性との兼ね合い、せめぎあいで変化していった様子がわかる。 | ||
このような苦心の末に生まれた二代目のこまめ、さっそく試耕してみよう。と、その前にちょっと自己紹介というか、軽い自慢話を。実は私、生まれて初めてひとりで動かした内燃機関が耕うん機。小学校4年でした。上死点から上手にロープをかけないとケッチンくらうクソ重たいリコイルスターターも難なく一発始動、鋭角の曲がり角もオーバーハングですいすい曲がり、畝立ても鼻歌交じりの片手でという、村一番の神童(農)でした。 |
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I女史、あっという間に初体験完了。 |
まずはエンジン始動。キルスイッチをオン。リコイルスターターは拍子抜けする軽さ。まるでコマ回し。これなら神童でなくとも楽々簡単始動。右側のスロットルレバーでややエンジンの回転を上げ左側のクラッチを握れば、タタタタタッと軽快かつたのもしくツメが回転する。ほとんど振動もなく、左右のブレもない。ハンドルに軽く手を添えれば耕しながら進んでいく。それは身体が耕うん機の一部になっている神童の私だから。ということではなく、I女史も簡単に会得したコツは、前に進みたい時はハンドルを上げるようにして、深く耕したい時は逆に下げるようにするだけ。あとは視線を遠くに。するとあら不思議。こまめくんはあなたのきゅうり、とまと、なすががまま。自在に操れることでしょう。 |
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新型こまめを開発スタッフのみなさん。写真向かって右から商品企画 香川 信さん、デザイン 伊藤 潤さん、テスト 永岡政敏さん、プロジェクトリーダー 徳田達哉さん、商品企画 牧田 実さん。 |
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