1980年に初代が誕生し世界で55万台を販売する大ヒットとなった小型耕うん機界のロードパルこと、ホンダの「こまめ」。2001年に最初のモデルチェンジを行ってからすでに15年。36歳を迎えた今年、再びモデルチェンジを行った。さらに、かわいい弟分の「プチな」も同意匠にチェンジということなので、久しぶりの出動であります。ついでに、2001年モデルチェンジ時のこまめ開発者インタビューも再収録しちゃいました。2013年のサ・ラ・ダFF300モデルチェンジ記事と合わせて読めば、ホンダ耕うん機でおなかいっぱいになれることでしょう。 |
||
おひさしぶりです。2013年以来のこんにちは。自称耕うん機評論家の多賀 康です。 おおざっぱに今回のモデルチェンジがなぜ敢行されたのかを匂わせつつ、あれからもう15年ですか。15年前、こまめのモデルチェンジ時、開発者のみなさんにインタビューをさせていただきました。アテンドしてくれたのがホンダ広報部のI女史です。今回会場に行くと、なんとI女史が忙しそうに駆けずり回っていました。彼女もあちこち部署を渡り歩いていたようですが、このタイミングで汎用部門の広報にやってくるとは。感慨深いような、それほど久しぶりでもないような15年目の再会です。これも汎用の神様のお導きでしょうから、2代目こまめの開発者インタビューも再録いたしました。 今回はこまめだけではなく、弟分にあたる「プチな」と、つい最近(といっても3年前)フルモデルチェンジした「サ・ラ・ダ」シリーズの上位機種FF500の3機種がいっぺんにモデルチェンジしました。モデルチェンジのスパンがひじょうに長い汎用機にしてはめったにないことで、盆暮れ正月がいっぺんに来たような(ちょっとおおげさのようですが、LPLの神原さんも「とにかく忙しかった」と言っておられました)てんやわんや状態だったようです。おつかれさまでした。
こまめは初代以降の国内累計販売台数が47万台を越える大ベストセラー機で、小型耕うん機界の押しも押されぬ大ヒットメーカー。詳細は再収録編を読んでいただければと思います。 小型耕うん機が普及すると「じゃあうちでも」という方が増えるのは自明の理。広く普及すればするほど、耕うん機に初めて触れユーザーが増えるわけです。従来のこまめも親しみやすいラウンドデザインを採用していたのですが、やはり15年も変化がないと「あら、お隣さんが昔から使ってるのまだ売っているのね。古いのね。じゃあ、他にしようかしら」となるわけです。実用性重視のプロの農家だと、長い間変更がない=変える必要がないほどの高い信頼性と受け止めるのですが、このように昨今は性能ではなく第一印象で選ぶ人も結構多くなっているそうです。
というようなこともあってモデルチェンジとはいえ性能面の変更はなく、一番の大きな変更点がデザインなのです。こまめ、プチなに共通のグラフィックが採用されました。これは、ぱっと見ただけで「ホンダの耕うん機だ」と解るようデザインのアイコン化です。この大役を担ったのが、女性デザイナーの濱二美紗子さん。実際に耕して身体で感じ、先輩デザイナーや販売店で話を聞き、話し合いを繰り返して「耕うん機の楽しさ、ワクワク感を表現」したニューデザインが実現したそうです。濱二作の特徴的なセンターマーク・グラフィックは、親しみやすさと共に力強さも表現しており、今後ホンダ小型耕うん機のシンボルマーク的な存在になることでしょう。
1959年のF150から始まったホンダ耕うん機の長い歴史の中でも、デザインのためのモデルチェンジというのはおそらく初めてかもしれません(たぶん初めてのはず)。小さな変更ではありますが、これは汎用機の歴史を変えるターニングポイントになるかもしれない大きな出来事であると憶えておいてください(もし歴史が変わらなかったら、すぐに忘れてください)。
|
||
|
|
|
新型こまめ、プチなの開発スタッフのみなさん。向かって左から濱二美沙子さん(プチな・こまめデザイン担当)、神原史吉さん(開発責任者)、 若﨑 淳さん(プチな・こまめ・サ・ラ・ダマーケティング担当)。 | 新型のデザインを担当した濱二さん。「まだこまめを使ったことのない人にも届けたい」との願いを込めてデザインしたセンターマーク・グラフィック。きっとまだ見ぬお客様へ一直線に届くことでしょう。 | |
|
|
|
15年ぶりにモデルチェンジ。とはいってもこの角度から見ただけでは、変わったのはハンドルバーの色くらいにしか見えません。価格は標準仕様のF220 K1 JTが107,784円。 | この角度から見れば違いは一目瞭然。向かって右が旧型で左が新型です。外装以外はほぼ同一。その気になれば旧型に新型の外装が取り付け可能だそうです。 | |
|
|
|
別売りのアタッチメントは豊富にラインアップ。めんどくさい畝立ても培土器ですいすい。ちなみにアタッチメントの取り付け部は初代F200から共通の親切設計。「関東ではこんな高い畝は作らんぞ!」というプロなみなさん、安心してください。畝の高さは、アタッチメントの角度調整で変えられますよ。 | プチなもこまめも、キルスイッチをオン、リコイルスターターを引いてエンジンを始動したら、クラッチを握るだけの簡単操作。「話せば解る!」と言ったのに、話しても解らぬ青年将校に撃たれてしまった高橋是清蔵相。なにかあったときはレバーを「放せば止まる!」の安心設計が、ホンダの耕うん機。憶えておきましょう。 | |
|
|
|
初のモデルチェンジをおこなったプチな。フロントガードの形状や色が変わっていますから、この角度でも新型だとわかります。価格は標準仕様のFG201 K1 JTが74,520円。 | 右が旧型。リコイルスターターカバーがこまめと共通のスタイリッシュなデザインになり、かなりイメージが変わりました。 | |
|
|
|
どうでもいいようなロックピン(割りピン)の形状変更ですが、こういう小さな改良の積み重ねがあってこその信頼性、耐久性の向上なのです。プチなはツメの形状も変更されているそうですが、素人にはよくわからないレベルです。 | プチなはそれほど重くないのですが、フロントガードが握りやすいリブ形状となったので、抱えての移動がさらに楽になりました。こういう細かい改良が、ベストセラーに繋がるのは汎用機に限ったことではありませんが、重要です。 | |
|
|
|
最後にサ・ラ・ダFF500です。FF300ではすでに採用されていた補助バー付きのループハンドルを新たに採用。この形状だと、手を挟むことがなく安心です。握り方の悪い例は写真をクリックすると見られます。 | 2013年にモデルチェンジしたサ・ラ・ダFF300の上位機種であるFF500。ループ形状のハンドルや新設計ロックピンと、耕す深さをワンタッチで調整可能なフロントホイールアームなどを新たに採用。225,720円(税込み)。 | |
|
|
|
フロントローター式のFF500は、ハンドルに軽く手を添えているだけで、どんどん耕していきます。心理的にもフロントローターは安心感が高いのです。あとは、そこそこ広い畑を用意するだけです。 | 参考までにリアローター式の本格派、ラッキーボーイFU400です。ここまでくると100坪以上のセミプロ(兼業農家)用で、家庭菜園クラスではもてあます大きさ、重さですが、いっしょに歩いているだけであっというまに耕します。 | |
|
|
|
おまけ。ガソリン仕様のユキオスをベースに2014年に登場した電動ブレード式除雪車のユキオスe SB800eです。スイッチをオンして、あとはレバーを倒すだけの簡単操作。ブレードの操作は手動。取り外し式のバッテリーは約8時間の充電で約1時間の走行が可能。電動だからメンテナンスフリーで、雪が降ったら即出動。豪雪地帯向けというようりは、時々ドカ雪が降る東京などで活躍しそう。こんなのあったら、雪が降るのが楽しみででしょうがないでしょうね。289,400円(税込み) |